4日(日)。わが家に来てから今日で3064日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は2日、安全保障会議で「悪者たちがロシア国内の状況をかき乱している」と述べ、ウクライナ側からの攻撃をあらゆる手段で阻止するよう連邦保安庁の長官らに指示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
プーチンみたいな強権的な政治をやってれば 誰だって反発する 悪者はあんただ!
毎年6月にサントリーホール「ブルーローズ」で開かれる「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」が今年も始まりました 今年のベートーヴェン・サイクル(弦楽四重奏曲全曲演奏会)で演奏するのはイギリスのクァルテット、エリアス弦楽四重奏団です 1998年にマンチェスターの王立ノーザン音楽大学在学中に結成され、ケルン音楽大学ではアルバン・ベルク弦楽四重奏団に師事しました メンバーはヴァイオリン=サラ・ビトロック、ドナルド・グラント、ヴィオラ=シモーネ・ファン・デア・ギーセン、チェロ=マリー・ビトロックです なお、サラとマリー・ビトロックは姉妹です
プログラムはベートーヴェン①「弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 作品18-1」、②「同第3番 ニ長調 作品18-3」、③「同第15番 イ短調 作品132」です カルテットによっては「第1番」から「第16番」まで作曲年代順に演奏するプログラムを組みますが、彼らは初期の作品から2曲、後期から1曲を選ぶ方法を採用しました
1曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 作品18-1」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1837)が1798年から1800年にかけて作曲、彼の後援者フランツ・ヨーゼフ・フォン・ロブコヴィッツ侯爵に献呈した「6つの弦楽四重奏曲」の1曲です 完成されたのは第3、第1、第2、第5、第6、第4番の順だったので、2番目に作曲された作品ということになります 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ・アフェットゥオーソ・エド・アパッショナート」、第3楽章「スケルツォ、アレグロ・モルト」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります
4人の配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロです ヴィオラのシモーネ・ファン・デア・ギーセンが頭一つ 他のメンバーより背が高いです
第1楽章に入りますが、4人のバランスが取れていてアンサンブルが美しく響きます 第2楽章は、ベートーヴェンが作曲時にシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の墓場の場面を思い描いていたと伝えられていますが、ちょっと悲しくも不気味な雰囲気がよく出ていました 第3楽章、第4楽章と聴いて感じるのは、実質的に2曲目の弦楽四重奏曲ではあるものの、すでにベートーヴェンのDNAとでも言うべき音楽性が現れているということです
次の曲に移るにあたり、第2ヴァイオリンのドナルド・グラントがマイクを持って、「われわれは日本を、東京を訪問するのはこれが初めてです ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会をこの地で開くことができることを嬉しく思っています」と英語であいさつしました
2曲目は「弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3」です この曲は作品18の「6曲の弦楽四重奏曲」のうち最初に完成した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります
第1楽章が非常にゆったりしたテンポで開始されます まるで「ベートーヴェンが一番最初に完成した弦楽四重奏曲の第1楽章だ 慎重に丁寧に行こう」とでも打ち合わせていたのではないかと思えるほどでした この曲だと、まだハイドンの影響を受けていることが窺えます それは第4楽章のユーモラスな曲想に端的に表れています 楽しい演奏でした
プログラム後半は「弦楽四重奏曲第15番 イ短調 作品132」です この曲は1824年から25年8月にかけてウィーンで作曲、1825年11月6日にウィーンでシュパンツィヒ四重奏団により初演されました ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲はまず「第12番」「第15番」「第13番」の順番で3曲がセットで作曲され、その後「第14番」が、そして最後の「第16番」が作曲されました この曲は第1楽章「アッサイ・ソステヌート」、第2楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第3楽章「モルト・アダージョ(病が癒えた者の神への聖なる感謝の歌、リディア旋法で) ~ アンダンテ(新しい力を感じて)」、第4楽章「アラ・マルチャ・アッサイ・ヴィヴァーチェ ~ ピウ・アレグロ」、第5楽章「アレグロ・アパッショナート」の5楽章から成ります
べートーヴェンはこの曲で初めて従来の4楽章制を逸脱し、5楽章制を採用しました
演奏にあたり、第1ヴァイオリンのサラ・ビトロックがマイクを持って「第15番」の内容を簡単に解説して演奏に入りました
第1楽章の内省的な音楽が開始されます 第2楽章で好きなのはメヌエット風のトリオでバグパイプ風の音色の音楽が奏でられるところです 第3楽章は、ベートーヴェンが作曲中に持病が悪化したため中断されたが その後回復し作曲されたーという経緯があり、その時の神への感謝を音楽に託したものです エリアス弦楽四重奏団の演奏で聴いていると、やっぱりベートーヴェンの弦楽四重奏曲は「アダージョ」楽章が最高にいいなと思います それに続く第4楽章から第5楽章にかけては、まるで波乱万丈の人生のドラマのようです
拍手をしながら、「ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲は何とドラマティックで深いのか」と再認識した演奏でした