全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

埼玉県立高等学校入学試験・英作文比較

2011-03-19 10:41:49 | 教師の仕事 2010

 埼玉県は県立高等学校の前期募集学力検査を2月16日に、後期募集学力検査を3月4日に実施した。それぞれ、問題5に英作文がある。
 今年も難しさを検討してみた。

 前期募集
 次の【条件】にしたがって,あなたの考えや気持ちなどを含めて,まとまった内容の文章を5文以上の英文で書きなさい。(8点)
 【条件】
 ①「楽しかったこと」や「楽しんでいるもの」などの内容とする。
 ②次の3つの語句を必ず使用する。必要に応じて適切な形にしてもよい。
    enjoy  have to  with
 ③②の3つの語句を使用する順序は問わない。繰り返して使用してもよい。

 後期募集
 次の【条件】にしたがって,あなたの考えや気持ちなどを含めて,まとまった内容の文章を5文以上の英文で書きなさい。(8点)
 【条件】
 ①「欲しいもの」や「してみたいこと」などの内容とする。
 ②次の3語を必ず使用する。必要に応じて適切な形にしてもよい。
    want  can  when
 ③②の3語を使用する順序は問わない。繰り返して使用してもよい。

+++++ +++++

 条件を比較してみよう。
 ①について考えてみよう。前期と後期ではどちらが難しいのか。
 前期、「楽しかった」「楽しんでいる」は、過去と現在とみなせる。
 後期、「欲しいもの」「してみたいこと」は、現在と未来とみなせる。

 中学生のレベルもいろいろだが、平均的な英語力(通信簿、5段階評価で3くらい)だと、過去のことが書ける前期の方が書きやすいかと、と思う。

 ②について考えてみよう。
 前期のenjoyと後期のwantはそれぞれ過去形も使える。規則変化動詞なので-edをつけるだけで大丈夫である。ただし、英語が苦手な生徒の場合、enjoyの過去形を作るとき、yをiにしてしまうこともありうる。
 enjoy+Oとwant+Oにおいて、Oが普通名詞ならば問題ないが、以下の場合は要注意。
 enjoy+動名詞、want+to不定詞
 これらの場合、前者のenjoyほうがやや難しいかもしれない。
  次に助動詞だが、have to とcanを比較すると、前者はhad toに置き換えられれば、過去に〇〇〇をしなくちゃいけなかったと書くことができる。一方後者は、これからしたいこと、できるようになりたいことを書こうとすると、will be able toに変えなければならないので、単純な助動詞だけど、canのほうが使いにくいかもしれない。
 最後のwithとwhenだが、これは間違いなくwhenの方が難しいと思う。
 withは前置詞であり、中学生でもwith+人などで使うことができる。しかし、whenは時をあらわす従属接続詞。when+S+V,の構造が定着している割合はwithよりも低い。疑問文を作ることは、さらに難しくなると思う。

***** *****

 前後期の条件、使用義務のある語句を総合的に考えると、やはり後期の方が難しいように思える。

***** *****

 なお、県教委模範解答は以下のとおり。

 前期募集
 I went to see a movie with my father during winter vacation.  I enjoyed watching it very much, but I did not understand the English words well.  I felt a little sad about that.  I thought, "I have to study English harder."  I will be happy when I can understand movies in English.(53w)

 後期募集
 When I went shopping with my friends last week, I saw a dog.  I was surprised because the dog was helping an old woman.  I found that the woman could not see well.  After this I learned that a lot of people around me need help.  I can do only little things, but I want to work as a volunteer for those people.(63w)

 模範解答ですら、後期募集の方が10語も多い。それだけ使わなければ、「まとまった内容の文章」は書けないのだ。

 なお、採点上の注意として、採点の際は、『次の「観点」「基準」に基づき,細部の採点基準を作成して採点する。』ことになっている。
 観点は三つ
 1.問題への正対:
 指示に従って書かれた文章であるか。
 2.適切な表現(内容・構成):
 内容を整理した上で,文のつながりや構成を考えた文章であるか。
 3.正確な表現(文法・綴り字等):
 書こうとしていることが読み手に正確に伝わる文章であるか。

 基準は上から順に、
 問われている内容について書かれていない,指示に従っていない等の場合は,その程度に応じて,1~8点を減ずる。
 話題の一貫性がない,同じ内容の文を無用に繰り返している等,文のつながりや構成が不適切な場合は,その程度に応じて,1~5点を減ずる。
 語順,時制,綴り字等の誤りのため,内容の理解に支障をきたす場合は,その程度に応じて,1~3点を減ずる。

 なお、「5文に満たない場合も,採点の対象とする。」ことなので、4文以下でも、採点対象(点数を与えることも可能)である。かなり複雑な採点作業になる。

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