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稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

大川原化工機の噴霧乾燥機をめぐる事件から

2023年12月30日 | 日々
 12月27日、東京地裁は都と国に対し、大川原化工機の社長らへの損害賠償を命じた。

 逮捕や起訴、その取り消しに至る経過は複雑なので省略する。

 しかし、同社の製造する噴霧乾燥機は輸出先で軍事転用される可能性がなく、
そのことは調査や確認をすれば簡単にわかる話だったという。

 実際、捜査や起訴に至る過程で、検察内部でも
「本当に起訴できるのか?」「大丈夫か?」と心配する声も上がっていたそうだ。

 わからないのは、それにもかかわらず警察・検察側が引き返す機会を捨てて突っ走っての起訴、
その後万事休す状態になってから公訴を取り下げたという経過だ。

 いったいなぜ?

 功を焦ったという見方もあるようだ。

 もうひとつは、いったん走り出したら
何があっても途中でやめない、変えないという検察の頑迷さだ。

 いや、さらにいえば、検察などに仮に誤謬があっても、
その場合は証拠を捏ね上げてでも押し通す強引さだ。

 まだ記憶の新しい「村木事件」でもそれは明らかだ。

 ただ、そうだとすれば、彼らは社会正義のためではなく、
自身の体面と名誉を基準として考え、行動しているのではないか?

 そんな寒々した思いがしてくるのだ。

 大川原社長は会見で「謝罪してほしい」と語った。

     

 でも彼らは謝らないだろう、いや謝れないだろう。

 己の非を認めないのは過去から一貫した「体質」のようなものだから。

 あらためてこの事件で勾留中に亡くなった相嶋静夫さんの死を悼む。

 戦争をはじめ暗いニュースの多かったこの一年。

 この判決には少し救われた思いだ。

 来年はもう少し明るい年であってほしいのだが。

 皆さん、よいお年を!
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またしても不正 「経営陣の責任」と言うけれど

2023年12月21日 | 日々
 12月20日、ダイハツの奥平社長らが記者会見。

 認証試験などで不正があり、ダイハツの全車種出荷停止だという。

 もっとも
「乗り続けて問題のある事象はなかった・・・
 今までどおり安心して乗っていただければ・・・」
 という社長のコメントには戸惑ってしまうけれど。

 それはともかく、背景には「異常な開発スケジュール」があり、
「認証試験の現場従業員などに負担(不正行為)が生じてしまったもので、
責任は経営陣にある」との説明だ。 

 いつだったかの三菱自動車の不正。

 三菱だけでなく各メーカーは、
あれを機に自分の足元を総点検したのではなかったのか?

     

 ぼくによくわからないのは、ダイハツ経営陣は
「異常な開発スケジュール」を決め、それを現場に押し付け、
あとは現場に任せっぱなしで、本当に実態を知らなかったというのか?

 それとも、現場での不正にウスウス気づきながらも知らぬふりだったのか?

 社長は「経営陣の責任」を明言したが、
ぼくにはとてもその言葉を「潔い」などとは受け止められない。

 どこかウソくさいのだ。

 三菱、スズキ、日野・・・と繰り返されてきた不正の流れに照らせば、
不正はこの業界ではすでに常態であるかのようにさえ見えてくる。

 もしも経営陣が本当に気づかなかったというなら、それは底抜けの怠慢だ。

 made in Japan 製品の高い信頼は際限なく落ちていっているようで、またまた胸が痛む。
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戦闘再開に落胆 負の連鎖は終わらず

2023年12月02日 | 日々
 7日間の戦闘停止を終え、ガザで再び戦闘が始まった。

 この一週間の平穏、「ひょっとしてこのまま落ち着かないか?」
そんな淡い期待はあっさり裏切られた。

 もっとも、このまま停戦を迎えたとしても、
あの狭い地域に押し込められたガザ、それにヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の苦難は変わらない。

 ところでその昔、あの地域ではユダヤ人とパレスチナ人が共に平和に暮らしていたそうだ。

 お互いの家に食事に招き合ったり、結婚式にも列席し合ったりと。

 今では信じられないような、そんな時代があったらしいのだ。

 それが変わったのは、ユダヤ人がナチスによる迫害からこの地に逃れてきたこと、
またイスラエル建国(1948年)によるユダヤ人の「帰還」により、
パレスチナ人が追い立てられることになったときからだと聞く。

