近畿地方の古墳巡り!

歴史シリーズ、第九話「近畿地方の古墳巡り」を紹介する。特に奈良盆地・河内平野の巨大古墳・天皇陵の謎などを取上げる。

縄文人の謎・ロマン 縄文土器の造形美“勝坂式土器”とは!

2007年09月28日 | 歴史
縄文土器は世界でも類を見ない、独特な造形美を持ったひとつの文化であり、その造形美をもっとも華やかなに展開したのは縄文時代中期で、例えば“勝坂式土器”がその代表的事例。

勝坂式土器は、西関東~中部地方を中心に分布した縄文中期中ごろの土器型式で、神奈川県の“勝坂遺跡”から出土した土器が標式。

器種が豊富で、大型で器壁が厚い深鉢土器のほかに浅鉢・台付鉢・有孔鍔付土器・釣手土器などが見られる。

文様は縄文の使用が低調で、太めの隆帯を多用しつつ主に沈線や結節沈線などで構成され、粘土隆帯による人体・蛇体・獣類の表現も、この勝坂式土器に多く見られる。

特に粘土ひもによる文様の割付が基本で、その中をシノ竹による文様で埋め尽くし、土器全体を文様で埋めようとする意識が強いのが特徴。

と云うように、縄文土器を代表する勝坂式土器は、縄文がなく、文様が際立って美しい土器であるとは何とも皮肉ではあるが・・・・・。





写真は上から、長野県伊那市の月見松遺跡から出土した、顔面把手付土器及び岡谷市瀬戸遺跡から出土した、顔面把手付土器。

口縁に一つだけ付けられた大きな装飾把手が印象的で、絶妙なプロポーションとの調和も見事であり、勝坂式土器の傑作のひとつと云える。





写真は上から、山梨県勝沼町釈迦堂遺跡の人体文土器及び多摩市諏訪遺跡の人体文土器。

縄文土器の文様は、抽象的な幾何学模様がその大半を占めるが、縄文中期には人体・動物などをモチーフにしたものも作られ、“蛇文体”という蛇の文様が施された土器も見つかっている。

蛇は、その生命力の強さから豊饒を祈願した象徴であり、あるいは自然の中の神とも見られていたらしい。





写真は上から、物語性を帯びた、長野県穂高町他谷遺跡の“井戸尻式土器”及び山梨県明野村諏訪原遺跡の縄文中期の“曾利式土器”。

縄文土器の装飾は、単なる飾りではなく、「物語性」をも持ち、純粋な装飾文様と「物語性文様」を合わせ持つ土器もある。

上の写真は、縦に4分割された特異なデザイン文様が施され、確かに何らかの物語を想起させる。
文字を持たない縄文時代の人々が、土器を媒介として語りかけたもとは、一体何だったのか?