全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

いろいろなことを思い出すものだ。

2010-04-01 05:10:54 | 教師の仕事 2010

 担任をしていると、3月に生徒指導要録を書く。この仕事で担任が一番神経を使うのは、成績や出欠席の数字ではなく、「行動及び性格の記録」欄の「所見」である。

 生徒指導要録やそれに基づいて発行される調査書が、当該生徒に非公開が前提だった頃は、「所見」も随分はっきりと記入した記憶がある。僕も職場の先輩もそうだったと思う。でも、公開が前提の現在は、そうではなくなっている。もちろん、いいことは、はっきり書く。しかし、1年間担任をしていて、問題があると考えられる生徒の行動でも、以前よりも曖昧に記入していると思う。
 …楽しいことではないが、公開に耐えられるか考えるのだ。

 僕たち教師集団はプロである。プロ…それも、ひとりではなく学年団の多数の教師…の観察眼を通して、1年間、授業やHR活動、課外活動で観察している。各生徒の言動・生活態度・学習態度には、生徒が10人いれば10通り観察記録ができる。そして、それぞれの生徒の、学校内での様々な場面、例えば授業、HR活動、課外活動での姿と、その評価が、いろいろな先生方から担任のところに、頼まなくても集まってくる。そして、言うまでもないことだが、担任は最も長時間受け持ち生徒を観察する位置にいる。
 複数の教師の評価(感想)の中で、ある生徒の行動等が学校のルールに反していたり、社会のルールからずれている…標準から悪い方に…と判断された場合、教師(集団)の判断は、100%間違いない等とはいえないまでも、あまり間違えることはない。一般的な職業人が、自ら係わる分野について、経験や研修に基づく直感、観察、判断をした場合と、間違える可能性の差異はそんなにない。でも、そんな場合でも、何かオブラートにくるんだような書き方が増えているように思う。
 …前提として公開することが、ものを書きにくくしている場合がある。

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 ある先生のことを思い出した。初めての担任の時、僕が1年生担任、その人は2年生担任だった。前年自分がその先生の副担任をさせてもらったこともあり、いろいろ教えてもらった。仮にB先生としておこう。
 B先生のクラスに、ある男子生徒がいた。仮にCクンとしておこう。Cクンは、B先生が2年間担任。これは別にCクンをB先生が選んだわけではなく、偶然である。Cクンは成績、人物ともちゃんとした生徒で、何の問題もなく2年間高校生活を送っていた。その先生も初の担任だったので、最初の年、かなり苦労をしてCクンの所見を書き上げた。所見を読ませてもらった。僕も授業に出ていたから、Cクンのことはわかっていたが、納得だった。
 2年目の担任の時、B先生は困ってしまった。書けないのだ。Cクンは相変わらずちゃんとしていて、成績もよく、部活動も熱心...苦労して出た結論が、何と。。。
 …「所見」 同上
 
だったのである。

 僕の指導要録をチェックしてくれた教務主任が、B先生に苦笑いを浮かべて、書き換えるように言った。B先生は書きようがない旨を訴えたが、却下。そのかわり教務主任の先生はこんなヒントをくれた。
 「おんなじ文でもいいから、文の前に、『昨年度にもまして』とか、『今年度も』とか書き加えるように。

 結局元の文の何カ所かに、教務主任のアドバイスを取り入れ、これらの字句を挿入してOKが出た。僕も、前年度とあまり人物評価が変わらない場合、このアイディアを使わせてもらうことがある。それも、かなりある。人間は激変しないのだ。

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 さて、昨日で平成21年度も終わった。異動の先生方と、ひとまずのお別れをしたり、定年退職のA先生とも、先生の出した様々な書類ゴミと同じくらい、いっぱい昔話ができた。4月1日、今日から新しい仲間との仕事が始まる。1週間後には、新しい生徒が学校にやってくる。新年度、僕のクラスはどうなるか。来年3月の卒業式まで、健康に留意して、できることを着実にこなしていきたいと思う。
 …当面、無事に夏休みを迎えることを目ざそう。

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 2010.03.29、「ハンコの押し方
 2010.03.25、「A先生

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