◆日本には数多くの寺社がある。全国で、およそ8万5千の神社と、およそ7万7千の寺があるといわれている。神社数8万5千というのは、宗教法人として登録されている数なので、未登録の社(やしろ)や祠(ほこら)などを含めると、その数は10万をゆうに超えると言われる。神社が寺より多いのは少し以外かもしれないが、そういえば私の故郷の村でも、寺が1つに神社が2つある。
◆およそ8万5千の神社の中で、最も多いのが「八幡宮」である。神社の約50%にあたる4万4千社。大分県にある「宇佐八幡宮」が最も古い。「石清水八幡宮」(京都)や「鶴岡八幡宮」(鎌倉)とで「3大八幡宮」。大きな八幡神社の多くは、仁徳天皇の父である「応神天皇」が祀られているようだが、同時にいろいろな神も祀られている。日本の天皇家(朝廷)と関係の深い神社と言えるかもしれない。武神的な要素も強く、国家安泰とともに、歴代の武家政権に尊重されてきた歴史がある。
次に多いのが、「稲荷神社」である。その数およそ3万社。その総本山が京都市の「伏見稲荷大社(神社)」となっている。「八幡神社」と「稲荷神社」を合わせて約7万4千社となり、日本の神社の約87%を占めることとなる。この稲荷神社は、「五穀豊穣」を祈る神社であり、後に「商業繁栄」の面ももつようになった歴史がある。いわゆる庶民の暮らしを祈る神社といっていいのかもしれない。
伏見稲荷神社は、近くに「京阪電鉄伏見稲荷駅」と「JR稲荷駅」がある。7月20日(木)の午後、稲荷社に行った。駅を下りてすぐのところに参道がある。参道沿いには、昔からのお店や屋台(テキヤ)が並ぶ。この日も35度を超す暑さ。外国人からの観光客がとても多い。お店には神棚も売られていた。もちろん狐の面もある。さまざまなお土産品が販売されていた。軽食的な食べ物も多い。
◆①「なぜ、稲荷神社には狐なのか」②「日本での外国人観光客の3年連続人気NO,1観光地となったのはなぜなのか」③「伏見稲荷神社には、狐が生息しているような環境はあるのか」、これらを知りたいと思い、境内を歩くことにした。
伏見稲荷神社は、稲荷山というけっこう高い山全体にわたっている神社だ。ほぼ、山のてっぺん近くまで赤い鳥居が連なっている。全体を見学するのに、およそ2時間あまりはかかるようだ。楼門が見えて来た。楼門の左右に「狐」が鎮座している。左手のキツネが口にくわえているのは「稲穂」。右手のキツネがくわえているのは「巻物」のようなものだった。
高校生らしき学生が小さな護摩木に「学业成就」と書いていた。「業」を簡体字の「业|と書いているので、中国本土から来ているのだろう。台湾人なら繁体字の「業」と書く。鳥居型の小さな「絵馬」がたくさん置かれていた。「学业顺利」「学業進歩」「就職祈願」「心想事成」「心愿成就」「家人健康」などと書かれた、中国語圏の人の絵馬もよく見られる。
延々と続く鳥居の中を進んでいく。着物をや浴衣を着た外国人観光客も多い。飛び交う中国語。欧米からの観光客も多い。とても粋な男の浴衣姿。
和服の浴衣姿がとても美しい中国からの観光客。連なる赤い鳥居が ちょっと神秘的な美しさを感じる。しかもそれが延々と山頂に向かって続くゆるやかな坂道。少し山を上り下りすると、森の冷気のマイナスイオンが涼しさを感じる。
鳥居を取り囲む森は、狐が生息していそうな けっこう奥深い森だ。ここなら、太陽が上がる前の人気のない早朝には、ばったりと狐に遭遇する可能性がありそうだ。
日本の修学旅行生を地元のおじさんがガイドしていた。高校生がガイドに「あのう、山を登ってきて とても喉がかわいたので、ここから一番近いコンビニで 飲み物を買いたいのですが いいでしょうか」と聞いていた。ガイドのおじさんは、「学校側の方からコンビニへの立ち入りはさせないように連絡をもらっていますが、まあ、飲み物だけだったらいいと 私は思います。学校側にはないしょですよ。今日はとても暑いですからね」と答えていた。まあ、現代の日本では、あまりないような 高校生のとてもまじめな会話だったので、やり取りを聞いていて なにか心が温まる。
◆京都での学生時代に、大学の友達がこの伏見稲荷神社の横に下宿していた。何度も 彼の部屋に夜遅くまでいて、時には泊っていったこともあるので、この神社は十数回は訪れたことがある。早朝に鳥居を歩き山頂までもよく行った。それから、40年間ぐらい ほとんど来たことがなかったので 久しぶりだった。
外国からの観光客がここ数年とても多いようだが、この日 ここを歩いてみて、外国人に人気の理由が少しずつ分かってきた。何と言ってもその理由の第一は、「延々と続く赤い鳥居の神秘性」だろうと思う。これは、欧米人やアジア人を問わず感じるのではないかと思う。特に中華圏の人は、朱色系統がとても好きだ。御利益や幸福感を感じる人も多いかと思われる。
そして、そんなに高くない稲荷山の山頂まで鳥居が延々と続くのだから、ゆっくりと歩けば、軽い登山気分やハイキング気分も味わえる。荘厳な金閣寺舎利殿や清水寺などは、それはそれで見応えがあるのだが、見学時間は30分もあれば終わってしまう。ここ伏見稲荷は 山の森に囲まれているので、気持ちもいい。家族や親しい人と、ゆっくり散策をしながら、山頂に登れば、京都市の町並みが一望できる。山腹には、けっこう大きな森に囲まれた池もある。浴衣姿と下駄でも ゆっくりと登ることができる。自然の中の写真スポットは いっぱいある。
◆「口コミで選ぶ!"行ってよかった"―外国人に人気の日本の観光スポット3年連続第一位」の京都・伏見稲荷神社。今年2017年度も第一位になるかもしれないと思った。
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