彦四郎の中国生活

中国滞在記

煙草(タバコ)文化❶―中国人と喫煙

2017-07-29 10:51:50 | 滞在記

 私がタバコを初めて吸ってみたのは13才の時だったかと思う。当時、私の周りの大人たち(男性)は、老いも若きもほとんどがタバコを吸っていた。おそらく、地域的には男性喫煙率は90%を超えていただろう。全国的にも、80%は優に超えていたかと思う。大人になるということは、タバコを吸うということとイコールだった時代、吸わない人は変人扱いされた時代でもあった。本格的に吸い始めたのは 高校に入ってからで(下宿生活)、高校3年時ではクラスメートの50%ぐらいが喫煙者だった。タバコでの謹慎処分は2度受けた。

 当時は「ハイライト」という銘柄を吸っていた。20才の時に「大学進学」のために勉強に打ち込むこととなり、半年間あまり禁煙したことがあった。その間 タバコを禁煙したので かなり太ってしまった。その後、禁煙したのは、40代の半ばごろに「心臓病」の検査入院で1週間あまり病院で生活した時に禁煙させられた。それ以外は、ずっと喫煙を続けている。いままでにタバコで使ったお金を計算すると、1500万円以上になる。現在は、一日に3〜4箱(60本〜80本)ぐらいの喫煙数だろうか。タバコを裏切ることができない「タバコ律義者」と自分では自負しているが、このような喫煙者のことは、日本では「動く煙突」とか「ヘビースモーカー」とか「チェーンスモーカー」などと言われたりする。

 中国で生活するようになって、いいなあと思うことの一つが「喫煙に対する社会の寛容さ」である。中国は世界一の「タバコ大国」であり、喫煙人口は4億人近い。(世界の喫煙者数の約3分の1)

 世界の国々の喫煙の状況はどうなっているのだろうか。2016年の世界保健機構(WHO)の調査では次のようになっていた。(グローバルノート・国際統計時間サイトからの国別喫煙率) ―日本の周りの国々を中心に紹介すると

   【男性】15才以上 

1、インドネシア(76.2%) 5、ロシア(59.0%) 15、韓国(49.8%) 19、モンゴル(47.7%)  20、中国(47.6%) 23、ベトナム(47.1%) 35、フィリピン(43.0%)   61、日本(33.7%)  109、アメリカ(19.5%)   115、カナダ(17.7%)     ※北朝鮮は推定(54.0%と報告がある)  ※東南アジア・東アジア・ロシアの喫煙率が高い

   【女性】15才以上

1、ナウル(52%)   3、セルビア(39.7%)  5、オーストリア(34.8%)   7、ギリシァ(32.1%)   11、ドイツ(28.3%)  15、フランス(25.6%)    21、ロシア(22.8%)  44、アメリカ(15.0%)   51、カナダ(12.2%)   58、日本(10.6%) 64、フィリピン(8.5%)   81、モンゴル(5.3%)   85、韓国(4.2%)   108、中国(1.8%)   113、ベトナム(1.3%)

※ヨーロッパ諸国(特に東ヨーロッパ)・ロシアの喫煙率が高い。東南アジア・東アジアの喫煙率はとても低い。特に中国・韓国・北朝鮮・インドネシアは 男性はかなり高いが、女性はほとんどが喫煙しない。

  中国の大学生たちに、「中国では何歳からタバコやお酒を飲んでもいいのですか?」と質問すると、「何歳からでも、飲んだり吸ったりしていいです」とか「特に法律はありません」とか回答される。実際には、タバコは18才からという法律はあるようだが、誰も知らない。高校の制服を着て、街中をスパスパやっている学生も見かけることがある。

 中国のタバコは種類も多く、値段も安いものでは1箱2元(約40円)くらいのものからあり、全国的に有名な「中南海」だと1箱(約400円)くらい。高給タバコでは「中華」が1000円くらいだろうか。中国の元国家主席の鄧小平は、ヘビースモーカーで有名だったようで、彼が好きだった銘柄は超高級タバコ「熊猫(パンダ)」(約2000円)だった。

