彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国の小さな子どもたち―日中の子どもの育て方のちがい―

2015-04-16 17:53:51 | 滞在記

 宿舎の近くの河川公園の一角に、遊具が設置されている「児童公園」がある。土曜日や日曜日には、早朝から小さな子どもたちから小学低学年、祖父母や母親や父親たちが大勢集まる。

 楽しそうに遊ぶ子どもたちとそれを見守る母親や父親たち。土曜日や日曜日は、両親も仕事が休みになる人もあるので、親の姿も多くなる。しかし、祖父母の姿の方が多い。この公園でも、祖父母と一緒にいる子どもの方が多い。
 中国では結婚する場合、「両親が住む所に近い場所に住める」ということが、かなり大きな条件となる場合が多い。したがって、男性もその条件に合う人を最終的に結婚相手として選ぶ傾向がある。だから、中国各地から一つの大学に来ている中国の大学では、学生時代の恋人たちは卒業を機会に「別れる」関係がほとんどらしい。中国のおじいちゃんや・おばあちゃんは、孫や娘・息子たちと近くにすむことができて、日本の祖父母より幸せなのかもしれないと思う面もある。楽しそうに孫と過ごす人の姿がとても多く見かけるからだ。
 
 中国では、1979年より始まった「一人っ子政策」(「一孩政策」※正式名称は「計画生育政策」)により、子供は一人と定められた。したがって、一人の子供に対して「両親と4人の祖父母」の6人の寵愛を受けて育つ場合が多い。中国の子供は6つの財布があるともいわれる。しかし、私が担当している学生たちに聞いてみると、兄弟・姉妹がある学生と一人っ子の学生の割合は半々だ。大都会では、「一人っ子政策」は厳しいが、地方ではあまり厳しくないようだ。地方では、「1万元」あまり(20万円)の罰金を払えばいいらしい。
 ただ、大学の教員も含めて「公務員」は、子供は一人っ子の人が多いようだ。私の大学の日本語学科の女性教員は10人あまりいるが、全員子供は一人っ子だった。「二人目を出産すれば、教員を辞職させられる。」とも話していたのが印象的だった。

 中国の小さな子どもは厚着が多い(少し寒い時期でも)。またズボンは、「尻割れズボン」だ。すぐに、大小便ができるためだが、おしりが丸見えになる。最近普及し始めた「紙おむつ」をしていても、尻割れズボンをしている。普通の幼児用ズボンが売っていないからだろうか。
 授業中に「日本の冬の時期の中学・高校の制服(スカート)」を映像で見せたことがあった。学生たちは声をそろえて、「寒いそう!」「かわいそう!」「虐待だ!」とか言っていたのを思い出す。ちなみに、中国の小学生の制服はない。私服に赤いスカーフを首に男女とも巻いているスタイルだ。冬の時期にスカートをはいて登校している女子を見たことがない。中学や高校は、制服があるが「ジャージの上下」である。だから、スカートは学校では身に着けない。

 中国と日本の親子関係や子育ての違いは何だろうか。総じていえば、日本では「子どもが厳しい社会に出る前に自立」させることを重視する傾向がある。子どもを甘やかすことはよくないことだという風潮が今でも強いと思う。一方、中国では、「子どもが順風満風な道を歩み、逆境に遭遇しないように助けてあげる。」という思いが強く、子どもを甘やかすことに何の抵抗感もないようだ。「子孫に美田を残さず」の日本と、「子孫に美田を残す」の中国かな。
 日本では、小さな子どもでも必ず自分のカバンなどの荷物は持たせる。子どもに自分の荷物を持たせて、親は子どもの荷物は持たない。しかし、中国では子どもの荷物は親や祖父母が持つ。ここにも、両国の子どもの育て方の違いの一端がみられる。

 中国は、結婚後の共稼ぎがほとんどだが、両親の働いているとき、小さい子どもの世話を祖父母が見る場合が多い。日本のような保育園はほとんどなく、「託児所」のようなところが少しある程度だ。幼稚園に付属した「小班」という名称の「保育園的」クラスがある幼稚園も少ないが存在しているようだ。しかし、すごい倍率で入ることは容易ではない。少し収入のいい家庭では、「子育て」のために「お手伝いさん」を雇うこともあるようだ。
 家の手伝い(家事の手伝い)を日中で比較した場合、日本の小学生は30.9%が日常的に食事の準備・後かたずけ、掃除などの手伝いをしているが、中国では14.4%となっている。(これも、自分の部屋の片づけなどが多い。自分のことは自分でするのは、本来の家事手伝いとはいわないのだが----。)
 中国の大学生の寮は「自炊施設が」ない。食堂などで食べるシステムだ。だから、中国の学生たちは、男女とも食事を自分で作る習慣や経験が乏しいまま、結婚する場合が多いようだ。






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