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稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

一度は消滅した集落でなお

2023年07月24日 | 日々
 Eテレで「消えた故郷へ帰るとき 高知・椿山50年の記録」があった。

 とても心にしみいる記録作品(NHK高知)だった。

 椿山(つばやま)という集落
 高知県仁淀川町、標高700メートルの山間にある集落。

       

 急峻な斜面に家々があり、古くから焼き畑農業や林業を生業としてきた。

 平家の落人によって開かれたとも言われ、800年の歴史があるという。

 が、人口は1965年あたりを最盛期に減り始め、2019年には最後の住人が山を去り消滅。

 中内健一さんという人
 2021年、中内健一さんが高知市からこの椿山に単身で移り住んだ。

 健一さんはこの集落で生まれ育ったが、高知の高校を卒業後、椿山には戻らず、
高知市内で働くようになり、そこに家を構えて家族と暮らしてきた人だ。

 その健一さんが早期退職して戻ってきたのだ。

       

 健一さんは両親とのことを語る。

「両親は(椿山に)帰って来いとは言わなかったが、
帰って来てもらいたいという気持ちはじゅうじゅうわかっていた」と。

 81歳で亡くなった健一さんの母は生前、
「(息子が)高校を卒業して就職したから、それが一番の幸せ」、
また「子どもを大きくしたけん、上等」と語っていたともいう。

 両親の苦しいほどに揺れ動く胸の内が伝わってくる。
 
 健一さんの新たな日々
 さて、誰も住まなくなった椿山では、家々が朽ち始め、草木に飲み込まれそうになっていた。

       

 健一さんは、故郷に移り住んでから、草刈り、
そして父の植えた杉の間伐や手入れ、また20年後に実るというゆずの苗木を植える。

「一気につぶして消滅集落にするのは申し訳ない」と語る。

 健一さんのあとに続く者は誰もいない、それはよくわかっておられるようだ。

 それでも「動けなくなるまで椿山にいるつもりだ」と。

 各地の消滅集落、それぞれの思い
 集落の消滅は決してめずらしいものではなかろう。

 ぼくも郷里の古座川水系の奥深くに釣りに行ったとき、
すでに消滅した集落の跡、また消滅の日が遠くない集落をいくつかこの目にした。

 共通するのは林業の衰退だ。

 時代の波というものは実に容赦ないものだ。 

       
 
 健一さんが汗だくになって格闘する姿を見て、ぼくは思わず「健一さん、
どんなにがんばっても消滅は避けられないのでは?」と言いたくなってしまう。

 が、健一さんの心にあるのはそんなことではなさそうだ。

 両親はじめ、先祖が子や孫のために代々大切に守ってきた畑や山林という贈り物への感謝、
そしてある種の贖罪意識なのかなと感じる次第だ。 

 健一さんのご健康を心から祈りたい。
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ビッグモーター あきれ果てる悪徳

2023年07月19日 | 日々
 ビッグモーターといえば、テレビのCMでもみたことがある。

 その分野では大手なのだろう。

 それが修理依頼のあった車にさらに傷をつけ、
あるいは壊すなどで不正な保険金請求を繰り返していたというから驚きだ。

 上層部は傘下の工場に不正を勧めていたわけではないという。

 ただ、修理にノルマを課し、厳しく追及していたことは事実らしい。

 実に巧妙なやり方だ。

 修理は相手あってのこと、そもそもそこにノルマなど?とは誰もがもつ疑問だ。

 従業員に対する調査結果では、不正にかかわった者はかなりの数にのぼるという。

 要は組織的で、工場ぐるみと言ってよい状態だったようだ。

 整備したちは、そうしなければそこで働き続けることができなかったのだろう。

 しかし、それは自分のプライドや良識を自らねじ曲げなければできないことだ。

 いや、それも慣れれば淡々とわりきっていくようになってしまうのか。

 が、こちら保険料を長く払い続けてきた身にはバカバカしくなってしまう。

       

 国交大臣が調査すると表明したが、悪徳の栄を許さず、「本気でやれよ!」と言いたい。

 ただ、よくわからい。

 この件を調査し報告した、弁護士らでつくる「特別調査委員会」とはどんな団体なのだろう。
 
 
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新橋のガス爆発 改めて記憶にとどめておきたいこと

2023年07月05日 | 日々
 新橋の爆発事故。

 一時、爆発したのは地中からのメタン?などとも言われたが、
都市ガスで、配管のズレから漏れていたようだ。

 このズレは、爆発の当日、
朝から3階部分で行われていた改装工事に関わるらしいとの報道だ。

 爆発したカフェバーでは、都市ガスは使っていなかったという。

 ライターに火をつけた店長、ガス臭は感じたが、
自店ではガスを使っていないから大丈夫という思い込みがあったのだろう。

 気の毒ではあるが、やっぱりガス臭のあるところ「火気厳禁」なのだ。

       