     

 グテーレス国連事務総長は、10月24日、
「(パレスチナの人々は)自分たちの土地が(ユダヤ人の)入植によって着実に侵食され、暴力に苦しめられるのをみてきた」
と発言。

 これにはイスラエル側が猛反発して辞任を要求する一幕もあった。

 が、憎しみと報復の連鎖に見えるこの対立のなか、
グテーレスさんの発言は歴史経過をおさえた冷静で公平なものだとぼくは感じる。

 歴史的にみれば、カギはイスラエル側の自制、
とりわけ同国政府を支える国民に平和共存志向が生まれること、ここにしかない気がするのだ。

 それが現実にはとても難しいことはわかっている。

 しかし負の連鎖を断つには、結局そこから出発するしかないと思うのだが。
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HIMARIのバイオリンに驚き

2023年11月26日 | 日々
 先日、「報道ステーション」でバイオリニスト HIMARI(吉村妃鞠)の紹介があった。

 まだ12歳だというが、
アメリカの超難関、カーティス音楽院に学び、世界が注目しているという。

 いったいどんな子なのか?と興味津々。 

 番組で演奏された曲は「カルメン幻想曲」。

 それを聴いて圧倒される思いだった。

 ただ、年齢からすると、「うまいっ!」というよりむしろ
「できすぎ」という違和感すら感じてしまったというのが正直なところ。

 かつてぼくがよく似た印象を受けたのは、
美空ひばりの「悲しき口笛」を初めて聴いたときのことだ。

 この歌はひばりの12歳のときのものだが、とにかくうまいのだ。

 けれども、ぼくにはそのうまさに、
まだ子供っぽさの残る歌声がどこか不釣り合いという、一種の違和感を抱いた記憶が今も残る。

 要は「できすぎ」という印象なのだ。

 それにしても HIMARI、彼女は12歳にして、音程の正確さはもとより、
間合い、強弱、緩急・・・すでにそうした要素を高いレベルでもっているようにみえる。

 しかし、そうした演奏は音楽あるいは曲についての
深い理解や思いが背後にあってこそのはず。

 ならば彼女は小学6年生という幼さで、
音楽理解の高い域に達しているのか、それとも指導による技術の習得の結果であるのか?

 そこのところがぼくにはよくわからない。 

 ただ、指導も才能あってこその開花であることは疑いない。

 大器 HIMARI、 この先の活躍に注目したい。
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犬塚弘さん逝く また遠ざかる昭和

2023年10月28日 | 日々
 犬塚弘さんが亡くなった。

 往年の「ハナ肇とクレイジーキャッツ」のメンバーで、最後の生き残りだった。

 94歳だったそうだ。

 訃報を聞いてすぐ、高校時代の友から
「これでメンバー全員があちらで再会・・・」とのメールが入った。

 思いは同じだ。

 実際、中学・高校時代、彼らの映画や
テレビ(「シャボン玉ホリデー」など)はぼくらの仲間内では大人気だった。 

 あの頃をなつかしむ気持ちはみな同じらしい。

     

 ただ、今のぼくには不思議な気持ちもある。

 最近でも彼らの「日本一のホラ吹き男」、
「日本一のゴマすり男」などがよくテレビで再放映される。

 なつかしくて観ることもある。

 しかし、ちっともおもしろくなく、つまらないのだ。

 現実離れしていて、わざとらしく・・・
いったいぼくらは彼らの何に笑い転げていたんだろう?と。

 思うに、ぼくらの彼らに対する笑いというのは、
ひとつの思い込み、あるいは自己催眠に根差していたのではなかったか?

 今になってそんな気がしてくるのだ。

 ともあれ、それもこれも含めて昭和はまた遠ざかる。

 楽しませてもらった犬塚さん、ありがとう。

 安らかに。
 
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次の世代にツケを回す愚だけは・・・

2023年10月25日 | 日々
 臨時国会が始まった。

 岸田首相、定額減税と非課税世帯に対する給付を考えているらしい。

 テレビニュースで報じられた街の声はおおむね歓迎ムードだ。
「もらえるならうれしい」
「でも、それっぽっちでは・・・」
「むしろ消費税を下げてほしい」等々。

 が、こんな声に、ぼくは行く末を案じざるをえない。

     

 防衛費増の財源も「異次元の少子化対策」の財源もまだはっきりしていない。

 このうえ、新たな事業を加えるというのか!と。

 国家の借金はすでに1000兆円を超え、先進国でもダントツ。

 首相は「税収増を還元」というが、
好循環で借金を返済するという約束ではなかったのか?

