彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国の20・30代を中心に、衣食住でのライフスタイルがこの10年間で大きく変化—好まれる「日系元素」(ユニクロ・無印・ニトリ、日系コンビニ)

2024-07-14 06:11:33 | 滞在記

 アパートから大学までの通勤の時にバスで通る倉山大型商業店エリア。このエリアには「倉山万達(ワンダ)ショッピングモール」など3つのショッピングモールが隣接して立ち並ぶ。数年前にこのエリアにも地下鉄駅ができ、交通の利便性も向上し、多くの人たちがこれらのショッピングモールに来ている。

 (※「万達(ワンダ)」は、日本で言えば「イオン」のようなショッピングモール。中国ではこの「万達」が自分たちが暮らす都市にオープンすれば、発展する都市の象徴みたいに思われていた。福州市では2箇所に2015年頃に開店した。)

 日本でもショッピングモールに必ずある三つの店が「ユニクロ・無印・ニトリ」だが、今、中国福建省福州市のこの大型商業施設のショッピングモール街にも「ユニクロ・無印・ニトリ」の日本系(日系)店舗が進出している。そして、最近、市内でよく見かける日系コンビニの「セブンイレブン」も。この6月下旬、これらの日系店舗に、衣服や座布団などを探しに立ち寄ってみた。

 「ユニクロ」と「無印良品」はかなり早くからこのショッピングモール街に開店していたようだが、「ニトリ」は今年の2024年4月にオープンしたばかりだとのこと。ここ数カ月、いろいろな店で探していた日本式の座布団をようやくこの「ニトリ」で見つけることができた。

 中国でのこれらの日系店舗の中国語表記は次の通りとなっている。「➀ファミリーマート➡全家便利店、②ローソン➡LAWSON  夢森、③セブンイレブン➡7-ELEVEN便利店、④ユニクロ➡UNIQLO優衣庫、⑤無印良品➡MUJI無印、⑥ニトリ➡NITORI宜得利家居」

 この10年余り、中国で暮らしていて、最近は私の生活も日本系の商品を買って消費できるのでとても助かってる。特にセブンイレブン(※福州での日系コンビニはほとんどセブンイレブン)では、日本のせんべいやチョコレートなどのお菓子が日常的に買えるので、わざわざ日本で買ってキャリーバックに詰めて中国に持っていかなくてもよくなった。

■特にこの10年間で思うことは、20代・30代の若い人たちの、衣食住に関する生活スタイルの好みの変化。要するにシンプルさを好むようになってきたという大きな変化かと思う。中国人の多くは、日本ブランドに対し、簡素、シンプル、自由、快適、健康といったイメージを持っている。このような要素は「日系元素」と呼ばれ、特に若い世代のライフスタイルを語る上で欠かせないワードとなっている。中国の経済に大きな影響を与える若い都市生活者ほど「日系元素」を好む傾向が強まっている。

 日系元素の象徴とも言える「ユニクロ」と「無印」の両ブランド、そして近年は、それに「ニトリ」が加わった。前号のブログで紹介した「日本食ブーム」とともに、衣食住にわたってこの「日系元素」が若い世代を中心の日常生活に定着してきた感がある。

 それらの日系店舗の御三家「ユニクロ・無印・ニトリ」と日系コンビニ御三家の、中国での近年の進出状況はどのようになっているのか。まず、日系コンビニでは現在(22年~24年)、①ローソン6330店舗、②セブンイレブン3906店舗、③ファミリーマート2707店舗となっている。私が暮らす福州市に日本のコンビニが初めて開店したのが2018年頃だった。セブンイレブンの福州1号店だった。そして現在は、市内のいたるところでセブンイレブンの店舗がみられるようになっている。