 それにしても、都市ガスは空気より軽いから上に拡散するというが、
ビルなどでは建築構造により、ガスがどんな経路でどこにたまるかはわからない。

 付近を歩いていた通行人もガス臭を感じたというが、
これはガスがビルの階段を経由して下がり、表通りに至っていたということか。

 とにかく異臭があれば、専門機関に通報してその「元」を究明してもらうしかない。

 それまでは安易に火は使えないということなのだろう。

 この教訓、生活常識として改めて記憶にとどめておきたいものだ。
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防げなかったのか 新橋の爆発事故

2023年07月04日 | 日々
 3日、東京新橋のビルの2階で爆発事故があった。

 ニュースで繰り返し流された爆発映像はすさまじい。

       

 改めてそのおそろしさが身にしみる。

 詳細はまだ調査中のようで、正確なところはわからない。

 ただ、爆発のあったカフェバー店長の
「ガス臭はしたが喫煙室でライターに火をつけたときに爆発した」という供述には驚く。

 「あぶない」という常識感覚がなかったのか?と。

 他方では、同ビル1階の関係者も爆発前からガス臭がしたと証言、
また通行人の一人も付近でガス臭を感じたと証言している。 

 そうだったとすれば、
異臭は2階フェバーだけでなく、かなりの範囲に広がっていたということになる。

 にもかかわらず、誰も通報しなかったのはとても残念だ。

      

 ふと思い起こすのは、学校やデパート、駅構内などでよくある異臭騒ぎのこと。 

 警察や消防が駆け付けると、異常なく、いわゆる「空振り」。

 そんな報道に接するたび、
「ちょっと過敏なのでは?」などと思ってしまうことがある。

 けれども、考えてみれば人々の「もしや」という恐れと心配、
それを一歩進めた通報という行動がこうした大災害を未然に防ぐことにつながっていくのでは?という気がするのだ。

 反対に、今回の事故が人々の無関心の積み重なりの結果だとしたらとても哀しいことだ。
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「キューポラのある街」の記憶と今

2023年06月12日 | 日々
 6月11日、大阪で「北韓人権映画視聴会」があり、足を運んだ。

 視聴会の共催団体「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」、
ここで熱心に運動に取り組んでいるのがぼくの学生時代の友人だ。

 今回の催しも彼からの連絡で知ったものだ。

     

 映画の間の講演によれば、「守る会」では、北朝鮮政府を被告として、
北朝鮮に帰国してひどいめにあった人々の損害賠償を求める裁判を行っているようだ。

 ぼくが初めて在日朝鮮人の帰国事業(1959~1984)を知ったのは中学の頃で、
早船ちよさんの「キューポラのある街」を読んだときだ。

 この作品では、貧しい日本の労働者家族とならんで在日朝鮮人たちの姿が描かれ、
在日朝鮮人が帰国事業に賛同し、希望に燃えて祖国に帰っていくという、
新しい時代の予感が漂っていた。

 まだ当時のぼくにはむずかしく、事情はよくわからなかったが、
その希望に燃えた彼らの姿にはとても胸打たれたことを覚えている。

 しかし、北朝鮮政府が在日同胞を帰国させるのに用いた宣伝、
「地上の楽園」等々はウソであり、帰国した人々は辛酸をなめることになる。

 今となっては広く人の知るところとなってはいるが、
当時は厳しい情報統制で、その実態は日本には伝わってこなかった。

 かえりみて、結局ぼくは著者の早船ちよさんにだまされていたのか。

 いや、早船さんもまただまされていたのではなかったか。

 帰国した人々だけでなく、事業にかかわった多くの人々がだまされていたということなのだろう。

 許せないことだ。

     

 裁判を続ける「守る会」の人々のねばり強さには敬服する。

 20世紀は社会主義が夢をふりまき、またそれが砕けた時代でもあり、
とりわけ北朝鮮はそのなかでも最悪の事例にみえる。

 21世紀、ぼくのあとにはどんな「夢」の時代がくるのだろう。
 
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ドニプロ川のダム破壊を憂う

2023年06月07日 | 日々
 先日の大雨で、和歌山、静岡、茨城などで水害があった。

 浸水のあった住宅で、使い物にならなくなってしまった
家具やたたみを目の前にして、住民の皆さんの落胆はいかばかりかと心が痛む。

 昨日の報道では、ウクライナのドニプロ川のダムが破壊されたそうだ。

 ロシアとウクライナの双方が相手の仕業と声明を出しているが、真相はわからない。

 しかし、水害を被った住民の気持ちを思うと、怒りとともにやはり心が痛む。

      

 小学生の頃、メーデーの日に学校の先生たちが歌いながら行進していたのを思い出す。

「はらからの絶え間なき
 労働に築きあぐ富と幸
 今はすべてついえ去らん・・・」 (「原爆許すまじ」浅田石二 作詞)

