彦四郎の中国生活

中国滞在記

オミクロン株大流行の影響もあり、中国渡航は延期を希望した—北京冬季五輪まであと1カ月

2021-12-31 10:09:16 | 滞在記

 2021年の今年も、今日が大晦日となった。2022北京冬季オリンピックは、あと1か月余り後(あと)の2022年2月4日に開会式を迎えることとなる。中国の人にとって、1月31日から始まる春節(旧正月)と相まって、大きな高揚感で迎える来年の1月~2月となりそうだ。日本人にとっては、この冬季五輪では、特にフィギアスケートの羽生結弦選手の演技がどうなるか、オリンピック三連覇実現が果たせるか、とても気になるところだろうか。

 この北京冬季オリンピックの開催に対する外交的ボイコット問題。ウイグル族に対する中国政府の人権問題などに対する抗議の意思表示として、北京冬季五輪での外交ボイコットを、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの各国政府は11月下旬~12月上旬にかけて表明した。日本政府もその対応が迫られていたのだが‥。

 12月25日付朝日新聞に「閣僚や高官派遣せず 北京五輪 山下・橋本氏出席」「玉虫色 外交ボイコット—中国に配慮し文書は使わず/安倍氏にせかされて表明決断―中国、日本の判断を"歓迎"」の見出し記事。この記事によれば、日本も事実上の外交ボイコットではあるが、中国政府を刺激しないよう、玉虫色の表明(意味:見る角度によって色調が異なる現象のこと。"あいまいな"という意味でも使われる。)ということになった。フランスは2024年夏季オリンピック開催国という事情もあり、この外交ボイコットには参加していない。韓国の文在寅大統領は、中国との関係最重視政策のためか、この外交ボイコットは考えたこともないと表明し、考えも検討もしないという人権外交における体(てい)たらくぶりを示していた。

 日本の政党では、この外交ボイコットに関して、日本維新の会や国民民主党や日本共産党は、「外交ボイコットを表明し中国の人権問題への抗議意志を世界に示すべし」との意見。公明党や立憲民主党は「外交ボイコット問題には慎重な対応を」という意見であった。(12月19日付「赤旗日曜版/日本共産党機関紙」では、「北京五輪開閉会式への政府代表の不参加は当然—日本政府は中国に人権抑圧の是正と五輪憲章の順守を求めよ」の見出し記事が掲載されていた。)

 昨日12月30日付朝日新聞には「香港ネットメディアも標的—警察『立場新聞』幹部ら7人逮捕/ニュース配信即日停止—リンゴ日報に続く弾圧」の見出し記事‥。これら最近の香港情勢では、著名な歌手である何韻詩(デニス・ホー)氏も逮捕さたと報じられた。

 12月19日朝日新聞には「ロシア プーチン氏 北京五輪出席表明 オンライン会議で習氏"楽しみ"と」の見出し記事。このプーチン大統領は、ウクライナ侵攻のための10万の軍勢をロシア・ウクライナ国境に最近集結させてもいる。今日12月31日付朝日新聞には「ロシア人権団体に解散命令—歴史美化する政権 排除へかじ」の見出し記事が掲載されていた。この二人は‥‥。

 新型コロナウイルスの世界的パンデミックが中国武漢から始まって、2年間が経過しようとしているが、終息のきざしはいまだ見えなく、3年目に入ろうとしている。従来株からの変異種であるデルタ株に置き換わって、オミクロン株が新たに出現し世界的な感染猛拡大が再び起きてきている。2年前に中国から始まって、それから2年後となる北京冬季オリンピックで一つの節目を迎えることとなるが、人類の苦難はまだまだ続きそうだ。北京冬季オリンピックでは、外国からの一般観客は受け入れないが、国内の観客は満席を収容することとする予定だ。外国人選手は中国入国後に長期隔離を受けることとなる。その後、厳格な管理のもと、バブル内での生活となる。

 日本では、デルタ株の1日新規感染者数2万5000人あまりを記録した8月20日以降は徐々に新規感染者が減少し始め、10月に入り全国的に「緊急事態宣言」などが解除、11月には新規感染者数が100人以下になる日もでていた。しかし、12月下旬になり、第六波感染拡大の兆しが顕著(けんちょ)となり始めている。昨日12月30日の新規感染者数は400人を超えてきた。12月1日付の新聞では、「オミクロン株国内初確認—ナミビア外交官」の見出し記事。

 このような状況下、11月30日付朝日新聞には、「外国人の新規入国停止/入国停止 首相駆け足」の記事。テレビでも「オミクロン株 世界急拡大 水際阻止—外国人入国禁止」「岸田首相声明 全世界を対象に禁止致します」と報道されていた。この日本政府のオミクロン株への対応により、この12月に日本の広島大学(3人)と神戸松蔭女学院大学(3人)へ1年間の交換留学で日本に渡航する準備をしていた閩江大学3回生の6人は、日本への渡航が当面は延期となった。いつ渡航できるかは今のところわからない状況となった。

