人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019」第1日目②ネルソン・ゲルナーのラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、ベレゾフスキーのショパン「ピアノ協奏曲第2番」を聴く

2019年05月04日 00時57分23秒 | 日記

4日(土・祝)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

 

         

 

3日(金・祝)午後4時半からホールAで公演番号114「ラフマニノフ~アメリカでの挑戦」を聴きました プログラムはラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調」です 演奏はピアノ独奏=ネルソン・ゲルナー、アレクサンドル・スラドコフスキー指揮タタルスタン国立交響楽団です

自席は1階4列37番、センターブロック右通路側です 前の公演に次いで5000人規模のホールAは かなりの聴衆が入っています。ゲルナー人気でしょうか

この曲はラフマニノフが初めてのアメリカへの演奏旅行のために作曲した作品で1909年に完成しました 良く知られているようにラフマニノフは優れたピアニストでもあったので、彼自身のピアノ独奏で初演されました

ピアノ独奏のネルソン・ゲルナーは1969年アルゼンチン生まれですが、風貌と体形が小柄なラヴェルに似ています 1990年のジュネーヴ国際コンクールで第1位を獲得しています 一方、指揮者のアレクサンドル・スラドコフスキーは、春日野部屋出身の力士か、と思うほど割腹がよく血色がよい大男です タタルスタン国立交響楽団はロシア連邦西部のタタルスタン共和国で1966年に創設されたオーケストラとのことです

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです。超美人のコンミスが控えます

この曲は第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「インテルメッツォ:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーブ」の3楽章から成ります

スラドコフスキーの指揮で第1楽章に入ります 小柄な身体から、よくもこんな大きな音が出るなあ、と感心するくらい迫力満点の音が迫ってきます ゲルナーは超絶技巧の最たる曲を何の苦もなく弾きこなしていきます ラフマニノフは大男で手も大きかったので、楽に演奏できたと思われますが、小柄なゲルナーは手だけは大きいのだろうか、と思ったりしました

 

     

 

次いで午後6時45分からホールAで公演番号115「ショパンの青春~旅立ちの前に」を聴きました プログラムは①ショパン「練習曲集作品25」から第1番”エオリアンハープ”、第2番、第6番、第7番、第11番”木枯らし”、第12番、②同「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調作品21」です 演奏はピアノ独奏=ボリス・ベレゾフスキー、管弦楽=シンフォニア・ヴァルソヴィアです

自席は1階2列37番ですが、会場に入りステージを見て唖然としました 舞台中央のグランド・ピアノの向きが異常なのです 通常の横向きスタイルでもなく、弾き振りのときのように鍵盤が客席に向いているスタイルでもなく、その反対の向きなのです つまり、ピアニストは客席の方を向いて演奏するスタイルをとるのです。こういうスタイルは生まれて初めて出会いました 隣席の女性は「何これ、変なの、珍しいから写真撮っとこぉ」と写メしていました。会場内は撮影禁止と言ってなかったか

スラドコフスキーに負けない力士級の身体の持ち主ベレゾフスキーが登場し、ステージ中央のピアノの向こう側に向かいます 客席側に顔を見せる形で演奏を開始しますが、自席は前過ぎるのでベレゾフスキーの顔は見えず下半身しか見えません 演奏に入る直前、隣席の女性がクスリと笑いました あなた、ベレゾフスキーの股間を見てましたね

6曲の練習曲はあっけなく弾き終え、メインのピアノ協奏曲第2番の演奏に移ります この曲はショパンがパリに発つ前の1829年から30年にかけて作曲した作品ですが、第1番よりも先に作られたので実質的な第1番です 第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

オケの編成は、センター奥にピアノが構え、左サイドにヴァイオリン・セクションが、右サイドにヴィオラとチェロとコントラバスがスタンバイする形です したがって、ピアニストは管楽器を背にして弦楽器を前にして演奏することになります こういうの、弾き振りというのだろうか???