 もっとも、こうした借金の山は、歴代政権が続けてきたバラマキなどの累積でもある。

 今回の減税等の事業も、低迷する内閣支持率対策の一環と想像することは容易だ。

 そうした政権の保身のために安易に財政を「活用」するのか!

 なんとかならないものかとため息。

 加えて、財政危機に言及しない野党にもまた失望を禁じ得ない。

 次の世代にツケを回す愚だけはなんとしても・・・と思うのだが。
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メダル数の目標を掲げない試みを歓迎

2023年09月29日 | 日々
 杭州アジア大会の真最中だ。

 報道によると、日本オリンピック委員会(JOC)は、この大会でメダルの目標数を掲げていない。

 競技力向上と心の健康を両立させるための試みだという。

 実際、メダルをとるべく「公式に」期待された競技者にとって、
その重圧はいかばかりかと想像せざるをえない。

 こうした悩ましさは日本だけでなく、
外国にもあるそうで、この世界の隠れた深刻な問題性を示唆している。

 スポーツではないが、ぼくはひとつの昔話を思い出す。

     

 弁論大会で優勝した友のこと。

 優勝者は代表としてさらに上級の大会に挑むことになる。

 その大会での優勝を目指し、その友への関係者たちの「指導」が始まった。

 語りのテンポ、間合い、視線・・・はては原稿内容の加筆訂正にまでそれは及んだ。

 大会本番前、その友は力なく
「この弁論内容は、ぼくが主張したかったこととは違っている」と身近な友につぶやいたそうだ。

 このできごとは、関係者が自分たちの属する組織や団体の栄誉のために必死になり、
そのあげく当人の主体性をゆがめてしまった典型例ともいえる。

 はてさて、スポーツの世界にもそれは通じるのでは?

 その意味では今回のメダル目標数を掲げない試みには大賛成だ。

 競技は競技者個人のもの、これが原点であり、国家や組織を背負わせるべきではなかろう。

 ついでながら、
IOCも表彰式典での国旗や国歌もとりやめることを検討してもいいのでは?と思うのだが・・・
 
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雑種強勢と近交弱勢、してアマゴたちは?

2023年09月11日 | 日々
 おもしろそう、と「日本人の起源」(講談社現代新書 池田次郎著)を読んでみた。

 ぼくのイメージでは、日本人というもの、列島の北から、あるいは南から進入し、
相互に出会い、交易や争いなどを経て今日に至る・・・と単純だったが、
本書を読むと、学説はたくさんあり、簡単ではなさそう。

 そんなわけで、読み終えても頭の中は混沌。

     

 それはともかく、ぼくの関心を引いたのは「雑種強勢」(ヘテロシス)という言葉だ(P63)。

 これは「家畜や栽培植物の雑種第一代が
身体の大きさ、耐性、多産性などの点で両親のいずれの系統より優れている・・・」という現象を指すといい、
これがヒトの生殖にもあてはまるというのだ。

 身長の増大などはその顕著な例だ。

 ぼくがここで思い出すのはカブト虫の飼育の話。

 カブト虫のオス、メスのつがいを飼育して毎年産卵、ふ化を繰り返させる、
つまり近親交配させるとカブト虫は小型化していくそうだ。

 本書ではこの種の現象を「近交弱勢」(P83)という言葉で表し、ヒトの場合にも当てはまることに触れている。

 いや、近親交配でなくとも、狭い範囲内での通婚の継続などでもある種の停滞現象を生むらしい。

 ふと思うのはアマゴたちのこと。

 今の渓流の多くには高い堰堤がいくつも築かれ、
天然モノであれ放流モノであれ、アマゴたちの自由な往来はむずかしい。

     

 ならば、堰堤で閉じられた水域、ここでのアマゴたちは長い目でみてどんな影響を受けるのだろう?

