彦四郎の中国生活

中国滞在記

「将来にわたり日中をつなぐ」と期待する学生たち—福建師範大学・閩江大学の日本への留学生たち

2018-10-01 07:42:52 | 滞在記

 9月15日(土)、福建師範大学4回生の千亜超君がアパートにやってきて、「福建師範大学外国語学部2018年卒業アルバム」を渡してくれた。2014年9月に大学に入学し、今年の6月に卒業した学生たちの卒業アルバムだった。

 日本語学科日本人教員(津田・石川・寺坂)と学生たちとのクラス集合や、私のメッセージと写真も掲載されていた。卒業生一人一人の写真とメッセージも掲載されているが、半年ほど前に「卒業アルバム用の寺坂先生の写真とメッセージを送信してほしい」と連絡してきた林光志君の写真とメッセージもあった。

 その林君から9月中旬頃に、Eメールが送られてきていた。彼は今、上海にいる。中国の語学系大学の御三家とよばれる国家重点大学の一つ、上海外国語大学大学院にこの9月に入学しましたという内容の写真メールだった。(御三家は、①北京外国語大学②北京語言大学③上海外国語大学)  彼は、福建師範大学日本語学科を首席あたりで卒業した学生だった。彼のこれまでの人生の苦労(※小学3年まで日本の東京で生まれ育つ。父は日本人、母は中国人。中国語があまりできないまま、中国福建省に母とともに移住する。中国に来た当時、普通の公立小学校には語学力不足などもあってか入学できなかったという。かなり中国での生活には苦労もあったかと推察する。)

 その後、福建省内の名門大学である福建師範大学に入学。3回生の時は中国の国費で日本の大学に1年間留学し、上海外国語大学大学院への入学を果たしたという逸材だ。人柄もとても良いので、多くの人たちからの信頼も篤い。ほぼ間違いなく、将来にわたって「日中の架け橋」となる人材の一人になっていくだろうと期待する人だ。「先生、上海に来るときがあれば連絡してください」とのことなので、まだ上海には行ったことがないので、一度行きたいと思っている。

 今年の9月23日(日)に、立命館大学大学院を修了した李順鋒君。大学の独立研究科事務室職員の岩崎さんから修了式の時の写真がEメールで送られてきた。(※李君は閩江大学卒業生)

 2年前まで閩江大学の日本人教員だった井上先生が、李君の大学院修了式に出席。その際の写真や奈良県の自宅に招いての「お別れ食事会」の時の写真をEメールで送ってきてくれた。

 李君は、「ホンダ自動車北京支店駐在員勤務」「パナソニック杭州支店駐在員勤務」など日本企業数社から内定をもらっていたが、この9月下旬に帰国し、中国の故郷(福建省龍岩市)に帰り、ホンダかパナソニックどちらかの勤務を選択し、10月中旬から就職・勤務となる予定だという。

 李君は立命館大学東門近くのアパートで2年間生活していたが、部屋にある冷蔵庫などいくつかの家財道具などを、この9月中旬に立命大学大学院に留学するため来日した後輩の沈欽慧さん(閩江大学)の部屋に運んであげたようだ。沈さんが来日した翌々日の9月16日(日)、李君は銀閣寺近くの私の娘の家に行き、私の妻や娘夫婦や孫とともに「お別れ食事会」。この時、沈さんも参加したとの連絡が妻よりあった。彼もまた、「将来にわたっての日中の架け橋となる人材」の一人だと思う。

 中国の大学への赴任生活も5年間が経ち、6年目に入っている。この5年間の生活を一言で云えば、「3/4は不安と辛さ、外国生活での孤独や苦労などがつきまとい、1/4は仕事へのやりがいがある生活」。精神の安定を図るため、日々、早寝早起きをし、常に日本への望郷を感じる日々の生活で、「日本に一時帰国できる日を心待ちにする」5年間。

 この5年間で、閩江大学と福建師範大学で実数として700人あまりの中国人を教えたことになり、このうち1割以上のの80人あまりが日本に来日をしたことがあったり、現在留学中の学生たちだ。(2週間あまりの短期研修から1〜4年間の留学まで—東京外大・明治大・早稲田大・法政大・上智大・北海道大・山形大・琉球大・同志社大・立命館大・広島大・筑波大・関西大・大阪府立大・桜美林大・神戸松蔭女学院大など)  ある国の言語を学び習得し、その国に1年間以上滞在するということは「第二・第三の故郷の国」となる感覚をもつこことなるようだ。 彼等も、「中国が故郷の国」であるとともに、「第二の故郷の国となった、日本」を心の内にもつこととなる。

 この9月に北京大学で「中日大学生千人交流会」が開催された。参加した学生は中国人500人・日本人500人、来賓として、日本の林文部科学大臣や中国の教育庁代表・中国大使館や日本大使館関係者など。1978年に「日中国交が正常化」した「日中平和友好条約」締結40周年を記念した大会となったようだ。

 9月20日、東京の幕張で開幕された「ツーリズムEXPOジャパン2018」。中国15の省から観光業者、政府主管部門と旅行社の代表が訪れ、日本人旅行客に中国を訪れてもらうため、各地域の観光資源を展示、紹介という記事があった。

 増え続ける訪日旅行客に比べ、訪中日本人旅行客は大きくは増えていない。日中間の観光往来はアンバランスな状態だ。ピーク時には毎年400万人の日本人が訪中したが、現在の訪中者数は比較的低い水準に留まったままだ。しかし、増加の兆しはある。2017年に訪中した日本の旅行客は268万人で、前年度比で4%増となり始め、2018年度はさらに増加傾向が強まり、1—8月間では前年比の同時期比50%増という。この状況の変化は、日中関係の改善が進んだことと、訪日観光の呼びかけに力を入れ始めたことによるもののようだ。

 日本旅行業協会海外推進部部長の話によると、「ビジネスマン以外の訪中旅行者は中高年が主体で、中国の文化、歴史、自然に興味を持っている。25才〜30才の若い女性の訪中者は、大都市やグルメ、ショッピング、異国情緒などに興味がある」「日本の海外旅行者にとって最大の関心事は、安全と相手国の社会が日本人旅行客に対して友好的かどうかだ。もし、安全が確保され、日本人に対して友好的な雰囲気があるとの認識がもっと広がれば、訪中者は増えるだろう」と語っていた。

 また、中国展示室の団長を務める中国国家旅遊局の職員によると、ここ2年来、中国人の訪日者数は高速度で増加する中、日本人の訪中者数はそれまでの低迷状態からは脱し、安定的に回復しつつあるという。主な原因として、①第一には日中関係の改善がさまざまな領域で高まってきたこと、②第二には中国側の施設やサービスなどが総合的に底上げされ、自然環境も改善されてきたことを挙げていた。

 今年の7月―8月に日本の東京と中国の大都市で上映されたアニメ映画「詩季織々」。日本と中国の3人の若手監督が共同制作として手掛けた作品。映像詩「上海の恋」「ファッションショー」など、中国の上海や深圳などを舞台としている。機会があればぜひにも見たい映画である。

 

 

 

 

 

 


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