全英連参加者のブログ

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地方創生と関係あるのかな。

2015-03-17 04:00:00 | 気になる 教育行政

 二つの記事を読んで考えた。
 ...仮に関係があるとしても、地方創生に「資する」のだろうかと。

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 旭川大学(北海道)
 新潟産業大学(新潟県)
 成美大学(京都府)

 僕がこれまでに取り上げた大学以外でも、上記の大学に公立大学法人化の動きがあるとのこと。

 これは朝日新聞のウェブサイト(asahi.com)の『地方私立大、「公立化」に活路 地方創生が追い風に』('15/1/25)に出ていたものである。一部引用する。

 ... ところが10月、安倍政権が打ち出した「地方創生」の具体策に「地方大学の活性化」がのぼるようになった。その結果、公立化に事実上のゴーサインが出た。「地方創生さまさまだ」と関係者は言う。

 公立大学法人化により、私立大学(の運営法人)として受ける私学助成金額よりも、公立大学として受ける交付税額(大学運営費交付金)のほうが多い。大学としての運営コストは潤沢になる。多い分を活用して、学生一人当たりの納付金(おもに授業料だろう)を削減する。結果として学生募集にも有利になる。そんな考え方があからさまに出ている。
 学生数確保=経営の安定化である。
 このような動きに対して、見落としてはいけないことがある。それは、公立学校法人による大学設置と運営(制度設計)は、私立大学からの経営移管を前提にしていないことだ。また、納付金だけが学生募集の支障なのかということも考えるべきだ。納付金が下がるだけで、地方の大学に学生が集まり、それが結果として卒業生の地元企業への就職、産業振興、地方創生につながるのだろうか。経営移管がいわゆる「カンフル剤」的な使い方、「(私立)大学の救済」だとしたら、それはまずいと思う。
 なお、上記3大学中、新潟産業大学は短期大学から4年制大学に組織改編時、地元自治体の援助を受けている。同大が昨年11月7日付で柏崎市長に提出した「新潟産業大学の公立大学法人化について(要望)」によれば、『大学設立経費の全額28億1千万円は、地方公共団体からの助成によるものでした。』とある。内訳は新潟県6億円、柏崎市から22億円、大学立地周辺市町村の旧高柳町と旧西山町(両方とも現柏崎市)旧小国町(現長岡市)、出雲町、刈羽村から合計1千万円である。
 旭川大学と成美大学は大学ウェブサイトで沿革(校史、大学案内)等を調べても、新潟産業大学のような援助をうけたという記述は見つからない。ということは、100%私立大学だと思う。

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 こんなニュースもあった。『3大都市圏:私大の学生数抑制へ 文科省、定員超過厳格化』(毎日2015/2/22)

 文部科学省は、首都圏など大都市部にある私立大学の学生数を抑制する方針を決めた。入学定員を超えた入学者の割合(定員超過率)を厳しくする。現在、定員8,000人以上の大規模大学の場合、定員の120%以上なら私学助成金を交付しないが、これを110%~107%まで減らす方針。*
 3大都市圏*への学生集中を抑制、地方からの学生流出に歯止めをかける「地方創生」の一環。

 それでも学生は3大都市圏を目指すのではないか。
 大学だけではないが、生徒学生が学校を選ぶポイントは多様である。

  • 学生になる、学生でいるコスト(初期、年度ごと費用)
  • 教育課程(勉強の科目)
  • 学校の歴史、OBOGの存在(就職先)
  • 授業以外の課外活動(その学校に所属することで得られる何か)
  • インフラ(建物、立地)

 これらすべてが学校を選ぶ要素である。順番は千差万別である。コストの問題は大きいと思うけど、one of themである。
 地方の小規模大学は、現在でも学生募集が厳しい。これは事実だろう。ではそれが納付金を下げれば解決するかというと、そうとも思えない。数年間はそれが効果を表すかもしれないが、しばらくしたらそれがあたりまえになる。そうなった時、やはり都市部の大学との比較はさけられない。大学を出た後の保証ができるかが問題になるのは、現在でも将来でも同じである。

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 *定員8,000人未満の私立大も、現行の130%から120%へ引き下げる。
 *3大都市圏
 ・首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)
 ・関西圏(京都府、大阪府、兵庫県)
 ・中部圏(愛知県)

 2014年度の私大入学者は、首都圏204,287人、関西圏76,677人、中部圏29,206人。合計約31万人。全私立大の入学者の65%、国公私立合わせた入学者のおよそ半数。


 2015-03-10、「私立大学の公立大学法人化


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