goo blog サービス終了のお知らせ 

彦四郎の中国生活

中国滞在記

今年も中国「高考」が実施された❸―試験前日、地域挙げての「壮行会」も―現代の「科挙」

2017-06-13 09:18:07 | 滞在記

 中国の2700余りの大学のうち、「独立学院」と呼ばれる「私立大学」が300以上ある。例えば、「福建師範大学協和学院」とか「福州大学至誠学院」とかは、有名大学である(1本大学)福建師範大学や福州大学とは別の「私立大学」である。「軒先や名前を借りている」といえるだろうか。学費も国立・公立大学よりもかなり高いし、大学レベルはまったく違う。[1本大学は全国レベル100位以内の大学が多いが、独立学院は全国600位以上〜1000位以内あたりが多い]この中国の私立大学も「高考」試験を通じて学生を募集している。(独立学院独自の試験はない)

 6月7・8日、この日に自分の命運をかけて「高考」に臨む大事な2日間。福建師範大学付属中学校の試験会場で、8時35分に入場した(5分遅刻?)男子受験生は入場を認められていたが、上記のインターネット記事(左:浙江省温州市;17分遅刻で入場を拒否された男子受験生、右:浙江省温州市;2分遅刻で入場を拒否された女子受験生➡インターネット映像でもその様子が配信されていた)を見ると、遅刻者に対する対応も会場入場をチェックする人によって違っているのかもしれない。

 「高考」の試験会場から遠い地方の町の受験生たちは、試験前日に会場のある大きな町にバスなどで向かうこととなる。受験生の壮行はかなりすごい光景となるようだ。地元の小学校も中学校も、そして高校も町を挙げての見送りとなるニュースが流れる。

 地方の町で、とてもよい成績を取り、難関大学に入学を果たした受験生は、新聞でも顔写真入りで報道される。(※587年の「隋」の時代に始まり、1904年の「清朝」末期まで約1400年間以上も続いた科挙試験。数百万人とも言われた受験者の中から、国や地方の官僚となる人を選抜する科挙試験。この試験で各地方での首席の成績者を「状元」と呼んだが) まさに、「高考」の高位成績者は現代の「科挙試験」の「状元(者)」である。

 受験競争を勝ち抜き、有名な大学に進学すれば、輝かしい未来が待っている―およそ そう信じている人が多い中国社会。それが日本以上に学歴を重んじる科挙の伝統の国、中国の人の考えだ。

 地方によっては、鉄道の列車が「受験者専用」となる所もあるようだ。(上記写真左4枚)  甘粛省陇南市の あるタクシー会社は、試験当日「受験生サービス」(無料)を実施したという報道もされていた。(上記写真右2枚)  遅刻しそうな受験生をパトカーが先導して会場に向かわせたというニュースも伝えられてくる。中国ではこの時期になると、学校関係者のみならず、社会全体がこのような話題で持ち切りになる。

 昨年の「高考関連記事」でびっくりしたのは、四川省に住む母親が、娘の受験への影響を心配して、入院中だった娘の父の死を2週間も隠していた、というとんでもないような記事だった。(娘は遠くの高校の寮で生活しているので、葬儀などを実施しても、連絡しなければ娘には父の死がわからない。死にゆく父も、それを望んで妻に伝えていたのかもしれない?) 

◆中国の中学・高校では、試験前の3年生でなくても生徒が「毎日10時間以上も勉強する」のはザラだ。高校3年ともなると、毎朝7時には登校し自習、午前8時(8時半)から授業、2時間あまりの昼休みをはさんで、午後5時ごろまで授業。授業後は、補習授業に参加したり、自習したりして、夜10時すぎまで、教室で勉強して過ごし帰宅。自宅や寮には11時ころに帰るという生活が一般的だ。また、進学・受験塾に行く者も最近は増えているようだ。受験や試験に関する教科書などの勉強はするが、一般書を読み教養を広げるというようなことは、あまりしないのも中国の学生の特徴かと思う。中国の大学生でも、自分が買った一般書というものを部屋に多く持っている(蔵書)学生は まれだ。これは、日本の学生との違いかと思う。(日本の学生の方が、一般教養が高いと推察できる)

 大学の学生に「高校時代はどうでしたか」と聞くと、おしなべて「あまりいい思い出がありません」という答えが返ってくる。それに対して、多くの学生もうなずくことが多い。学則で「恋愛禁止」、違反が大っぴらになり噂が広まれば、親は学校に呼び出されるようだ。もちろん、クラブ活動というものはない。また、普通高校では、受験に関係のない教科の時間は究極まで削減されるカリキュラムが組まれているようだ。「日本の中学や高校では『技術・家庭』という教科があります。『美術や体育』の教科時間もけっこう多いです。ほぼ毎日クラブ活動があります」と授業で話すと、学生たちは日中の違いに驚きの表情を見せる。

 

 

 

 


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。