野趣豊かで哀調を帯びた「おわら節」は日本民謡の白眉と称えられる。
夕日色の衣装に黒繻子の帯、編み笠の下からわずかにのぞく白い顔・・・
恋心をかきたてるおわら踊りが各支部で披露される。
やがて、夜も更けて人影も途絶えがちになると・・・
町を流れる ‘えんなか’の瀬音を縫うように・・・
胡弓の音色が響く。
近づいては遠のいてゆく町流しの集団。
町の辻々で踊りの輪が浮かび上がる。
胡弓の切々とした旋律が無我の境地へ誘う。
美しい所作の中で微妙に変化するゆかしい手つき。
夜更けのおわらは音と影絵の抒情詩だ。
各支部で行われるファイナルセレモニー。
「久々で 逢うて嬉しや 別れの辛さ 逢うて別れが オワラ なけりゃよい」
福島支部恒例の「見送りのおわら」に送られ帰途に就きました。
2014年9月 富山県富山市八尾町