ピアニスト、というよりはコンマスの合図で第1楽章に入ります 比較的長めの序奏に続いて独奏ピアノが入ってきますが、ニュアンスに満ちた演奏です とくに第2楽章の抒情感に満ちた演奏が心に沁みました

ベレゾフスキーの「弾き振りをしたい」という気持ちは分かりますが、あの形態では指揮振りは出来ません なぜなら、管楽器を背にしているので管楽器に合図を送ることが出来ないからです その点、コンマスはピアニストも、管楽器も、もちろん弦楽器も視野に入っているので、弾き振りが可能です 演奏中、私はずっとコンマスの動きを見ていましたが、やはり彼がコントロールセンターを務めていました

いずれにしても、ピアノの向きがどうであれ、演奏自体はショパンらしく素晴らしかったです

かくして、私のラ・フォル・ジュルネ音楽祭の第1日目は終わったのでした

 

     

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「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2019」第1日目①ビジャーク・デュオのリスト&アルベニス他、アキロン・クァルテットのモーツアルト&ハイドン、ケフェレックのモーツアルトを聴く

2019年05月04日 00時08分41秒 | 日記

4日(土・祝)その1.わが家に来てから今日で1674日目を迎え、安倍晋三首相は北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談について、前提条件をつけずに実現に向けた調整を進める方針を固めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      テーブルにつけせることが最優先だけど 慎重にやらないと元も子もなくなるよ

 

         

 

5月の3連休に丸の内の東京国際フォーラムを中心に開かれている「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」が昨日から始まりました 昨年は池袋の東京芸術劇場も会場に加わりましたが、大手町と池袋の間の移動が面倒で批判が殺到したせいか、今年は外されました

 

     

 

今年の「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2019」のテーマは「ボヤージュ 旅から生まれた音楽」ですが、私はテーマに関係なくプログラム本位で16公演を選びました 昨日はその第1日目で、次の5公演を聴きました

①公演番号151 午前9時30分~ ホールD7 「旅する大ピアニストたち」

②公演番号152 午前11時15分~  同上   「アキロン・クァルテット」

③公演番号113 午後2時15分~ ホールA  「モーツアルトとプラハ」

④公演番号114 午後4時30分~   同上    「ラフマニノフ~アメリカでの挑戦」

⑤公演番号115 午後6時45分~   同上    「ショパンの青春~旅立ちの前に」

ここでは前半の①②③について書きます

 

     

 

最初に聴いたのは午前9時30分からホールD7で開かれた公演番号151「旅する大ピアニストたち」公演です プログラムは下のペーパーの通り①リスト「ドン・ジョバンニ」の回想、②ショパン「ムーアの民謡の主題による変奏曲ニ長調」、③モシュレス「ヘンデルを讃えて」、④サン=サーンス「アラビア奇想曲」、⑤アルベニス:組曲「イベリア」第3巻から第9曲ラヴァピエス(アリシア・デ・ラローチャによる2台ピアノ版)です 演奏はリディア・ピジャーク&サンヤ・ピジャーク(ピアノ・姉妹デュオ)です


     


自席はB列2番。といっても前に臨時席が2列あるので4列目の左から2つ目です 1976年と1988年生まれのベオグラード出身のビジャーク姉妹が登場しピアノに向かいます 最初の曲は1台のピアノを連弾するようです。茶髪に白の衣装が妹のサンヤさん、黒髪に黒の衣装が姉のリディアさんだと思われます 衣装の色の組み合わせはピアノの黒鍵と白鍵をイメージしているのでしょうか

さて、二人並んで演奏に入りますが、どこまでいってもモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」のメロディーが出てきません 第一、リストの曲は2台のピアノのための曲ではなかったか・・・と疑問が膨らみます とうとう最後まで出てきませんでした 2曲目からは2台のピアノを使用して演奏しますが、2曲目が どうもプログラムにあるショパンの曲に聴こえません この辺で、まさか演奏順が変更になったのではないかと疑い始めましたが、なにせ2曲目以降は1曲も聴いたことのない曲なので どういう風に順番が変更になっているのか判断できません   もやもやの気持ちのまま最後に曲になり、やっと「ドン・ジョバンニ」のメロディーが出てきました

演奏後、係員に「順番が変わっていましたよね 」と訊くと、「はい。入口のボードに掲示しております」という答えです メッセージ・ボードを見ると小さい紙に正誤表のようにして演奏順が掲示されていました。要するに1曲目のリスト「ドン・ジョバンニ」の回想を最後にもってきて、最初に2番目のショパンの曲を1台ピアノで弾き、3番目のモシュレス以降を2台ピアノで弾いたのでした

プログラムの順番が入れ替わるというのは大きな問題です 聴く側は事前に告知がない限り、プログラム通りの曲を聴いているつもりでいます。変更になるのなら事前にひと言アナウンスすれば済む問題でしょう あるいは手書きでも良いから大きな字で「リストの曲を最後に演奏します」とでも書いて掲示すれば済む問題でしょう 誤った情報に基づいて聴いていたため、それぞれの曲に対するイメージが全くつかめないまま聴き終わってしまいました 関係者の猛省を求めます

