19日(月)。昨日の日経朝刊総合面の News Forecast コーナーに「ロシア制裁で揺らぐ『権威』 ~ 19日 チャイコフスキーコンクール開幕」という見出しのもと、編集委員の瀬崎久見子さんが記事を書いていました 記事を超略すると次の通りです
「第17回チャイコフスキー国際コンクールが19日、開幕する。ロシアで4年に1度開かれる著名な音楽コンクールで、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、声楽、木管、金管の6部門で16歳から(声楽は19歳から)32歳までに参加資格がある 日本人では前回の2019年に藤田真央がピアノ部門で2位に入賞した 過去にはヴァイオリン部門の諏訪内晶子や神尾真由子、ピアノの上原彩子らが1位になっている 公式サイトによると会期は7月1日まで。今年2月に参加者の応募受付開始を発表したが、欧米や中国以外のアジアの有力な若手も参加に二の足を踏んでいるとされる 政治と芸術は本来分けるべきだが、チャイコフスキー国際コンクールはそもそも冷戦期に旧ソ連の国力を示す目的で誕生したといわれる 今大会の責任者は、戦争を続けるロシアのプーチン大統領と近い関係にあり、昨年来 欧米などでの仕事を失っている指揮者のゲルギエフだ 『今回は上位入賞しても、欧米でのコンサートなどの仕事につながるとは思えない』と多くの音楽関係者が口にする。日本国内の音楽教育関係者からは『今年は無理に出なくてもいいと指導している』『参加すると将来の欧米での活動に差し障りが出そう』『他にもコンクールはたくさんある』との声も聞こえてくる。モスクワ音楽院などに留学中の学生はともかく、ロシアや友好国の若者が目立つ大会になりそうだ」
WEBマガジン「ONTOMO」によると、今回の参加者は23か国(米国、英国、カナダ、中国、日本、韓国を含む)から236名が出場、日本からは、ヴァイオリン部門に5名、ピアノ部門に2名が出場することになっています 出場するからには全力を尽くすべきだと思いますが、それぞれ どのような気持ちで臨むのでしょうね。気になります
ということで、わが家に来てから今日で3079日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は17日、アフリカの代表団と会談し、和平のためには、ロシアが一方的に併合を宣言した4つの州の独立をウクライナが認めることが必要だとの認識を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
主権国家に武力侵攻して 俺の領土だから認めろ というのは 野蛮人の世界の理屈だ
11月18日(土)14時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「東京芸術劇場マエストロシリーズ ~ 井上道義 & 読売日本交響楽団 = マーラー『復活』」のチケットを、芸劇メンバーズWEB先行販売で取りました プログラムはマーラー「交響曲第2番『復活』」です 出演はソプラノ=高橋絵理、アルト=池田香織、合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=読売日本交響楽団、指揮=井上道義です
周知の通り、井上道義は2024年12月末をもって指揮活動からの引退を表明しています この「芸劇マエストロシリーズ」では、井上 ✕ 読響のコンビにより、マーラーの声楽付き交響曲を3曲取り上げてきました 2018年に「第8番”千人の交響曲」、2019年に「第3番」、2021年に「大地の歌」が上演されました 今回のコンサートはその完結編と言うべき重要な位置づけにあります これを聴かずして何を聴くというのか 問題は彼の健康状態です。健康な状態で元気に指揮をとることを祈るしかありません
昨日、早稲田松竹でフランソワ・オゾン監督による2021年製作フランス・ベルギー合作映画「すべてうまくいきますように」(113分)を観ました
小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)は、85歳の父アンドレ(アンドレ・デュソリエ)が脳卒中で倒れたという報せを受け病院に駆けつける 意識を取り戻した父は、身体の自由が利かないという現実が受け入れられず、人生を終わらせるのを手伝ってほしいとエマニュエルに頼む エマニュエルは妹のパスカル(ジェラルディン・ぺラス)に相談するが、アンドレはエマニュエルに頼んだのだから自分で決めてほしいと答える その一方で、リハビリが功を奏し日に日に回復する父は、孫の発表会やお気に入りのレストランへ出かけ、生きる喜びを取り戻したかのように見えた しかし、父はまるで楽しい旅行の日を決めるかのように、娘たちにその日を告げるのだった
【以下、ネタバレ注意】
この映画は安楽死・尊厳死をテーマにした作品ですが、随所にユーモアを交えてストーリーが展開し、重さを感じさせません しかし、もし自分が85歳のアンドレの立場だったらどう考えるか、あるいは、もし自分が娘のエマニュエルの立場だったらどう考えどう行動するかを考えさせられます とくに娘の立場は安楽死を手助けする「自殺幇助」であり、フランスでは違法なのです 結局、アンドレは安楽死が合法的なスイスに行くことになりますが、エマニュエルとパスカルは弁護士に相談しスイスまで同行することはしません アンドレはスイスの尊厳死協会の手配によって思い通り目的を達成します。娘二人は父親の希望を叶えてあげたことになります この映画の原題は「 EVERYTHING WENT FINE 」であり、「すべてうまくいきました」です つまり、オゾン監督は尊厳死の希望が叶えられて良かったと考えているのです
尊厳死協会の責任者を演じた女性はどこかで見たことがあると思ったら、ドイツのファスビンダー監督による1979年製作映画「マリア・ブラウンの結婚」でヒロインを演じたハンナ・シグラでした すぐには分かりませんでしたが、ふっくらした顔つきに昔の面影がありました
この映画では、ブラームスの音楽が有効に使われています エマニュエルがCDの封を切ってCDプレーヤーにかけて流れてきたのはブラームスの「ピアノ・ソナタ」でした アンドレが安楽死の薬を飲んで深い眠りについた時に流れていたのも同じ音楽だったという設定になっています また、孫が発表会でクラリネットを吹いたのはブラームスの「クラリネット三重奏曲」でした この曲はエンドロールでも静かに流れていました
劇中で流れるブラームスの音楽を聴いていて、ブラームスの音楽は「人生の黄昏」とか「晩年」という言葉にすごくマッチするように思いました