彦四郎の中国生活

中国滞在記

北京の春❶—パスポートなしで、中国で はたして飛行機などに乗れるのだろうか?—不安のまま空港へ

2019-04-04 10:18:35 | 滞在記

◆私のパスポートに貼られている「中国での在留許可(ビザ)」は2019年4月20日までとなっていた。このため大学の外事所からビザを1年間延長するためにパスポートを持ってきてほしいと3月10日ころに告げられた。外事所は中国・福建省福州市公安局出入国管理所に3月18日に私のパスポートを持って行き、1年間の在留許可申請を行った。(※在留期限の1か月前までに申請を行わなければならない。)

 申請するとパスポートは公安局出入国管理所の保管となる。通常3週間あまりで、在留許可申請が認められてパスポートが本人のもとに返還される。今回の場合は、3月18日から4月10日までの3週間は、パスポートが手元にない状態になるので、新幹線にも飛行機にも乗れない。中国では、新幹線に乗る場合でも、ホテルに泊まる場合でも、飛行機に乗る場合でも、有名な観光スポットに入場する場合でも、「身分証明書」の提示が求められる社会である。これを提示し認められないと、入場や乗車は拒否される。外国人の場合は、パスポート提示となる。

◆2カ月ほど前から、妻が勤めている学校の春休み期間中、3月23日(土)から26日(火)までの3泊4日の予定で妻と北京旅行を計画していた。妻は関西国際空港から北京へ向かい、私は福州空港から北京に向かい、北京首都国際空港で合流する計画だった。(※大学外事所の副所長の鄭さんの話では、「国際線はだめですが、中国国内に限って通用するパスポートの代わりになるものを公安局出入国管理所で特別に依頼申請すれば発行してくれるので、それをパスポートの代わりに提示すれば大丈夫ですよ」と言っていたので、それを信じて?北京旅行を行うことにした今回の旅行計画なのだが‥。)

 しかし、はたして、身分証明にはとても厳しい中国という国で、そのようなパスポートの代わりになるような紙切れ一枚で通用するものなのだろうか?半信半疑で旅行当日に臨むこととなった。もし通用せず、私が北京に行けなくなったら、中国語ができなく初めて北京に行く妻は 北京でとても困る事態に陥ることになるだろうことは予想できた。

◆3月20日(水)に大学外事所に行き、パスポートの代わりになるA4版用紙を受け取った。そこには、パスポートに記載されている写真・生年月日・氏名・パスポート番号・国籍が記載され、福州公安局出入国管理所の大きな赤いハンコが押されていた。この紙きれ一枚ではたして通用するのか??‥不安はなくならなかった。

 3月23日(土)、午前5時すぎにアパートを出て、早めに福州空港に向かった。飛行機は8時40分離陸予定。7時ころには空港に着いた。飛行機に無事に乗れるかどうか、2つの関門がある。まず最初はチェックインカウンターで、航空券の発券がされるかどうか?。パスポートの代わりのものを提示したら、なんと!、発券してくれた。軽い驚きだった。次は、搭乗口に行く間にある検査場。ここは やはり すんなりとはいかなかった。係員が「ちょっと待て」と言って、上司との相談に行った。しばらくして、検査場通過許可の判断が下された。ようやく北京行の飛行機に乗れることがわかったので、まだ関西国際空港にいる妻に国際電話で知らせた。

 私の飛行機は午前11時20分に北京に到着した。妻の飛行機は1時間後の12時25分に北京に到着した。巨大な北京首都国際空港の第三ターミナルのB出口で出会うことができた。この旅行最大の難関がクリアーできた。

 空港から予約してある北京市内の建国門近くのホテルに向かう。この日の北京は青空が見えるとても天気の良い日だった。最低気温は4度で最高気温は20度あまり。前日、北京は強い風が吹いたようで、この風のおかげで空気がきれいになったとのこと。桜の花にとても似ている樹木が満開となり微かに高貴な香りを放っている。宿泊予定の「長富宮飯店」は日系のホテルニューオータニ系列のホテルなので、日系企業の日本人駐在員や日本人観光客の利用も多く、日本語ができるスタッフもいるホテルだ。全室喫煙不可のため、4日間は苦労することとなるが。私が北京に行けなくなることも想定してこのホテルを予約していた。

 ホテルでのチェックインをすませ、1時間ほど部屋で休憩。ホテル近くにある、かっての北京城堡の角楼や城壁が残る場所に散歩に行った。城壁沿いの梅花苑には、紅や白の紅白梅の花が咲き、レンギョが満開だった。柳の木々も新緑めいてとても美しい。桜に似た花を咲かせている木々も満開となっていて、北京はまさに春の始まりの季節となっていた。

 夜に、地下鉄に乗り天安門東駅で下車。天安門が見える地上に上がると「身分証明書」の提示を求められたので、パスポートの代わりのものを提示すると認められた。ライトアップされた天安門を見る。南に歩いて前門の巨大な楼閣を見る。このあたりの歴史ある古街を歩き、北京の代表的な食べ物である「北京炸醤面」を夕食に食べる。

 翌朝24日、午前8時半に「故宮(紫禁城)」のある天安門前に到着し、故宮に入場する。私にとっては2回目の紫禁城見学となる。開門時間となる8時半には、もうすでにたくさんの人が入場を待っていた。紫禁城は広大な、世界一規模の大きな宮殿だ。建物だけでも1万棟くらいある。

 長い長い壁が続く。浅田次郎の中国を舞台とした『蒼穹の昴』や『珍妃の井戸』などで描かれている場所も多い。この日の北京も、青空が見える快晴だった。

 北京の京劇や歌舞音曲が行われた楼や珍妃が殺されたとされる「珍妃の井戸」などを見る。北門にあたる神武門より故宮の外に出て、堀の向こうにある角楼を見る。角楼を背景に結婚記念アルバム撮影のカップルがあった。初めて北京に来た妻は、故宮のその壮大さに驚いていた。3時間ほどの故宮見学だった。