千葉県警の交通事故による死亡件数がおかしいとの報道。
過去3年間で死亡事故30件が統計に記載されていなかったのでは?との疑い。
千葉県警はこの指摘を受けて調査を始めたようだ。
事実であれば、からくりはいろいろ考えられる。
例えば、事故後24時間を越えて死亡した場合は交通事故死とはみなされない。
自殺や病気の場合もそうなるらしい。
さらに、私有地内での事故など、いわゆる「道路外」事故なども計上されないなどだ。
報道機関の調査のなかでわかってきたのは、24時間以内の死亡なのに24時間外と「みなされ」ていた例などいろいろだ。
背景には2013年交通事故統計で、千葉県はワースト・スリー、2014年は「アンダー170」を目標に掲げていたことがありそうだ。
同様の過少計上は1991年、愛知県警でも起こっている。
が、この奥には、死亡事故=警察の責任(「成績」)という意識がありはしないか。
交通事故による死亡者は1970年の16,765人を頂点に、現在では4,000人台にまで減っている。
その理由はいろいろながら、エア・バッグやシート・ベルトの普及、車体の構造改革などハード面での改善が大きいといわている。
そのようにみれば、警察の関与はここではむしろ補助的とさえいえる。
さて、これらの改善の基礎は事故の資料・統計の分析であるはずだ。
その事故資料・統計は警察関係者でなければつくれないのが現実だ。
改善のために必要なのは、単に件数だけではない。事故が起こるに至る経過、死に至る経過を含めてだ。
その意味で、警察は「成績」などという偏狭な意識を捨て、ありのままを報じる機関であってほしいものだ。
それが長い目で見て、事故と死亡者をなくしていくことにつながらないか。
それにしてもワースト・スリーの圧力でウソの統計を作らされる側にも同情は禁じえない。
雇われモノはいつでもどこでも辛く、情けない。