稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

おすすめの一冊 『コンビニ人間』雑感

2020年01月31日 | 日々
 以前から読んでみたかった『コンビニ人間』
(村田沙耶香 著 2016年 文藝春秋刊 芥川賞作品)を読んだ。

 主人公 恵子 36歳、独身。
 結婚、恋愛、就職等々の願望なし。
 大学時代に始めたコンビニでのアルバイトで18年、今に至る。 

 あらすじ 
 幼少期から他人とは「ズレ」のあることを自他ともに認める恵子。
 けれどもコンビニでは店長や仲間とともに生き生きと働く。
 ある日、ひょんなことから中年男性を「飼う」という奇妙な同居生活に。
 男のすすめでコンビニをやめ、正規の就職をすべく面接へ。
 しかしその途中で立ち寄ったコンビニで、やはり自分にはコンビニしかない!と納得、
 元のアルバイトを目指すというもの。

     
 
 全編を通じ、恵子の生来の「ズレ」からくる人とのやりとりは随所で笑わせてくれる。

 とにかくおもしろいのだ。

 コンビニ人間としての恵子の光と影
 さて、恵子は無遅刻、無欠勤。
 仕事のためには休みの日も体調を整え、寝不足にはならず・・・
という禁欲的な生活を送る、まさに徹頭徹尾「コンビニ人間」。
 
 そんなだからこそ、最終で恵子がコンビニを再び目指す場面は暗い穴倉から出て、
まぶしい太陽に照らされるかのような解放感に満ち溢れる。

 この作品の構成はみごとだとつくづく感心するところだ。

 ところで、恵子が自分の天職とするコンビニ店員の仕事。

 こんなにやりがいをもって働けるのはうらやましいと思う反面、
どうしても「恵子さん、あんたは一生コンビニ店員で通すのですか?」
という小市民的な心配が湧いてしまう。

 作品中で恵子が浴びせられる言葉
「・・・就職か結婚、どちらかした方がいいですよ。・・・いつか餓死しますよ。
いいかげんな生き方に甘えてると」(P128)

 ここに代表される。
 
 (ま、これも本人の意志なのでいたしかたないが・・・)

       

 すすめたい特定の仕事への固執からの脱却
 他方、作品の意図するところは別として、恵子のコンビニへのこだわりには何か惜しい!
とさえぼくには思える。

 恵子はまじめで前向きな性格。

 コンビニで生き生き働くのはいいとしても、コンビニ店員という特定の仕事に固執せず、
ほかでも自分自身を試してはどうかと?

 人がそれぞれ秘めている潜在能力。

 それは成功するかどうかは未知ながら、思わぬところで発現する可能性もあるはず。

 恵子はまだ若いのだから。
 (もっともそうなればこの作品は成り立たなくなるが・・・)

 そんなことを感じた次第だ。

 いやあ、仕事と人間について考えさせてくれるおすすめの一冊。

 補遺
 聞くところでは、作者自身もコンビニ店員だとか。
 作者は主人公恵子にどこまで自身を投影しているのだろう?
 ぜひ聞いてみたいところだ。
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まだいたアジだったが

2020年01月26日 | 
 若狭に着いた。

 この前まで常夜灯の下でウヨウしていたトウゴロウイワシの姿はなし。

 いよいよ寒くなってきたか?

 と思ったが、ピチャッとライズの音。

 『ンッ?』

 と思い、ワームを投げるとすぐにクククッ。

   

 例年なら静まり返っているはずなのに、アジはまだいる。

 ひと頃に比べると活性は下がってはいるが・・・暖冬のせいか。

 場所を変えて歩き回っているうち、暗い所で不覚にも転倒。

 なんと、足元に船の上げ下ろしのためのワイヤー。

 コンクリートに両手をつき、痛いこと、痛いこと。

 久しぶりに見る自分の血。

 渓流での転倒はよくあるが、こんなケガはない。

 釣りを少し続けたが、痛みと出血で集中力なく、退散。

 釣果 アジ 13匹(13~14cm)
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考古学者 森本六爾の残したもの