なお、ビジャーク姉妹の名誉のために付言しますが、最後のリストをはじめ演奏自体は素晴らしかったです


     


次いで午前11時15分から同じホールD7で公演番号152「アキロン・クァルテット」のコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲第5番ヘ長調K.158」、②同「弦楽四重奏曲第6番変ロ長調K.159」、③ハイドン「弦楽四重奏曲第66番ト長調作品64‐4」です

自席はA列11番、といっても3列目のセンターブロック右から4つ目です

実はアキロン・クァルテットは初めて聞く名前だったので、女性4人が登場した時はビックリしました てっきり男性グループだと思っていたのです このクァルテットは2011年にパリで結成され、ボルドー国際弦楽四重奏コンクールで優勝しているとのことです

最初に演奏されるモーツアルトの弦楽四重奏曲「第5番ヘ長調K.158」と「第6番変ロ長調K.159」は、1772年10月から73年3月までの第3回イタリア旅行の時に書かれた6曲の弦楽四重奏曲の一部です これらは「ミラノ四重奏曲」の愛称で呼ばれています 旅行に同行した父レオポルドがザルツブルクの家族に宛てた手紙には「息子は退屈しのぎに弦楽四重奏曲を書いている」と書かれていますが、実はレオポルドがモーツアルトに交響曲を作曲する基礎の勉強のために書かせていたのです

アキロン・クァルテットの面々が配置に着きます。第1ヴァイオリン=エムリン・コンセ、第2ヴァイオリン=エリーズ・ドゥ=ベンドゥラック、ヴィオラ=テス・ジョリー、チェロ=ルーシー・メァカットというメンバーです

最初に「弦楽四重奏曲第5番ヘ長調K.158」が演奏されます この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・アレグレット」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」の3楽章から成ります 4人の演奏で聴くこの曲は とても16歳の作品とは思えない充実した響きです とくに第2楽章冒頭の第1ヴァイオリン ⇒ 第2ヴァイオリン ⇒ ヴィオラ ⇒ チェロへと引き継がれるフーガが素晴らしく響きました

次の曲は第6番変ロ長調K.159」です 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります この曲では第2楽章で悲壮感が良く出ていました また第3楽章はほとんどディベルティメントで、愉悦感に満ちています もっとも、当時は弦楽四重奏曲とディベルティメントの境はあいまいだったので、交響曲の勉強のためならどちらでも良かったのかも知れません

最後の曲はハイドンが1790年に作曲した「弦楽四重奏曲第66番ト長調作品64‐4」です 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「メヌエット&トリオ:アレグレット」、第3楽章「アダージョ、カンタービレ・エ・ソステヌート」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります この曲では第1楽章と第4楽章の愉悦感に満ちた演奏と、第3楽章のカンタービレが美しく響きました

 

     


ここで昼食を取って、ホールAに向かい午後2時15分から公演番号113「モーツアルトとプラハ」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503」、②同「クラリネット協奏曲イ長調K.622」です 演奏は①のピアノ独奏=アンヌ・ケフェレック、②のクラリネット独奏=二コラ・バルデイル―、ミハイル・ゲルツ指揮シンフォ二ア・ヴァルソヴィアです

自席は1階2列37番、センターブロック右通路側です。はっきり言って前過ぎです 5000人収容のAホールはケフェレック人気か、プログラミングの良さか、かなりの聴衆で埋っています

1曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503」です この曲は1786年(30歳)のクリスマスに先立つ時期の演奏会のために書かれたと言われています 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという並びです 長身のミハイル・ゲルツに伴われて小柄なケフェレックが登場しピアノに向かいます。さっそく第1楽章の演奏に入りますが、前から2列目でピアノのすぐ近くなので、音が直接的に届いてきます 音の粒だちが綺麗に聴こえます。いつものようにケフェレックは端正な演奏でした

2曲目は「クラリネット協奏曲イ長調K.622」です この曲はクラリネットの名人で友人のアントン・シュタードラーのために、死の2か月前の1791年10月に完成されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

ゲルツの指揮で第1楽章の演奏に入ります テンポは最適です 二コラ・バルデイル―のクラリネットは、高音と低音の吹き分けが鮮やかです この曲の白眉は第2楽章「アダージョ」です。バルデイルーは透明感のある寂寥感に満ちた演奏を展開しました

このあとの2公演は「第1日目②」に続きます

 

     

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