日本ではすでに沖縄や南九州が梅雨入りしているが、本州の多くも もうすぐ梅雨入りだろうか。梅雨前線が少しずつ北上していき、中国では上海あたりから日本の紀伊半島近くまで前線が伸びている。日本では紫陽花(アジサイ)が色づきはじめる季節が到来かな。福建省の福州でもアジサイが咲く場所もあるが、日本のアジサイの風情には遠くおよばない。日本のインターネット記事を見ていたら、自宅からほど近い三川合流地区(桂川・宇治川・木津川が合流して淀川となる)の河川敷の竹やぶや草むらで、「ヒメボタル」が乱舞しているという記事があった。なんでも、そのあたりは西日本最大級のヒメボタルの生息地とのこと。
亜熱帯福州の街路樹として、5月中旬頃から開花し始めた淡い藍色の「藍花」。この花は日本にはなく、亜熱帯の地方にとても相応しい風情のある樹木花だと思う。5月下旬には満開となり、路上に散り始めた。この樹木の花が散ってしまうと、福州にも本格的な夏が訪れ始めるが、今はまだ高温多湿の雨がよく降る。アジサイも藍花も淡い藍色だからこそ、暑い季節の始まりに人々は安らぎを感じるのだろうか。
睡蓮と蓮の季節を迎えた福州。蓮や睡蓮は中国では日本以上に多いように思われる。そして漢詩にも詠まれる。
青荷盖緑水 芙蓉披紅鮮 下有並根藕 上有頭並蓮 (五言絶句) <青渡> ※「藕」はレンコンのこと。
荷葉五寸荷花嬌 貼波不碍画船揺 相到薫風四五月 也能遮却美人腰 (七言絶句) <荷花> ※「荷花」は蓮花のこと。
6月に入り、大学構内の水郷にある蓮や睡蓮の花の蕾が次々と開花し始めてきた。また、5月下旬に初めて蓮や睡蓮の浮かぶ水辺のあたりをトンボが回遊しているのを見た。トンボの種類は3種類で、赤とんぼのようなものやシオカラトンボのようなものなど。やはり、日本の京都などに比べると季節の推移が1か月半ほど早い。
蓮の花が美しい。研究室のある建物から授業を行う教学楼に行く途中にこの蓮池があるが、思わずしばらく立ち止まってしまう。中国人はさまざまな花の「花言葉」を古来からよく作ってきた。生け花はほとんどしないが、「花を愛でる」文化は古代より久しい。宋の時代の曾端と明代の都卯は、花を友人に喩えたことで知られる。「花十友」は次の通り。
蘭➡芳友、梅➡清友、茉莉(ジャスミン)➡雅友、蠟梅(ろうばい)➡奇友、梔子(くちなし)➡禅友、菊➡佳友、桂花(きんもくせい)➡仙友、海棠(かいどう)➡名友、芍薬(しゃくやく)➡艶友、そして蓮➡浄友となっている。
蓮が多い水辺の近くには芸術系学部の建物がある。建物ホールには6月に卒業する学生たちの作品が展示されていた。最近、大学の水郷の水が浄化された。これは半年間あまりをかけて広い大学の水郷クリークの水をほとんど抜いて、水草を植えて、浄化装置を全域に設置、そして再び水を入れて「水生生態平衡再造」というものを実施したからだ。
中国のインターネツトを見ていたら、「日本80後画一幅落水美女、遠看太庸俗、近看却震撼人心!」(日本の1980年代生まれの画家―水も滴る美女、遠くから見ると普通の写真だが、近くから見ると心が震撼し震える)という記事があった。写真も載せられていたが、写真と思ったものは、近くからよく見ると実は油絵だった。油絵での写実の極みというか、ここまで描けるものなのかという震撼だ。
この日本人画家は、三重野慶という名前のようだ。個展があればぜひ見てみたいと思った。
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