 中国はお茶とタバコの文化と言えるかもしれない。小さな茶碗(ぐい飲みの大きさ)にお茶を入れながら煙草を吸い合う光景が、中国社会にはとけこんでいる。まずは、一杯と一服という社会かと思う。ちなみに、私が中国で吸っているタバコは10元(約180円)の中国で販売されている韓国製タバコ(メンソール・1mgで煙少ない)である。

 食事や宴席でも、テーブルの上には灰皿が置かれ、タバコを吸う人が多い。特に地方に行けば行くほど、その傾向はつよくなり、「タバコ・コミュニケーション」が行われ煙がゆらゆらと流れる。

 中国社会では、酒もたばこもやらないという男性は かなり辛い目にあうこととなる。タバコ・酒コミュニケーションがめちゃめちゃ重要な社会だからである。タバコを吸いながら話したりして場を共有しているうちに仲良くなるという文化が濃厚である。中国のビジネスでも大きな力を発揮する。中国人と接待中に取引先の人とタバコを一緒に吸ったり、相手の好きな銘柄を調べてプレゼントするというのも普通に行われているようだ。私も、中国語がほとんどできないだけに、この「タバコと酒」のおかげで、なんとか中国の男性たちとつながっていけている面がある。

 また、中国独自のタバコのルールとして、1人では吸わずに一緒にいる人にもすすめるというものがある。これはお酒の場合も同じ。もし、相手からタバコを薦められた際に、自分でタバコを持っていたとしても それは相手が薦めたタバコをまず吸うのがマナーとなる。相手のタバコを断って自分のタバコを吸うのは大変な失礼になるのでNGである。

 中国の男性喫煙率は47.6%となっているが、これは日常的に毎日タバコを吸っている割合であって、普段は吸わないが、人に薦められたら断らずに吸う人も多い。女性のほとんどはタバコは吸わない。なぜなのか、その理由を大学生たちに聞いたら「タバコを吸う女性は売春婦とか不良とかと思われている」からだそうだ。

 こんな中国のタバコ事情なので、日本のタバコを買って中国に持って行ったりもしている。最近は、日本に観光に来た中国人向けに、上記の写真のようなタバコ店の中国人向けの宣伝もあった。日本で最も販売数が多いらしい「セブンスター(中国名ネーミング:七星)と日本のタバコで最も高品質らしい「ザ・ピース(中国名ネーミング:和平)」。ザ・ピースはとても香りがいいので、日本帰国の際にこれを10箱くらい買って中国に戻り、宴席の際などに お土産として中国人に渡したりもしている。タバコも茶も、日本は「香り」にすぐれ 中国は「味」にすぐれる。

 2016年の10月に上海の空港内で、日本からの帰りに日本のタバコを吸っていたら、「日本の紙幣やタバコと北朝鮮の紙幣とタバコを交換してください」と突然言われて交換したことがあった。上記の写真がそのタバコと紙幣である。北朝鮮もタバコ大国らしい。現在の北朝鮮を支配している「金正恩」も大のタバコ好きだ。そんな北朝鮮国家で、2016年4月に突然の「禁煙命令」が出された。大のタバコ好きの「首領様」も、健康によくないタバコを止めるので(禁煙する)という内容の通達だった。しかし、6月に入って金正恩の禁煙は挫折をしたらしく、7月の公開写真ではタバコを持ちながら視察する写真が公表されるに至り、この命令もうやむやになったようだ。

 中国では現在、「喫煙制限運動」が政府の肝入りでキャンペーンされているので、約9000万人の共産党員やたくさん国家・地方公務員たちは、若干はタバコを少し控えているかもしれない。

◆続く

 

 

 

 

 

 

 


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