中国映画『芳華―Youth—』
文芸映画でありながら、2017年に中国で公開されるや、1か月で興行収入230億円を突破し、年間ベスト10入りしたという映画『芳華』。映画公開直前で当局から一旦ストップがかかったものの、公開にこぎつけた作品だ。1970年代の文化大革命の時代から1979年の「中越戦争」(中国とベトナムとの戦争)の時代を背景に物語が語られる。
私は中国のインターネット配信でこの映画を見たが、この作品で何よりも目を引くのが、スクリーンから伝わってくる圧倒的な美しさだ。章子怡が主演した『初恋の来た道』(※中国では『我的父親母親』という題名)のような映像のみずみずしい美しさが印象的だった。本作は、1970年代の文化大革命の真っただ中の中国を舞台に、歌や踊りで兵士たちを時に慰め、時に鼓舞するという役割を担う軍の「文化工作団」(文工団)に所属する若者たちが、毛沢東の死と文化大革命の終焉、中越戦争という激動の時代に翻弄されていく姿を描いた青春アンソロジー映画。(※「文工団」には、歌や踊りが得意で、容姿も端麗な男女が集められた。)
監督は馮小剛(フォン・シャオガン)だが、作品は彼の私小説的な面も多分に演出されているとも言われている。中国国内外で数々の映画賞を受賞した作品は、今年の四月に日本で初公開されている。上映予定は次の通りだが、私もパソコンではなく映画館の大きなスクリーンで見てみたい。
映画「芳華」―4月12日(金)より 東京・新宿武蔵野館、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GADEN CINEMA。ほか全国順次公開となっている
中国映画『THE CROSSING—太平輪』
中国では2014年に公開された。映画は第一部(前編)と第二部(後編)とに分かれ、2期にわたって上映された。前編では、蒋介石率いる中国国民党と毛沢東率いる中国共産党が再び対立し、1945年からの中国の内戦である「国共内戦」を舞台に、時代に翻弄された3組の男女を描く。金城武や長澤まさみ、章子怡(チャン・ツイー)など、中国・日本・台湾・韓国などの男優・女優が共演している。
後編では約1000人の乗員乗客(台湾に逃れる)が犠牲になった上海発・台湾行きの大型客船「太平輪号沈没事件」を軸に、客船に乗り合わせた男女それぞれの運命が交錯していく。
日本では今年、この映画が初公開となる。前編は、6月7日から「東京・シネマート新宿」「大阪・シネマート心斎橋」で、後編は6月14日から同・映画館で上映が開始され、順次全国で上映が行われる予定だ。私はこれも中国のインターネット配信をパソコンで見たが、映画館のスクリーンで見たいと思う作品だ。監督は世界的巨匠である「ジョン・ウー」。映画「レッドクリフ(赤壁)」を制作した監督でもある。中国と台湾との政治的緊迫がせまっている今日、中台関係の歴史を知る上でも見逃せない一作かと思う。
日本映画『キングダム』
4月19日から日本の全国388スクリーンにて公開が始まった。上映開始3日間で興行収入約7億円を記録するという驚異のロケットスタートとなっている。興行収入40億円〜50億円の超ヒット映画になる可能性もあるようだ。映画を見た人の満足度は95%ととても高いとも伝わる。中国でも現地ロケを行ったこの映画、私も4月30日から5月9日まで日本に一時帰国予定なので、見たいと思っている。
映画のキャストには、山崎賢人(「信」役)、吉沢亮(「漂/エイ政」の2役)、橋本環奈(「河了豹」役)や長澤まさみ(「楊端和」役)、大沢たかお(「王騎」役)など。長澤は前出の映画『CROSSING』にも出演、吉沢は朝ドラ「なつぞら」にも出ている。
ここ数年、日本のコミック(漫画)としては最も売り上げの多い「キングダム」(現在まで54巻)を実写映画化した本作品。物語は、紀元前の中国の「春秋・戦国時代」を舞台に、大将軍を目指す戦災孤児の少年・信と、後に始皇帝となる「秦国」の若き王・嬴政(エイ・セイ)が、中華統一を目指し戦乱の世を戦い抜く物語。1~5巻までの最初の彼らの時代を映画化したものが今回の作品だ。
中国映画のさまざまな作品の「巨大なロケ」を行なってきている場所がある。この映画の中国ロケを行った浙江省の「象山影視城」にも一度行ってみたいと思う。
中国に暮らしていて、中国の携帯電話のスマホで、さまざまな中国ドラマや映画を最近よく見ている。日本のドラマもこれを通じて見たりもする。最近になって、日本のアニメーションドラマ『恋は雨上がりのように』(中国では「恋如雨止」)がなかなか面白いしいいアニメだった。
物語は、女子高校生(陸上短距離の選手でもある)が、バイト先の店長(※離婚していて小学3年生の男の子と暮らす。いつも客に「すみません。すみません。」とばかり言っているさえない中年店長。)にだんだん惹かれていく物語。日本では、テレビドラマ(映画?)としても実写版放映がされていた。これも中国で、日本のテレビ「BS」放送で見たが、けっこうよかった。店長役は大泉洋だった。