彦四郎の中国生活

中国滞在記

「長閑の庭」:田中泯・橋本愛、夢の共演ドラマ―中国では楊振寧・劉美林、54歳の歳の差婚も

2019-08-09 05:58:25 | 滞在記

 橋本愛と田中泯(みん)。すごい、夢の共演ドラマである。ドイツ文学を専攻する23歳の大学院生、朝比奈元子(橋本愛)は、64歳の大学教授、榊郁夫(田中泯)に憧れを抱く。歳の差、なんと41歳だ。このドラマは6月2日から、全4回でNHK・BSプレミアムで放映された。

 LGBTに題材を求めたドラマや「今日 何食べた?」など、最近の世相や流行現象を追うようなドラマも多い中、この「長閑(のどか)の庭」は ちょっと それらとは完全に一線を画する 変わったドラマだった。「憧れと恋という永遠のテーマ」をより深く描いたドラマだった。

   5月10日ころに、インターネット記事でこのドラマが6月2日から始まることを知ったが、とにかく田中泯と橋本愛が主役共演というだけで、「どんなドラマになるんだろう!?」と興味深々だった。そして放映された全4回のドラマを毎回見終わって、「期待以上」のドラマがこの「長閑の庭」だった。

 しっかりものだけど社交下手の元子は、黒っぽい服しか着ないから、ドイツ語の黒い色を指すシュヴァルツさんと大学院生仲間たちからアダ名で呼ばれている。以前から元子は教授に好感を抱いていたが「君の論文には実直さがある。キラリと光るユーモアもある。君の日本語は美しい」と静かに告げられ、榊教授への思いは一気に募る。

 以下の4行の文は6月に発売された「週刊文春」の亀和田武さんという人が書いたコラム記事文章の一部だが、このドラマのことを言い得ていたので紹介したい。

 「橋本愛ってクールな表情が持ち味でしょ。もっといえば、ハードで凄みのある雰囲気だって似合う。そんな橋本愛が乙女チックな目になり"私は教授が好きです。これは恋だと思います"と告白するシーンが、なんとも不思議ですね。観てる私もちょっと恥ずかしい。そして、時折プッと笑っちゃう。誰かに似ているな。ずつと考えてわかった。そう、NHKkの井上あさひアナだった。笑っているのか困っているのか判断できない、キョド目になったときの井上アナに似ている。」

 田中泯が、自分のような老いぼれに好意を抱くのは御当地キャラを「カワイイ!」というのと同じで、若いお嬢さんの"勘違い"だと突き放す場面もいい。しかし、シュヴァちゃんも負けてはいない。「私が恋であるとした仮説を、勘違いであると断定なさるのは、いささか(検証が)不充分ではありませんか」と哲学トークで、必死に恩師への愛を訴えるシーンは、私も声をあげて笑ってしまった。哲学と恋愛がミックスした、いまどきじゃない女子の思いが、「歳の差なんて‥‥、憧れと恋‥」と、笑える中にひたむきな恋心いうとテーマについて 可笑しくも丁寧に描いているドラマだった。よくぞ、このドラマをつくってくれたものだと思えるこのドラマ、再放送が再びあれば観てみたい。

◆田中泯(みん)  1945年生まれで現在74歳。舞踏家である。NHK大河ドラマ「竜馬伝」での土佐藩の家老・吉田東洋役や映画「たそがれ清兵衛」などでの演技が印象的。目力というか、いっしゅ凄みのある役者・舞踏家である。◆橋本愛 NHK朝ドラ「あまちゃん」での橋本愛はとても印象に長く残っている。1996年生まれの現在23歳。

 中国では 学生たちの多くも知っている有名な夫妻がいる。楊振寧・劉美林夫妻。歳の差はなんと54歳もある。楊振寧が82歳で劉美林が28歳のときに二人は結婚した。

 楊振寧は有名な物理学者だ。中国共産党創立頃の1922年中国で生まれ、中国の大学を卒業後アメリカに渡り、シカゴ大学で素粒子理論などの物理学を研究。中華民国国籍のまま、アメリカ市民権を獲得。シカゴ大学講師となる。1957年に中華圏の人物としては初めてのノーベル賞を受賞(物理学賞)。1965年からはニューヨーク州立大学の教授となる。1998年からは中国の理工系大学の最高峰「清華大学」教授に就任。

 2004年に二人は結婚した。妻となった劉美林は当時、北京外国語大学(広東外語外貿大学かも)の大学院生だった。(楊は前妻が死去していて、再婚となる。劉は初婚。)  二人もいまは、楊97歳・劉43歳と、結婚して15年の月日がながれている。楊は2015年にアメリカ市民権を放棄して、中華人民共和国の国籍を取得した。

 

 


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