 洪水の映像を見ると、戦争が奪う命と富の膨大さに改めてため息が出てしまう。

 今起こっている戦争は
ロシアの侵攻から始まったものであり、ロシアが手を引くべきは当然だ。

 しかしまだ終わりは見えない。

 こんな調子でザポリージャ原発に被害が及ぶなら、
また核兵器が使われるならその影響ははかりしれない。

 戦争の終結を心から祈りたい。
 
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コロナは去ったが

2023年05月29日 | 日々
 高熱とのどの激しい痛みにさらされたけど、
 発症五日目から熱が下がり始め、 のどの痛みは六日目から楽に。

 知り合いからの
「五日間ほどのがまん」という教えが現実のものとなった。

 コロナ流行初期のような肺炎などにならず、よかった。

 今は味覚だけはおかしいが、ほかはすっきり。

 これでぼくも「ハイブリッド免疫」を獲得したかと心強くなった。

 一方、報道によれば、中国ではまたまた感染拡大の動き。

 すでに中国では人口の8割以上が免疫をもっているそうだ。

 それでも「二陽」と称する再感染拡大の兆候だとか。

 油断はできないようだ。
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コロナがやってきた

2023年05月24日 | 日々
 数日前、夜から急に喉のはれ。

 これはぼくの風邪ひきの初期のパターン。

 案の定、あくる日はさむけ。

 熱を測ると7.5度。

 さらにあくる日は8.3度。

 翌日には8.9度にも。

 ここまで上がると、さすがにふらつきを感じる。

 これはおかしい、ひょっとすると?、と発熱外来を受診した。

 結果はコロナは陽性、インフルエンザは陰性だった。

 どこで?
 思いあたるのは、のどがはれた日の二日前、友と喫茶店で会ったこと。

 この喫茶店、立地がよいからか、いつも満席で、
座れない客が座席の空きを待っているほどなのだ。

 思い当たるのはそれしかない。

 感染の広がり
 驚いたのは、メールなどでやりとりをしていると、
「ぼくも〇月に・・・」という人がいっぱいいたこと。

 コロナはぼくが想像していた以上に身近になっていたようだ。

 陰鬱な日々ながら
 とにかく熱は解熱剤でおさえているが、
のどの痛みは耐え難く、唾を飲み込むのも大変だ。

 その痛みとセキで夜は熟睡できない。

 そんなおり、知り合いが
「とにかく5日間ほど、がまんすれば過ぎていくから」と。

 なるほど、そう信じて楽観したい。

 もう少しの辛抱。
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おもしろい進化の話、あわせて定説の「進化」も

2023年05月13日 | 日々
「キリンのひづめ、人の指 比べてわかる生き物の進化」
(郡司芽久 著 NHK出版 2022)という本を読んだ。

 著者は東洋大学生命科学部の助教で解剖学が専門。

 子どもの頃からキリンが大好きだったそうで、
本書でも生物の肺、手足、首、皮膚・・・と説かれ、キリンが何度も登場する。

 第3章「首」では、キリンの首はなぜ長い?に言及。

 当然、「他の草食動物には食べられない高い木の葉っぱを食べられるように進化したのだろう」
と思っていたが、そう簡単ではなさそう。

 それもひとつの仮説ながら、
さらにメスを獲得するための争いの武器としての首という仮説もあるらしい。

 また、天敵から素早く逃げるために足が伸び、それに伴って首も伸びたという仮説も。

 ただ、どの仮説にも「しかし」という疑問が伴い、いずれも確たるものではないらしい。

 そのあたりには慎重で、急がない研究世界の雰囲気がみてとれる。

 いずれにしても、本書はキリンだけでなく
他の哺乳類、鳥類、魚類等々にも広く言及した進化のお話で、とてもおもしろい。

     

 血液の流れをめぐる考え方の変遷
 加えてぼくの興味を引いたのは第7章「心臓」で紹介された一つの挿話だ。

 ローマ帝国の医学者ガレノス(2世紀)。

 彼は血液は心臓から全身に送られ、末端部までいきわたって消費され、消えてしまうと考えたそうで、
これはその後の血液の流れについての定説となったそうだ。

 それに疑問を呈したのは英国の医師で解剖学者のウィリアム・ハーディ。

 彼は1628年、解剖と実験を通じて、
血液は心臓に戻っていくという血液循環の仮説を立てたという。

 この仮説は論争を巻き起こし、批判を浴びたそうだが、その33年後、
動脈と静脈をつなぐ毛細血管の発見により、正しさが証明されるに至ったそうだ(P152~155)。

 実に示唆に富む話だ。

 ひるがえって、今日の定説なるものも、その「正しさ」はいつも相対的ということか。

 卑近な例ながら、釣りを通しての魚に関する知識もその例外ではあるまい。

 いや、楽しい本だった。
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包帯と固定具はとれたけど

2023年05月10日 | 日々
 右手小指の骨折から4週間が過ぎた。

 医師はレントゲン写真を見ながら
「だいたいひっついたな、もう固定は要らん。
 けど、関節が固まっとる。
 釣りに行くのは指が動かせるようになってからやな」と。

 確かに。

 右手小指は伸びたままで、少ししか曲がらない。

     

 曲げようとすると猛烈に痛いのだ。

 リールを巻くのに差支えはないが、
転倒でなくともよろめいたときなど、周囲の岩や木に手をつくのはとても不安。

 もうしばらくガマンの日々。

 それはともかく、手や顔を両手で洗えるなど、やっと日常が少しずつもどってきたのが救い。
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