全英連参加者のブログ

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平成29年度埼玉県公立高等学校入試 今回は読解問題を比較してみよう。

2017-09-04 04:00:00 | 教師の仕事 2017

 読解問題は標準問題3と、選択問題3である。問題は全く別のものである。

標準問題 選択問題
問題
番号
分類
問題
番号
分類
リスニング  28 リスニング 28
作文 12 会話文
読解
30
読解 20 読解 32
会話文
読解
30 作文 10
作文 10 - - - - - - - - - - - -

 標準問題3 読解問題
 発表資料(「Ⅱ 各教科の正答率、問題の内容及び所見・解説」以下「資料」とする)によれば、この問題は『まとまった長さの英文を読んで、あらすじや大切な部分を読み取る力と、場面に応じて英語で適切に表現する力』を見ようとする問題である。

 『中学校卒業を控えたSatoruが、卒業時、担任の鈴木先生に何かしたいと考えていることを、クラスメイトのTakakoとMikeと話している』という場面設定である。
 問題文は419語、問題数は6、それぞれ以下のことを問うもの。カッコ内は配点と通過率である。

 間1(③,79.3)
 本文中の3ヶ所のどこかに、「I'll ask my classmates tomorrow」を補うことをもとめる問題。
 文脈をキチンと読み取ることが必要である。2ヶ所目に入る。
 問2(③,47.4)
 下線部が「彼女は私たちとの時間を思い出すことができます」という意味になるように、カッコにあてはまる適切な1語を、英語で書くことをもとめる問題。
 She can ( remember ) her time with us after we graduate.
 問3(③,56.1)
 下線部@について、(take)を適切な形にして、書くことをもとめる問題。
 修学旅行のことなので、過去時制tookが解答になる。
 問4(③,66.8)
 下線部について、(   )にあてはまる最も適切な1語を、4つの英文から1つ選ぶことをもとめる問題。
 て主人公は合唱祭の準備がうまくいかず、とても悲しい気持ちになって...という内容である。
 as / much / only / so
 問5(④,69.6)
 本文の内容に関する次の質問の答えとなるように、(   )に適切な英語を書くことをもとめる問題。
 Question:
 What did Mike become interested in after the school trip to Kyoto?
 Answer:
 He became interested in ( Japanese history ).
 名前がMikeだから留学生とは言い切れない。外国人子女の可能性も当たり前のようにある。ただ、このMikeクンは修学旅行に行き、日本史に興味をもったという内容が、本文にある。
 問6(④,37.4)
 Satoru は、合唱コンクールを通してクラスのみんながどのようなことを学んだと述べているか、日本語で書くことを求める問題。
 本文中にThrough the contest...との記述がある。ここに気がつければ、「全力を尽くすことが大切だということ。」になる。

 各設問の配点に、通過率をかけて得点を推計すると11.7pts./20である。得点平均を配点で割ると、58%になる。

 問1~問4は一部正答(いわゆる部分点)は発生しないと思うのだが、資料によれば問2、問3でそれぞれ7人と1人一部正答の扱いを受けている。なぜだかわからない。

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 選択問題3 読解問題
 この問題は「学校選択問題」の発表資料(「Ⅱ 各教科の正答率、問題の内容及び所見・解説」以下「選択問題資料」とする)によれば、この問題は『まとまった長さの英文を読んで、あらすじや大切な部分を読み取る力』を見ようとする問題である。標準問題3の『場面に応じて英語で適切に表現する力』は、選択問題では問題5で問うことになる。
 英文はスピーチの原稿。語数は719語。『高校1年生のKeitaがLight Pollution(光害)という題で行ったスピーチ』という場面設定である。

 間1(③✕2 / 順に78.5と16.4)
 空欄2ヶ所に適切な1語を、それぞれ英語で書くことをもとめる問題。
 a [ few ] stars
  starsが複数であることに気がつけば答えられる。
 make them [ afraid ] of coming up to the beach
  be afraid ofがわからないと、厳しい。
 問2(③ / 37.5)
 カッコすべての語句の整序問題。
 I want to know why it is becoming difficult to see the stars.
 問3(④ / 75.6)
 下線部 It realy isitがさすものを、本文中から5語の英語で抜き出すことをもとめる問題。
 losing a dark night sky
 下線部の前文にYou may think that losing a dark night sky is not a big problemとある。
 下線部の後、a big problemが省略されている。
 問4(③✕3 / ア.44.8 イ.48.8 ウ.49.1)
 空欄3ヶ所にあてはまる最も適切な文を、次の4文から1つずつ選ぶことをもとめる問題。
 ア.But the more important thing is to think about how to stop it.②
 イ.Writers, singers, and artists have also been influenced by the beautiful stars in the night sky.①
 ウ.Then we can use the light of the sun to make clean energy and stop global warming.
 エ.Scientists say that light pollution can be reduced if street lights' covers have a better design.③
 問5(④ / 39.7)
 Keitaは、スピーチで取り上げた高校生たちが、彼らの取り組むキャンペーンの中でどのようなことをすると述べているか、日本語で具体的に書くことを求める問題。
 彼らの市の人々に、8月のある夜に家の明かりを消すように頼むこと。
 問6(③✕2 / イ.70.6 オ.74.3)
 本文の内容と合うものを、次の6文から2つ選ぶことを求める問題。
 ア.Keita saw some stars in Nagano, but he didn't see the Milky Way there.
 イ.Research shows that about seventy percent of people in Japan aren't able to see the Milky Way.
 ウ.Baby sea turtles can't come out of their eggs if there are too many people near the beach.
 エ.Scientists have found that artificial light at night is necessary for both human health and culture.
 オ.If people use more artificial light at night, global warming will become worse.
 カ.Keita isn't sure that the people listening to him want to take back the dark night sky.

 問4から問6は、まさに、『まとまった長さの英文を読んで、あらすじや大切な部分を読み取る力をチェックする問題である。
 問4は空所に英文の流れ(文の前後関係)を判断して、正しいものを選ばなくてはならない。問5は内容を読み取り、日本語で『~すること。』と、まとめなくてはならない。これらは問6よりも答えにくい。通過率を見てもそれがわかる。

 各設問の配点に、通過率をかけて得点を推計すると16.8pts./32である。得点平均を配点で割ると、52%になる。

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 細かい設定ではあるが、面白さを感じたこと。
 標準問題3は卒業を控えた中3のSatoruクンが、選択問題3は高1のKeitaクンが「主人公」である。なんとなく作問者の「思い」のようなものが、わかる気がする。

 問題文の語数については、テスト原稿をテキスト化し、空欄等は正解とされる語句を入力。語数カウントの元原稿とした。

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 前回(8/30)のエントリはこちら

 「平成29年度埼玉県公立高等学校入試 今回は作文の力を見る問題を調べてみよう。


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