 この日本政府の「外国人入国禁止措置」の発表は、私の中国渡航に関しても大きな影響をもたらすことともなってきた。(後述)

  12月上旬、全世界で報告されたオミクロン株感染判明の感染者数は300人余りとまだ少なかったのだが‥。この12月下旬までの1カ月間では、この2年間の世界的パンデミックの中でも最も爆発的な感染拡大が起きてきている。デルタ変異種株よりも重症化率は低いようだが、その感染力にはすざましいものがあるようだ。

 アメリカでの1日の新規感染者数がこの12月下旬には多い日で44万人超となり、フランスでは20万人超、イギリスでは18万人超など、世界全体では1日の新規感染者数が173万人(12月30日)と発表されている。また、世界での新型コロナ感染者総数はこの年末には3億人近くとなっている。なんと26人に1人が感染したこととなる。今、いわゆるデルタ株とオミクロン株の二つの変異種が猛威を振るい、世界的パンデミックが起きて以降、最大の感染者増加となってきてもいる。

 今、世界の新型コロナワクチンの接種率は、50%~90%にのぼっている国が多い中、アフリカ諸国は全体で10%の接種率となっている。いわゆる経済的に豊かではない国には、なかなかワクチンが届いていない。今回のオミクロン変異種株の発生は南アフリカ地域エリアとされているが、これはワクチン接種率も低さが要因の一つとなっている。世界的パンデミックの終息のためには、全世界的にワクチン接種が普及する必要性が改めて浮き彫りとなった。

 日本ではこのオミクロン株感染判明者は、12月29日時点で18都府県に広がり、242人となった。年末年始、人の動きが大きくなり、再びの感染猛拡大での第六波が心配される。10月上旬に緊急事態宣言等が解除されて、たった2カ月間あまりの規制解除期間が終わろうとしている。コロナ禍下の非日常が日常となってきている。

 今、日本でも3回目のワクチン接種の緊急的必要性が求められている。日本での2回接種率は75%近くにのぼっているが、ワクチンの有効期間が切れ始める人が多くいるからだ。2回目接種から8カ月間後とされる3回目のブースター接種だが、7カ月間後に前倒しを要請する自治体が増えてきている。私の場合は6月中旬に2回目接種が終っているので、8カ月後は来年の2月中旬となるが、私が暮らす京都府の自治体では2月下旬から3回目接種を始めるようだ。もう1か月早く、1月下旬には接種開始をしてほしいところだが‥。

 北京冬季オリンピックまであと1か月間余りとなった中国でも、新型コロナ感染者が増加し始めているようだ。特に、中国の内陸部にある古都「西安」では、この12月中旬から感染拡大が始まり、都市封鎖が実施されているが、1日の新規感染者が多い日で200人を超えた。この1日の感染者数は1、中国では1年9カ月ぶり(2020年の3月以来)となり、12月下旬段階での西安の感染者数は1000人を超えた。

 この感染状況に、中国政府はとても強い警戒感を示している。春節と北京冬季オリンピック開幕式が1か月後に迫っている状況下でもあるからだ。ここ最近の中国のインターネットニュースではこの感染拡大問題が常にトップ記事となってきている。

 中国国内でのオミクロン株感染者の判明は、この12月下旬には5つの地区で判明した。中国のインターネット記事では「奥密克戒(オミクロン)瘋狂传播 中国己被被波及 疫苗(ワクチン)还有用吗」「在中国 己有5地出現 奥密克戒」「全球己有110个国和地区」(※意味:中国でもオミクロン株が狂気的に伝播している。ワクチン接種による感染回避はまだ有効だろうか。中国では5つの地区["広州・深圳・上海・杭州・天津・長沙など"]でオミクロン株感染者が判明している。世界では110の国や地域でオミクロン株感染者が発生。)

 昨年の12月(2020年12月)から今年1月・2月上旬(2021年1・2月)にかけて、中国の北京市や河北省、東北3省(遼寧・吉林・黒竜江)を中心に感染が拡大し、春節での故郷への帰省や旅行での移動が厳しく制限(事実上の禁止)された中国だが、1年後の今もまた、再び感染拡大への警戒感が強められている。

 さて、私の中国渡航の件だが‥。今年の9月10日に大学より「中国渡航の許可が出ましたので、中国渡航に向けての準備をしておいてください」との連絡が入った。「いよいよ中国に渡航しなければならないか‥」と、4週間の隔離を覚悟することとなったが、その1週間後には、「大学のある福建省でコロナ感染が拡大しているので、当面の間、渡航許可が取り消されました」との突然の連絡が入った。日本の広島大学や神戸松蔭女学院大学に1年間ほど交換留学に来ていた4人の学生たち(現4回生)たちは、8月20日ころの飛行機で中国の福建省に到着したのだが、この福建省での隔離生活は福建省でのコロナ感染拡大のあおりをくって、なんと6週間もの隔離生活を要求されることとなった。(ホテル隔離が6週間)

