tetujin's blog

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空も飛べるはず

2021-10-03 20:10:09 | joke

「魔女」は古くから日本にあった言葉ではない。明治よりも昔、日本には魔法はなかった。よろずの神の国だ。すべては宿る神様の思し召しだったわけだ。

江戸末期から明治時代にかけて、外国語の「魔法使いの女性」を「魔女」という言葉に当てはめた。ドイツ語では「ヘクス(hexe)」、「垣根(hag)」と「女(zussa)」の合成語だ。英語では「ウィッチ(witch)」、仏語で「ソーシエル(sorcière)」、スペイン語では 「ブルハ(bruja)」。

ドイツ語の「ヘクス(垣根の女)」は、垣根の上に座り、見える世界と見えない世界を同時に見ていた人を指す。つまり、プロテスタントのキリスト教とアニミズムの両方の世界を持っていた。本来の魔女の仕事は、薬草に詳しくて病気を治したり、お産婆さんとして出産を手助けしたり。

昔のヨーロッパの町には城壁があって、城壁の外はオオカミなどの命の危険があった。灯かりがあるのは城内だけ。外は暗闇。その城壁の上に魔女はいた。
暗闇の中で、やがて闇を引き裂いて来る春を待っていたわけだ。つまり、見えない世界とその力を信じるまなざしを持っていたのが魔女だ。

昔の魔女が使えた魔法は、今では消えてしまっている。暗闇の存在を大切にする気持ちとは、想像力だ。そして、想像は常に現実を超えていく。みんな与えられてしまっている時代では、自分で捕まえことは難しい。願いこそが空想力だ。だれでも空をとべるはず。

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