僕は内閣総理大臣は、日本国において最高の地位・責任のある職務であると思っている。また、だからこそ日本語を使って語ることをおろそかにするのは、見逃しがたい。自分は英語の先生である。だからこそ、むやみにカタカナ語、英単語を振り回す日本の政治家は嘆かわしく、みにくいものだと思っている。国会が開かれるたびに実施している、内閣総理大臣の施政方針演説のカタカナ語調査を今回も実施する。
なお、演説原稿は官邸ウェブサイトからDLした。平成22年10月1日(金)、衆議院本会議おける演説の原稿である。この分析は、その原稿の字句をおったもので、略語等を実際の演説でどう言ったかは考慮していない。オリジナルはPDFで縦書きなので、演説の章立ての数字もホントは漢数字である。
評価方法はいつも通り、〇X△で評価。
見出し語の隣の数字は、演説のどこで出てきたか。
例 〇〇〇(1112)
〇〇〇は1章で3回、2章で1回使われたことを表す。
演説は以下のように章立てられている。
1 はじめに
2 経済成長の実現―経済対策と新成長戦略の推進
(成長と雇用による国づくり)
(円高、デフレ状況に対する緊急的な対応―第一段階)
(今後の動向を踏まえた機動的な対応―第二段階)
(新成長戦略の本格実施―第三段階)
3 財政健全化と行政の無駄削減
(財政運営戦略の実施)
(来年度予算編成に向けて)
(行政改革、公務員制度改革の推進)
4 社会保障改革
(改革の必要性)
(与野党間の議論)
(子ども・子育て支援の充実)
5 地域主権改革の推進
6 国を開き未来を拓く主体的な外交の展開
(「歴史の分水嶺」における外交)
(日米同盟)
(日中関係)
(東アジア地域の安定と繁栄に向けて)
7 政治改革と議員定数削減
8 結び
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まず、評価〇のもの。単語だとわかりにくそうなものは、カッコに前後の語を加えた。
エネルギー・再生可能エネルギー・新エネ・省エネ(226)
クリーン(7)
(カネのかからないクリーンな政治)
・・・カネは金じゃダメなのかな。
グローバル(6)
(グローバルな課題)
コスト(2)
サービス(223445)
デフレ(22222)
バランス(4)
(現金給付と保育所の整備などの現物支給のバランス)
ビザ(2)
プロ(3)
(行政のプロ)
マニフェスト(3)
ミサイル(6)
〇が付けられないがXとまでは言えないもの。△評価。
ワンストップ(2)
イノベーション(2)
ターゲット(2)
・・・対象ではいけないのか。
ニーズ(4)
・・・需要とか必要ではいけないのか。
パートナーシップ(6)
(環太平洋パートナーシップ)
・・・協力関係、協調関係ではダメなのか。
APEC(66)
ASEAN(6)
この二つは、最低でも、APEC・アジア太平洋経済協力(会議)、ASEAN・東南アジア諸国連合と加えるべきだ。
評価Xと思うもの。
COP10(6)
(生物多様性条約に関するCOP10)
EPA・FTA(6)
経済連携協定(Economic Partnership Agreement)・自由貿易協定(Free Trade Agreement)と言えないかな。
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今回の演説、全体でカタカナ記述、アルファベット記述は28見出し語の合計44語だった。そのうち、7例が人名・地名・地域名だった。全部で11回出てきている。
外来語をそのままカタカナで使う例はかなり少なく、喜ばしいと思う。
なお、以下は人名・地名・地域名なので除外した。
オバマ大統領(6)
アジア(6)
(東アジア共同体構想)
アジア太平洋〇〇(66666)
アフガニスタン・パキスタン支援(6)
イラン(6)
(イランの核問題)
インド(6)
(インド洋)
ロシア(6)
その他1見出し語、1語。
東シナ海は表記上カタカナだが、戦前は東支那海と表記されていたし、現在のこの表記は外務省の公式文書で使われている。
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自分の不勉強、不明をさらすことになるのだが、これが僕の評価である。