2020年01月20日 | 日々
 NHKのEテレで「反骨の考古学者ROKUJI」。

 32歳で世を去った在野の考古学者 森本六爾(1903ー1936)
に関するドキュメントだ。

    
      (NHK Eテレから)

 戦前の古代史の通説は、古事記や日本書紀など神話を土台として
石器を使う野蛮な先住民の時代から金属器を使い農耕を行う天孫族の時代へ
と解されていたらしい。

 双方の時代区分には断絶があったが、
森本は地道な遺跡、遺物の丹念な研究と考察により、
弥生期に稲作が始まっていたことを提唱したという。

 これは当時の天孫降臨の物語=古代史という常識への明らかな反旗であったそうな。

 専門的なことはよくわからない。

 が、森本が通説に妥協せず、学界の黙殺のなか、
ひたすら出土する遺物とそれへの考察にこだわり続けた学問的良心には敬服する。

 森本の説で説得力に乏しかったのは、
農業の開始を力説しながら当時はまだ農具類が発見されていなかったことだそうだ。

 それが奈良の唐古池から大量に発見されたのは森本の死から11カ月後だったという。

     
        (同 上)

 通説の頑強さ、新説が認められるための苦しさ。

 おそらくこの先も同じことが繰り返されるのだろう。

 その原動力は、事実からの出発、そしてそれを貫き通す意志の力。

 このドキュメントはそれを伝えている。

 森本があの農具類を見たら、そして登呂遺跡(戦後発掘)を見たらどんなに喜んだか。

 改めて、早世した森本の苦闘が語り継がれてほしいと願う。
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アジを釣っている最中に電話で

2020年01月17日 | 
 今夜も若狭の港はトウゴロでいっぱい。

 18時15分頃からアジのライズが散発。

 が、あまり盛り上がらない。

 ほどなく最初の1匹。
   
   

 アジは元気にビリビリ。

 メッキほどではないがかすかに「ギッ、ギッ」と鳴く。

 そこへ携帯電話が鳴る。

 釣友「和歌山のおいやん」こと上畑翁から。

「今季は尺アジ5~6本、中アジは・・・」と延々たる釣果報告。

 この大いなる釣果に比べ、ぼくはというとこんなに小さい。

 ため息が出そう。

   

 今夜はライズに勢いもなく、釣り人も少ない。

 そろそろアジの姿も見納めかな。

   

 釣果 ア ジ 13匹(13~15cm)   
     ガシラ  1匹(13cm)
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若狭の小アジも下り坂

2020年01月11日 | 

 日が暮れて若狭に到着。

 いつもの時刻になったが、アジのライズは少ない。

 トウゴロウイワシだけは足元にいっぱい。

 それでも、ジグ・ヘッドを深く落とし込んでいるとグインとひっぱる。

 待望の1匹目。

     

 12月のようなラッシュとはいかないが、結構まだ釣れる。

 あたりが止まったところで0.2gの軽量ジグ・ヘッドで放っておく。

 するとまたグインとひっぱっていく。

 今日もまたトウゴロウイワシが釣れた。

     

 ひっかかったのか?と思ったがちゃんとジグ・ヘッドをくわえている。

 彼らも小魚を食べているのだろうか?