 知りたいところだ。
 
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高校野球 慶応(神奈川)の優勝

2023年08月23日 | 日々
 23日、高校野球の決勝で慶応が優勝した。

 あの強豪 仙台育英を破ってだ。

 もともとぼくは高校野球にもプロ野球にも無関心なのだが、今回の決勝戦には注目した。

 それというのも、慶応の野球部には独自の色合いがあると聞いたからだ。

 髪の毛は自由、監督の指示は絶対にあらず、
むしろ部員たちの判断で決める等々、「楽しむ野球」なのだと。

 そんなチームが甲子園に出場、
しかも決勝戦まで進出!というのができすぎた話にすら思われた。

 が、優勝は現実のものになった。

     

 思い出すのは以前に聞いたプロ野球の筒香選手の話。

 氏があちこちの少年野球を見るに、
『子どもたちには楽しいはずの野球なのに、楽しんでいない。
 子どもたちは監督などに怒られまいと、顔色をうかがいながら野球をしている。
 また、子どもたちは自分で考えず、指示待ちになっている』等々。

 ぼくはこの話を聞いたとき、これが本当ならなんとおそろしい話か!と胸が痛んだ。

 危機感を抱いた氏は私費を投じ、
子どものための野球施設をつくるとか言っていたが、どうなったろう?

     

 いずれにしても、こうした少年野球の雰囲気は多かれ少なかれ、
高校野球にも色濃く引き継がれているのかもしれない。

 そうだとすれば、今回の甲子園、慶応の野球スタイルが広く世間に知らされたこと、
さらにそれが成果を示したことの意味はとても大きいと感じる次第だ。
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緊張の運転免許更新日

2023年08月03日 | 日々
 朝から気合を入れて、運転免許更新センターへ!

 ここずっと不安で不安でたまらなかった。

 それというのも、ぼくの視力、特に右の視力の落ち込みがひどいのだ。

 先日、免許更新のため新しいメガネをつくった。

 しかしメガネ店も「これで限界です」という。

 レンズの度数を調整すれば、
いくらでも見えるようになると思いこんでいたぼくには衝撃だった。

 「矯正視力でもギリギリかもしれませんが、がんばってください」と店員。

 さて、センター受付で手数料2500円を請求さる。

 「この手数料、免許更新不合格なら返してもらえるんですか?」
と尋ねる。

 受付女史「いえェ・・・それはできません。・・・視力があぶないんですか?」

 「そうなんですよ」

 「どうしましょう?」と女史が問いかけてくる。

 「どうしましょうって、手数料を払わんと視力検査も受けられないんですよね?」

 「そうなんですよ」

 「じゃあ、払います」

 こうして手数料を支払い、次の窓口へ。

     

 「交通安全協会の事業にご協力を!」と3年分の1000円を請求さる。

 ぼくはこれまで安全協会費は一切払ってこなかったが
「免許更新に合格したら払うことにします」と答えた。   

 受付のおばちゃんは
「わかりました、合格するといいですね。がんばってください、お待ちしています」
とニコニコ。

 さて、書類記入や審査が終わり、いよいよ視力検査へ。

 係員「まずメガネなしでやりましょう」という。

 「これは?」

 「上ッ」

 「上に見えますか?、これは?」

 「右ッ」

 「右に見えますか?」

 どうやら全部ハズレらしく、がっかり。

 「じゃあメガネをかけてください」と係員。

 というわけで新調したメガネで検査機をのぞき込む。

 しばらくの検査のあと、係員が言う。

 「今後の運転はバイクも車もメガネが条件ということです。」

 「??、合格ということですか?」

 「そうですよ、条件は必ず守ってくださいよ」 

 よかったァ、膝から力が抜けていくような気分。

 思わず大きなため息。 

 この後、新しい免許証を受け取り、足取り軽く安全協会の窓口へ。

 受付のおばちゃん
「遅かったので心配してました。合格、よかったですね」。  
 
 これで釣りもしばらく続けられそう、
車もバイクもまだ廃車しなくていい・・・。

 ここずっとぼくをとらえていた不安がが融けるように消えていった。

 若いときには単にめんどうな儀式のようでしかなかった免許更新。

 ぼくもついにこんな年代になってしまうとは・・・。

 それはともかく、センターの建物を出ると、
烏丸通には焦げつくような陽光と熱、それがこのときに限っては快かった。
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