 このように中国全土で店舗が増えている日系コンビニだが、中国資本のコンビニも急増している。代表的なものとしてここ福州では「六意」や「万喜」などがある。(※私も「六意」では日常的によく買い物をする。このコンビニは、日系コンビニに最も商品が近く、かつ、中国の商品も多い。)そして現在、中国の大都市で最もコンビニ激戦区(コンビニの増加率の発展指数)トップ都市となっているのが福建省にある観光都市「厦門(アモイ)市」。最近、日系コンビニのローソンが中国系コンビニの買収をするなどのニュースも話題となった。

 そして、「衣住」の日本の御三家「ユニクロ・ニトリ・無印」の中国での現在の店舗進出状況はというと‥。➀ユニクロ約900店舗、②無印約350店舗、③ニトリ100店舗となっている。このなかで、特に➂「ニトリ」が今後は、店舗数をより増加することが予測される。(※「ニトリ」の店に行ってみたら、日本でもお馴染みのCM「お値段以上、ニトリ♬」が、同じメロディでの中国語バージョンが店内に流れていた。)

 「ユニクロ」のシンプルな衣服はもう、中国の若い世代に定着してきている感がある。それほど、中国でも大きな衣服革命的な存在となっている。一方の「無印良品」は衣服・生活雑貨・ベットなど衣住の二分野の商品を扱っている。だが、ユニクロと比べてちょっと苦戦しているようだ。

 その原因の一つに「無印良品」のパクリとも言われた、中国企業系の「メイソウ」の存在だ。この店舗は現在、中国国内に3378店舗もある。店名には、「メイソウ」と日本語のカタカナ表記がされ、さらに横には「MINI SOU 名創優品」と日本語漢字で書かれた店名が併記されている。まあ、日本の100円ショップの「ダイソーDAISO」と「無印良品」かけ合わせたような店名と品揃え。(※この店の店名や店内内装、商品開発などは日本人デザイナーなどが行った。)

 福州市内では2015年ころに宝龍(バオロン)ショッピングモールで1号店がオープンしていた。このころ、この「メイソウ」のショッピング紙袋を持つのが中国の若い人たちに流行っていて、この紙バックを持っている人は「センス」の良い人と思われる風潮がみられていた。(使いすぎてかなりしわだらけの紙袋でも持っているいるがよく見られた。)

 日本のテレビ報道でも、「ニトリ 中国で100店舗達成」のニュースがこの3月下旬に報道されていた。(※私の中国の大学での学生で、日本の立命館大学大学院に留学した学生のうち、二人がニトリに就職している。一人はニトリの上海店舗にいて、もう一人が日本国内のニトリ勤務。二人とも幹部候補となっているようだ。)

 今年の4月の福州日本企業会定例会では、「日本貿易振興機構(JETRO/ジェトロ)」の中国広州支所の職員が20分ほどの「中国における日本企業の動向」についてミニ講演を行った。その講演の内容や最近のさまざまな報道を考えていくと、中国での「日本企業」の動向は次のようになる。

①中国進出日系企業の拠点数は、2010年代から最近に至るまで約3万強で推移してきている。この数は概(おおむ)ね、日系企業が世界に進出している拠点数の3分の1を占めている。中国での拠点数が多い地域は、上海、江蘇省、広州・深圳、大連、天津、青島などの東シナ海沿岸地域、そして北京や上海に近い浙江省や安徽省。

②2020年以降、中国における外資系企業の撤退、中国離れと呼ばれる動きが始まり(※いろいろな要因から)現在に至っている。日系企業の拠点数としては、2020年から24年の間で2500拠点が撤退している。一方で1500拠点が新たに進出している。撤退企業として多いのが、自動車や電化製品などの製造業関連。一方で新たな進出が目立つのが、非製造業関連のサービス業や小売り拠点店舗(ニトリ、コンビニなど)など。

③2020年までの世界的に「世界の工場」という中国での生産拠点から、「世界最大の市場」というグローバルマーケットへと世界の企業から見ての変容を遂げつつあるのが、世界的にみた現代の中国。

 

 

 

 

 

 


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