 11月下旬になり、再び「中国渡航が許可されましたので、新規の就労ビザを日本国内で申請して、来年の1月中旬には中国に渡航できる準備をお願いします」との連絡が入った。1月中旬に中国に渡航するとなれば、4週間の厳重な隔離期間を経て、2月20日ころから始まる後期授業(2学期)は、今までのオンラインではなく大学の教室での対面授業となる。対面授業ができることは嬉しいことなのだが‥。

 日本国内に、私と同じ大学に勤めている教員が他に2人いる。彼等もこの2年間ほどは日本に滞在し、オンライン授業を継続している。2人は12月上旬には、「年明けの中国渡航はさまざまな事情で難しく、来年の7月~8月下旬までの夏休み期間の渡航を希望します」との旨を大学側に早々に伝えていた。私はどうしようか‥。大学側からは、「先生だけでも年明けには来てほしいのですが‥」の連絡が断続的に届いていた。とても迷いながらも、とりあえず、大阪にある就労ビザ申請作業を請け負ってくれる会社にも行って相談する。

 その会社の担当者によれば、「この年明け早々から2月下旬までの期間の中国渡航は、北京五輪もありますし、かなり厳しいものがありますよ‥」とのこと。まず、日本—中国間の航空機の運航は、日本政府の外国人入国当面禁止措置の影響で本数が極端に減少し、航空機運賃が高騰しているとのこと。日本—福建省福州の航空機運賃はコロナ前では、片道3万円以内だったが、最近では10倍の30万円となっているとのことだった。さらに隔離用ホテルで3週間の場合は、その費用が17万円ほど、飛行機に搭乗する前の2回のPCR検査費用で6万円など、合計50万円超の費用が発生しますとのことだった。

 この費用は、自費での払いとなるので、「4週間もの隔離生活を強いられ、50万円もの出費」という現実‥。この50万円とは、中国の大学から毎月支払われる給料の4カ月分以上にもなるのだった。(※私の大学での月給は、週に14時間程度[45分×]を担当して月に7500元[日本円で12万円ほど]。中国は、日本の3分の1程度の給与差なので、この月給は、日本での月給36万円くらいの感覚に相当する。

 4回生の学生からも、「先生、中国にいつきますか?会いたいですよ」とも伝えられてくるので、どうしようか、相当に迷ったが、12月20日頃に、大学側に、意を決して、「1月・2月の渡航は膨大な費用等の事情などもあり、渡航延期を希望します。渡航希望としては来年の夏休み中を希望します」との連絡をした。

 12月に入って胃の具合に不調を感じ始める。特に空腹時に軽い痛みや不快感を感じる。おそらく胃潰瘍ができているのだろう。ガスター10などの薬を毎日飲むが症状は回復できなかったので、この12月17日に胃カメラ検査をしてもらった。結果は胃潰瘍ができていた。2014年以降、これで3度目の胃潰瘍の発症。胃潰瘍の原因となる胃の中にいるピロリ菌(日本人の半数近くが保菌)を除去することにして、そのための薬を毎日服用している。このため、昨日には胃潰瘍の自覚症状はほぼなくなった。年明けの1月中には胃潰瘍の穴は完全にふさがるだろうとのこと。胃潰瘍はストレスの増大が引き金となることが多いようだ。

 まあ、こんな、私の中国渡航の件で振り回される日々の2年間でもあった。今、海外で仕事をするということは、とてもリスクが高すぎるという時代ともなっている。そして、今年がいよいよ今日で終わる。

■先週で大学での前期授業が全て終わり、今週から期末試験期間に入った。今学期担当した3教科の期末試験も今週に実施。今日31日は、2回生の「日語会話3」の期末会話試験を、一人一人と行う予定となっている。(中国では、1月1日のみが休日となる。中国にとっての正月とは春節[2週間ほどの休日]のことだからだ。)

 その2回生の学生の一人から、「熱が出たので、昨日、隔離施設に入りました。会話試験は隔離施設から受験することになります」との連絡が入った。今、中国では、とにかく37.5度以上の熱が出た場合は、隔離用の施設に入ることとなっているようだ。このあたりも世界で最も超厳しい0(ゼロ)コロナ政策の中国は徹底している。この12月に日本より中国に渡航したアパート住まいの日本人が、ホテル隔離を終えて、自宅アパート隔離(上海)中期間にコロナ陽性が判明し、アパートとその付近の8000人余りが、2週間の自宅隔離となったと報じられていた。付近の住民からしたらいい迷惑である。外国から渡航してくる外国人に対しても厳しい地域の目が注がれるのが中国コロナゼロ政策だ。

■1月15日から2月20日まで、大学は冬休み期間に入る。私たち教員は、この年末から年明けの1月10日あたりまでは、期末試験の採点やら膨大な成績資料作成などに追われることとなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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