人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京文化会館「オペラ夏の祭典~トゥーランドット」無料リハーサルあります / 恩田陸著「蜜蜂と遠雷(上)」を読む ~ 浜松国際ピアノコンクールをモデルにして書かれた若き天才ピアニストたちの熱い戦い

2019年05月30日 07時21分33秒 | 日記

30日(木)。わが家に来てから今日で1700日目を迎え、文部科学省のキャリア官僚が自宅マンションで覚醒剤と大麻を所持していたとして逮捕された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

         文科省のキャリアが覚醒剤と大麻のキャリアーだったとは 驚き桃の木山椒の木!

 

         

 

昨日、夕食に「塩だれ豚丼」と「冷奴」を作りました 「豚丼」は娘のリクエストです。立ちっぱなしの仕事のためスタミナが消耗するので、ニンニクやネギを使ったこの種の料理が食べたくなるようです 「冷奴」には、ミョウガ、オクラ、削り節を載せました

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊 東京・首都圏経済面に「オペラ夏の祭典  リハを無料公開」という見出しが躍っていました 超訳すると

「東京文化会館は7月、音楽イベント『オペラ夏の祭典』のリハーサルの一部を無料公開する 2020年五輪・パラリンピックに向けた文化プログラムの一環で、幅広く参加を促して五輪の機運醸成につなげる リハーサルを公開するのは7月12~14日に本番を控えるオペラ公演『トゥーランドット』だ 本番直前の9~10日、全3幕の第1幕のみ、45分程度の内容を無料で鑑賞できるようにする 6月1日からインターネットなどで申し込みを受け付け、応募が多ければ抽選で各日400人程度を招待する。本番のチケットは最高ランクで3万円以上するため、敷居が高いイメージを持たれがちだと判断した

本番直前のリハーサルなのでゲネプロ(本番と同じ衣装を着けてオーケストラをバックに歌い演じるリハーサル)だと思われます 公開時間の45分は短いと思いますが、ホンモノのオペラに接するチャンスです 「東京文化会館」を検索して申し込んでみてはいかがでしょう

 

         

 

恩田陸著「蜜蜂と遠雷(上)」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 恩田陸は1964年宮城県生まれ。1992年「6番目の小夜子」でデビュー。2005年「夜のピクニック」で吉川英治文学賞新人賞と本屋大賞、2017年「蜜蜂と遠雷」で直木賞と本屋大賞をダブル受賞しています

 

     

 

舞台は、近年 その優勝者が世界的なコンクールを制覇するなど、世界の音楽界から注目を集めるようになった芳ケ江国際ピアノコンクールです 3年ごとに開かれ第6回目を迎えるコンクールに出場するのは、養蜂業を営む父親とともに各地を転々と移動しながら生活している風間塵16歳、かつて天才少女としてデビューしながら突然の母親の死以来、ピアノが弾けなくなり一度は現役を引退した栄伝亜夜20歳、楽器店勤務のサラリーマンで唯一の既婚者・高島明石28歳、母親が日系三世で、審査員のナサニエル・シルヴァ―バーグの愛弟子マサル・カルロス・レヴィ・アナトール19歳、この4人の天才ピアニストたちが中心となりコンクールの火蓋が切られます

審査員たちを驚かせたのは、風間塵が提出した履歴書に、「コンクール歴なし。日本の小学校を出て渡仏、(弟子を取らないことで有名な)故ユウジ・フォン・ホフマンに5歳から師事」と書かれていたからです さらに驚かせたのは、父親が養蜂家ということで移動生活のためピアノを持っていないという事実でした

マサルは両親の仕事の関係で日本からフランスへそして11歳の時アメリカに渡ったのですが、それ以前の日本にいる時、亜夜と同じピアノの先生に習っていたことがコンクールで再会した時の会話で分かります。二人は幼馴染みでありコンクールのライバルでもあるわけです

恩田陸さんを25年も担当している出版社の志儀保博氏が巻末の「解説」を書いていますが、それによると

「恩田さんから『ピアノコンクールの話を最初から最後まで書いてみたい それで、今年の浜松国際ピアノコンクール(浜コン)を取材したい』と言われたのは2006年の夏。前年2005年のショパン国際ピアノコンクールで優勝したポーランドのラファウ・ブレハッチさんが初めて出場した国際コンクールが2003年の『浜コン』で、最高位(1位なしの2位)になりましたが、その時の出場自体が書類選考を経たオーディションから勝ち上がってのもので、しかも彼の自宅にはグランドピアノがなく、それらはどれもが異例でした

ということです

このことから分かるように、この小説は浜松国際ピアノコンクールをモデルにして書かれています 恩田さんは3年ごとに開かれる「浜コン」を、その後も毎回聴きに行ったようです その間、「浜コン」は2006年=アレクセイ・ゴルラッチ(ウクライナ)、2009年=チョ・ソンジン(韓国)、2012年=イリヤ・ラシュコフスキー(ロシア)、2015年=アレクサンデル・ガジェヴ(イタリア/スロベニア)と優勝者を輩出しましたが、このうち韓国のチョ・ソンジン(1994年生まれ)は2015年の第17回ショパン国際ピアノコンクールで優勝を果たしています 恩田さんはこれらすべてのコンクールを聴き、何らかの形で小説に取り込んでいったことになります

「上巻」(454ページ)では第1次予選と第2次予選の途中までの模様が描かれています 上巻の中で特に印象に残った言葉を抜き出してみようと思います

最初は、第1次審査が終わった後で、風間塵の演奏があまりにも独創的で審査員の評価が真っ二つに割れた時に、シモンとスミノフが嵯峨三枝子を説得する言葉です

「彼の音楽を許すの許さないのというのは、我々が決めるべきことではない。ある一定のラインに達して入れば、機会を与える。それがこのオーディションの目的なのであって、候補者の音楽性が気に入るか気に入らないかは、現時点では問題ない。もう1回聴いてみたくない?あれがまぐれだったのかどうか、確かめたくない?」

この言葉は、演奏を聴く時の指針になるものだと思います 誰もが上手で優劣の判断が難しい時に、最終的な決め手になるのは「演奏をもう一度聴きたいと思うかどうか」ということだと思います

次は日本人や韓国人がクラシック音楽をやる意味についてです

「今回、目を引くのは近年あらゆる分野で活躍著しい韓国勢だ。いわゆる韓流スターをみていても思うことだが、彼らにはまっすぐなパッションと、この言葉がふさわしいのか分からないが、ある種の『いじらしさ』を感じるのだ 彼らが民族的に持っている『激しさ』と『いじらしさ』はドラマティックなクラシック音楽とは相性がいいように思える。じゃあ日本人らしさってなんだろう。日本人の売りは何だろう

これはクラシック音楽を考える上での根源的な問題です 演奏する人たちはそれぞれの答えを持っているのだろうか

上巻では、4人とも一次審査を通過しました 下巻(508ページ)ではどうなるでしょうか? 栄冠は誰の手に? 楽しみです

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