 さて、昨年もこの時期あたりでアジは釣れなくなり始めた。

 いよいよ終盤かな。

 豆アジ~小アジばかりのシーズンとなってしまった。

 それにしても今年は雪が降らない。

 春の渓流にはどんな影響が出るのだろう。

 釣果 アジ21匹(12~14cm)
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思い出す言葉「公徳心」

2020年01月08日 | 日々
 外国人観光客が増えてきた昨今、
 「日本の街はゴミがなく清潔」という旅行者の感想を聞くことがある。

 そう言われると悪い気がしない。

 ところで、最近BSで
「映像の世紀プレミアム 東京 夢と幻想の1964年」をみた。

 64年、東京オリンピックを前に東京都が多方面で奮戦。

 その取り組みを記録、編集したものだ。

 ぼくがその中で特に驚いたのは都内のゴミ対策だ。

     
    (川を流れるゴミの回収作業 BS「映像の世紀」から)  

 当時の東京はゴミだらけで汚く、その背景には都民が路上に家庭ごみを捨てたり
川に投げ入れたりという悪習があったらしい。

 この年、都は「毎月10日は首都美化デー」と定め、婦人会から自衛隊まで動員し、
街の一斉清掃に取り組んだというから驚きだ。

     
       (ほうきを肩に現地に向かう自衛隊 同上)

 そんなことがあったのか!と。

 およそ半世紀前の東京がそんなだったとしたら、
東京の街もずいぶんきれいになったものだ。

 これはゴミ集配システムがよくなったからか、
それとも都民の意識が変わったからなのか?

 その経過を知りたいものだ。

     
       (路上へのゴミ捨て風景 同上)

 そういえば小学生時代に教科書で教えられたことを思いだす。

「日本人はところかまわずゴミを捨て、ツバを吐き・・・
 それに引き替え、イギリス人は・・・
 私たちは公徳心をもたなければなりません・・・」と。

 小学生だったぼくには初めて聞いたこのむずかしい言葉。

 なぜかそのとき以来記憶にこびりついている。

 そう思えば日本人の公徳心もずいぶん向上したのかもしれない。

 もっとも、釣りに行くと、
特に漁港などの施設ではおかまいなしという風景にも出くわす。

 ほかにもまだまだある。

 改善を喜びつつも、道はまだ半ばか。

 それでも「やればできる」と、この小史は教えているのかもしれない。
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若狭の初釣り(2020)

2020年01月04日 | 
 初釣り
 Uターンらしき車がたくさん行き交う国道を若狭へ。

 釣場に着くと先行者が二人。

 そこへ割り込ませてもらった。

 18時ちょうど、いつもなら静まり返っているが今日はもうライズ。

 一投目からヒット。

   

 これはエエ!と思ったが3匹連発のあとはスレてしまい苦戦。

 ライズは活発でも、ワームへの食いはまた違うようだ。

 藻のまわりで少し重いゴタゴタという引き。

 小さいながら初メバル。

 こんな具合で初釣りはいまひとつ。

 「オート・ハイビーム」のこと
 最近、夜道を若狭に通うことが多くなったが、
対向車でライトをハイ・ビームのまま走るのが増えた感。

 スレ違う直前にようやくライトを下げてくれるなど。

 こちらもまぶしくて一瞬ハイに切り替えて知らせることも。

 ところが、ネットニュースで知ったが、
最近の新型車の多くは「オート・ハイビーム」が付いているとか。

 ただこの装置、対向車のライトを検知してロウに切り替えるのがかなり遅く、
トラブルになりかねないとかで、あえて使わない人もいるらしい。

 『はあ、それでかな』と思った次第。

   

 釣果 ア ジ 11匹(13~14cm) 
     メバル  1匹(13cm) 

 
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2020年

2020年01月01日 | 日々
 新年おめでとうございます。

 昨年もこのブログを御訪問いただきありがとうございます。

   

 禁漁期の今、豆アジや小メバルを釣ってしのいでおります。

 昨年は積雪が少なかったようで、3月半ばから釣りに入ることができ、
しかもヤマメたちの反応も早くから活発という印象でした。

 今年も暖冬気味のようで、早めに入渓できることを期待しています。

 気になるのは昨年初めて入った石田川(滋賀)。

 放流がなくなり、人の手が入らなくなったこの川が2年を経て、
どんな姿を見せてくれるのか、とても楽しみです。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

                              

 
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