人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「コロナ禍後の音楽家 深めた自省」 ~ 朝日・吉田純子編集委員の記事から / ハル・アシュビー監督「さらば冬のかもめ」を観る ~ 刑務所に護送される水兵と護送する2人の海軍士官のロードムービー

2023年06月02日 06時42分36秒 | 日記

2日(金)。昨日の朝日夕刊のコラム「around Stage」に同社の吉田純子編集委員が「コロナ禍後の音楽家 深めた自省」 という見出しの記事を書いていました 彼女は冒頭で次のように書いています

「このところ、罰当たりな愚痴ばかり言っている。公演が多すぎる!しかも、一世一代と言っていいほどの企画性や、クオリティーのものばかり 平日も連日、昼夜2公演に足を運ぶ。それでも行ききれない。異常である

一昔前に朝日新聞紙上でクラシック音楽をカバーするオーソリティーと言えば「音楽展望」でお馴染みの吉田秀和氏でした それが今では同じ吉田でも朝日の社員である吉田純子さんです 彼女が「罰当たりな愚痴」と書いているのは、「コンサートの中止が相次いだコロナ禍の下で、あれほどコンサートの復活を望んでいたはずなのに、いざコロナが収まり、国内外のオーケストラやアーティストによる公演が相次いで開かれるようになると、とても全てを聴いている暇がない それもコロナ禍前の水準を超える優れた内容の公演が目立つ 愚痴を言いたくもなる」ということでしょう 私のように趣味でコンサートを聴いて、書きたいようにブログを書いている気軽な立場と違い、仕事として聴かなければならない吉田さんは気の毒でしかありません

記事の中盤で吉田さんは、ミハイル・プレトニョフ ✕ 東京フィル、カーチュン・ウォン ✕ 日本フィル、山田和樹 ✕ 都響、沼尻竜典 ✕ 新日本フィル、ファビオ・ルイージ ✕ N響の最近のコンサートを取り上げ、その充実ぶりを評価しています   そして、記事の末尾で次のように締めくくっています

「『演奏する』という日常を失ったコロナ禍を経て、どの楽団も『自分たちが音楽をする意味は何か』という自省を深めた その結果が、『今こそ、自分たちがこれをやらねば』という気迫につながっているのは明らかだ 聴衆の意識も確かに変わった。招聘公演という『祭り』から遠ざかったことは、自分たちのすぐ足元にあった日本の楽団のレヴェルや多様性に、おのずと目覚める契機にもなったはずだ 音楽業界はコロナ禍前に『戻った』のではない。むしろ、コロナ禍による本当の淘汰はここから始まるのではないか 売れ筋の名曲と、著名なソリスト頼み。そんな音楽業界のこれまでのスキームは、演奏する側と聴く側、コロナ禍以降の双方の変化を機に、パラダイムシフトを余儀なくされている 世界はまだひび割れだらけ。誰も彼も戦争を止める有効な手立てを示せずにいる中で、音楽家たちによる世界の再構築への模索が始まっている

吉田さんの「売れ筋の名曲と、著名なソリスト頼み。そんな音楽業界のこれまでのスキームは、演奏する側と聴く側、コロナ禍以降の双方の変化を機に、パラダイムシフトを余儀なくされている」という指摘は、全くその通りだと思います 私はチャイコフスキー「交響曲第6番」もメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」もドヴォルザークの「交響曲第9番」や「チェロ協奏曲」も名曲だと思うし みな大好きですが、海外オケの来日公演はいつまで「悲愴交響曲」や「メンコン」や「新世界交響曲」や「ドヴォコン」をメインに組んでチケットを売り出せば気が済むのか  呼び屋(招聘元企業)は日本の聴衆を馬鹿にしているのか  と憤りを感じます

記事の中で吉田さんが指摘している通り、日本のオーケストラの水準はコロナ禍前と比べ かなり上がっていると思います 海外の高名なオーケストラの来日公演に1度に数万円を費やすくらいなら、日本のオーケストラの年間会員になった方が利口だと思います 招聘元は「日本はいい市場だ」と いつまでも聴衆を侮っていると、自らの首を絞めることになると自覚すべきです

ということで、わが家に来てから今日で3062日目を迎え、ロシアのプーチン大統領の意向に反したロシア正教会のカリーニン大司教が心臓発作で入院したと国営ロシア通信が先月30日に報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンは 粛清によって政権を維持させたスターリンの 正統な後継者のようだね

 

         

 

昨日、娘が職場の同僚から立派なアスパラをいただいてきたので、夕食に朝刊の「料理メモ」に載っていた「アスパラのだし巻き卵」作りに挑戦しました が、アスパラが大き過ぎて卵で巻けず、アスパラに負けて「アスパラ卵焼き」になってしまいました 見た目は悲惨ですが、桜エビも入っていてとても美味しかったです あとは「生野菜とアボカドのサラダ」と「ジャガイモの味噌汁」です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でハル・アシュビー監督による1973年製作アメリカ映画「さらば冬のかもめ」(103分)を観ました

土日でもないのに結構混んでいると思ったら、1日の「映画の日」(映画ファン感謝デー)でした 2本立てで一律800円で観られました

海軍士官のバダスキー(ジャック・ニコルソン)とマルホール(オーティス・ヤング)は、窃盗で8年の刑を宣告された若い水平メドウズ(ランディ・クエイド)の護送任務に着く 旅をするうち、3人の間には奇妙な友情が芽生えていく バダスキーとマルホールはまだ女性の経験がないというメドウズのために売春婦をあてがってやる 一方、メドウズは途中で出会った日蓮宗の女性信徒から脱走を勧められるが、彼は「俺たち3人は友人なんだ」と断り、旅を続ける しかし、護送先の刑務所が近づくと、メドウズは8年を無益に過ごしたくないと思い脱走を図る

 

     

 

この映画は、ダリル・ポニクサンの1970年の小説「The Last Detail」をもとにハル・アシュビーが映画化した作品です

最初から驚くのは、手錠をかけた犯罪者の護送だというのに、乗り合いバスを使い、普通の列車に乗って移動していくところです まあ、護送車なんかで護送したら映画が成り立たないでしょうけれど

2人の海軍士官は未成年の水平メドウズに、人生の先輩としていろいろと教えてやろうと、掟違反と知りながらメドウズの手錠を外して あちこちに連れまわしますが、思わず笑ってしまうシーンがいくつもあり、時間が立つのを忘れます

バダスキーを演じたジャック・ニコルソンがいい味を出しています 喧嘩っ早い短気な性格である一方で、年下のメドウズに対しては何とかしてやりたいという面倒見の良さを持っている海軍士官を見事に演じています オーティス・ヤング演ずる 任務に忠実なマルホールとはいいコンビです またメドウズを演じたランディ・クエイドは、肉体的には大人なのに精神的には未成熟な青年を見事に演じました

 

     

コメント
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