<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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海洋博記念公園からほど近いところに、沖縄ならではの風景があるということがレンタカー会社で貰った沖縄ドライブマップに書かれていた。
その場所は「備瀬のフクギ並木」といい、猛烈な台風から集落を守るために作られた沖縄ならではの防風林なのであった。
天気もいいし、もしかすると絶好の写真スポットなのではないかと思い、訪れることにした。

海洋博記念公園から自動車を走らせること僅か数分。
国道から少し脇道に入り、畑の中を抜けたところに、その並木道があった。

正直、並木道というよりも、並木トンネルといった感じの様相を呈した場所で、両側から迫るフクギ(というのかな?)の樹がトンネル状に道路を覆い、それに沿って並ぶ家屋を暴風雨から守っているのであった。

夏のような強い陽射しがフクギの枝葉から差し込み、キラキラと路面の上に絶妙な影を演出している。
素朴に奇麗だ。

「.......シャッターチャンスや!」

と心の中に叫んでは見たものの、大きな問題が立ちはだかった。
乗って来た自動車を駐車する場所が見当たらないのだ。

狭い道路の両側から並木が迫り、しかも家も建ち並んでいるので、自動車を駐車しようとする道路を塞いでしまう。
どうしても駐車するとなると誰かの家の庭につっこむか、道路の通行を妨害し、無理やり駐車するしか方法が見当たらない。
でもこの光と自然の絶妙な写真を撮影しようと思ったら、どうしても自動車を停車させなければならない。
自動車をゆっくりと走らせながら、窓から手を出し、シャッターを切ろうという方法も思いたったのだが、それはあまりに危険すぎる。
そうこう悩んでいるうちに、並木は途切れ大きな三叉路に出た。

三叉路のところには若干の空き地があり、レンタルしていたデミオ程度なら駐車できそうだし、短時間ならなんとかなると道路の隅に駐車して急ぎ、フクギ並木を急いだ。
そしてシャッターを切った。

ふと、並木とは直角に交差した路地を見ると右手に住宅の垣根が続いているのだが、その向こう、クヌギと住宅の塀のトンネルの向こうに、キラキラと輝くエメラルド色の海が見える。

「おお!ごっつう、キレイや!」

と、私は海に向かって一目散に走った。

クヌギ並木のトンネルを抜けると、そこにはトロピカルな南国の海が広がり、太陽が燦々と輝いていたのであった。

打ち寄せる波音。
人影は殆ど見えない。
青空にはところどころにポッカリと丸い白い雲が浮かんでいる。
海は限りなく透明で、底が透けて見え、泳いでる魚さえ見えそうだ。

大阪や東京での喧騒を思い出すと、同じ日本でもこうも違うものか、と違法駐車していることも暫し忘れ、その穏やかな景色に見とれてしまったのであった。

なお、近くのペンションなどに有料の駐車場があることは、ここを離れる時に気づいた。
良い子の旅行者の皆さんはちゃんと駐車場に止めてください、と一応書いておかなくてはなるまい。

つづく



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