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不況下に日系人の子どもたち支える 伊那日本語教室 長野

2010-08-30 10:20:50 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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不況下に日系人の子どもたち支える 伊那日本語教室 長野

2010年8月28日

写真・不況下に日系人の子どもたち支える 伊那日本語教室 長野生徒の中に入って教える伊那日本語教室の先生=伊那市のデサフィーオ校

 扇風機は二つ回るが、エアコンはない。暑さ厳しい三つの教室に、生徒が着席している。他に幼児の教室もある。

 手描きのイラストを手に、峯岸雅子先生が一人ひとりに尋ねる。「これは?」

 「(切手を)集めます」、「(手を)洗います」。

 語尾がますの「ます形」動詞の次は、語尾を「辞書形」(終止形)に変える練習をする。「うたいます」は「うたう」、「はしります」は「はしる」になると説明すると、「なんで?」と女子生徒。

 峯岸先生はひらがなを白板に書き出し、このグループの動詞の語尾変化を「一つ次の言葉に移します」と説明する。女子生徒はそうか、という表情で納得する。

 菅るみ子先生の教室では、可能の「できます」を教えていた。「アマンダは料理ことができます」と別の女子。「そうかな。ことはverbo(動詞)につけるんだよ」と菅先生。今度は「料理ができます」と正しく答えた。

 ブラジル人学校コレージョ・デサフィーオの伊那市の校舎で、小中学生に相当する生徒に45分2コマの日本語の授業が毎日行われている。生徒は同校と長野日伯学園(箕輪町)の計40人。彼らの日常語はポルトガル語だ。

 上伊那は日系人労働者が多い。だが2008年秋からの世界不況で雇用契約を解除され、帰国や他県に移った日系人が多い。生徒の激減はブラジル人学校の経営を直撃した。デサフィーオ校は日本語授業の休止に追い込まれた。大手ブラジル人学校が撤退した校舎に、残る教員が設立した日伯学園も、経営は不安定だ。

 そこでNPO法人の伊那国際交流協会は、文部科学省が国際移住機関に委託した「定住外国人の子どもの就学支援事業」に目をつけ、受託した。事業の要は日本語教室の運営だ。指導者10人のうち9人が女性で、日本語をボランティアで教えた経歴を持つ。

 教室はまだ4カ月。デ校のユキさん(13)に感想を尋ねると、「漢字と、話すことが難しい。でも教室は楽しい」。ゆっくり答えた。(田中洋一)

 <メモ> 定住外国人の子どもの就学支援事業 元々は不況で学校に通えなくなった外国籍児の支援。孤立を防ぎ、公立校で学べるようにする目的だが、柔軟に運用できる。指導者の謝金などが賄われる。県内では上田市のブラジル人学校も受託している。

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