多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

エマニュエル・トッドはこういったという話を自分なりに言ってみると

2019-05-20 00:00:00 | 多文化共生
以下は、フランスの歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏の記事。
氏の提言は、「文藝春秋」の6月号に掲載されているとのことなので、関心のある方は、そちらをご覧いただきたい。

以下、ネット配信記事の引用で、引用元はこちら。
https://bunshun.jp/articles/-/11918

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エマニュエル・トッドが緊急提言 外国人労働者受け入れにあたって日本が注意すべき『6つの過ち』

「このままでは日本の衰退を招く」

 人口動態や家族構造など社会の深層の動きに着目し、ソ連崩壊、リーマンショック、アラブの春、ユーロ危機、トランプ当選、英国EU離脱など数々の“予言”を的中させてきた仏の歴史人口学者エマニュエル・トッド氏(68)。

 トッド氏にとって「移民」は長年の研究テーマの一つだ。1994年刊行の『移民の運命』では、アメリカ、イングランド、ドイツ、フランスの移民政策と移民に対する国民感情を分析し、そこに伝統的家族構造の違いが決定的な影響を与えていることを明らかにしている。


 そのトッド氏は、日本の人口減少と移民政策に関しても、「このままでは日本の衰退を招く」とかねてより警告を発してきた。

日本を愛する一人のフランス人からの提言

 4月に改正入管法を施行し、外国人労働者の受け入れ拡大に一歩踏み出した日本。トッド氏はこれを「大きな一歩」と評価しつつ、「文藝春秋」の取材に応えて、「移民受け入れにあたって犯しがちな6つの過ち」を提示。「これを『日本を愛する一人のフランス人からの提言』と受け取ってもらえたらありがたい」とも述べている。

第1の過ち (移民受け入れ拡大によって)少子化対策の方をおろそかにすること
第2の過ち 外国人労働者はいずれ国に帰ると思い込むこと
第3の過ち 移民を単なる経済的現象と考えること
第4の過ち 移民受け入れにあたって多文化主義を採用すること
第5の過ち 非熟練労働者の移民のみを増やすこと
第6の過ち 移民の出身国をある特定の国に集中させてしまうこと

 具体的に見ていこう。今回の改正入管法で、新たに「特定技能1号」と「特定技能2号」という在留資格が設けられたが、これらは下記の分野に限定されている。

特定技能1号
介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

特定技能2号
建設、造船・舶用工業のみ2021年度より試験を実施予定

 これは、「非熟練労働者の移民のみを増やすこと」という「第5の過ち」に該当している。

 また、今回の受け入れの大部分を占める「特定技能1号」では「家族の帯同は不可」とされているが、これは「外国人労働者はいずれ国に帰ると思い込むこと」という「第2の過ち」に当てはまる。

「同化主義」を採用せよという真意とは

「6つの過ち」でとくに興味深いのは、移民受け入れにあたって「多文化主義」を採用するのは「誤り」で、「同化主義」を採用せよ、との指摘だろう。

「いきなりこう申し上げると戸惑う読者が多いかもしれませんが、移民受け入れに必要なのは、『多文化主義』ではなく『同化主義』です。

『多文化主義』とは、『同化主義』よりも聞こえは良いですが、要するに『移民隔離』政策です。

 移民にとって可能な未来は、『同化』か『隔離』の2つしかありません。そして移民にとっての究極的な運命は、『同化』しかありません。長いスパンで見れば、受け入れ国にとって移民を『隔離』するのは、持続可能な解決策とはみなせないからです。

 ヨーロッパでは、かつて英国やドイツが多文化主義を唱え、『移民を無理に統合させようとせず彼らの自主性に任せる』という政策を採りました。しかし、結局うまくいきませんでした」

 その上でトッド氏はこう述べている。

「まず日本は自信を持つことです。日本の文化は、間違いなく、人類史の素晴らしい達成の一つです。実際、日本文化に魅了されて、多くの外国人が日本にやって来ています。

 そのようにやって来た外国人が長く定住するようになれば、次第に日本社会に属することを誇りに思い、さらには『日本人になりたい』と思うはずです。

 日本は、そのくらいの自信を持った方がいい。自信をもって外国人に寛容に接すれば、必ずや『同化』は成功するはずです」

 日本の外国人労働者受け入れに関するトッド氏の提言「『日本人になりたい外国人』は受け入れよ」は、「文藝春秋」6月号に全文掲載されている。

「人口減少」や「移民問題」をいち早く経験し、克服してきたフランス。かの国を代表する顕学の金言に、いまこそ耳を傾けるべきだろう。
---ここまで----

自分はこれまで10年以上、多文化共生の領域で活動をしているが、いわゆる「多文化主義」であったり「同化主義」であったり、特定の「主義」を採用すべきと語ったことはない。
という文脈で、トッド氏の論を見ていくと、自分がこれまで多文化共生なり共生社会を創っていくために必要なポイントのひとつとしてお話している「帰属意識」が持てる社会という視点が見て取れると思う。
こうした社会の在り方、こと国際問題の視点で帰属意識というものを考えると、どうしても国家であったり特定の民族に目が行きがちだが、そうではない。会社でもいいし、地縁組織やボランティア、サークル活動のようなものでもいい。さらにいうなら、ヒトとヒトとの関係性のみならず、気候や風土というものに愛着を持つということも立派な帰属意識を醸成させる要因だ。
「空気がきれい」だとか「魚が美味しい」でもいいのだ。
こうした帰属意識を持つことにより、社会に共通項が多く生まれ、よりきめ細やかで寛容な社会が構築されていく。
行政も学者も枠を作って物事を考える傾向が強く、もう少しゆるやかな視点で世界を眺めていきたいものだと思う。

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