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「新たなネット文化生むか、言語グリッド国際交流・多文化共生活動」

2008-04-08 16:06:35 | 多文化共生
(以下、知財情報局から転載)
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「新たなネット文化生むか、言語グリッド国際交流・多文化共生活動」
【IT】発信:2008/04/08(火) 09:11:25

~NICT・京大・NPO等が推進~

  インターネット上の多言語サービスを活用し、言語の壁を取り壊して国際交流や多文化共生を支援しようという活動が、情報通信研究機構(NICT)や京大を中心に始まっている。その活動状況を報告する「言語グリッドを用いた国際交流・多文化共生シンポジウム」が、3月17日と19日に東京と京都で開催された。

  言語グリッドは、辞書や対訳、機械翻訳といった世界中で開発された言語資源を登録し、これをみんなが共有して利用できるようするソフトウェア。NICTでは民産官学の連携協力体制により、この言語グリッドを開発するプロジェクトを2006年から進めており、今回、多言語サービス基盤ソフトウェアとして公開した。

  公開した言語グリッドは、NICTが中国科学院やイタリア国立研究所、ドイツ人工知能研究所、NTT研究所等、内外30以上の組織に呼びかけ、言語資源を提供してもらって構築したものである。その利用は非営利とし、京大がその運用を担当している。

  現状では、まだ機械翻訳の精度が高くないため、インターネットを介して海外と自由にやりとりできる状況にはない。しかし言語グリッドでは、辞書や対訳など様々な言語資源を、機械翻訳と組み合わせて用いることで、翻訳精度を格段に高めることができる。

  公開された言語グリッドでは現在、機械翻訳として日本語、中国語、韓国語、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語、辞書については生命科学、防災、学術全般、概念辞書等が登録されており利用できる。 シンポジウムでは、この言語グリッドを用いて既に始まった、国際交流活動等の報告があった。

  「NPO多文化共生センターきょうと」が取り組んでいるのは、病院の医療受付での多言語支援である。日本では外国人が増加しており、外国人登録者数は現在208万人(2006年度法務省入国管理局統計)。病院で医療を受ける外国人も増えているが、通訳もいない外国人は病院で受付を行うこともできない。

  そうした外国人患者のため、通訳を派遣して医療が受けられるよう活動しているのが同NPOである。しかし、通訳の活動だけでは限度があるため、言語グリッドを用いて「多言語医療受付支援システム」を開発した。来院した外国人患者が、タッチパネル式の装置で医療受付ができるようにしたシステムである。昨年9月から、京都市立病院に設置して利用している。

  機械翻訳だけでは医療分野への適用が無理なため、同システムでは医療受付の用例対訳と組み合わせることで、精度の高い翻訳を可能にした。日本語、中国語、英語、韓国語、ポルトガル語に対応している。

  そのほか、外国人児童の学校生活を支援するため、機械翻訳と中学校のオリジナル辞書を組み合わせてチャットができる「富士見中学校多言語対話システム」(川崎市立富士見中学校、立命館大、京大)、また、インターネットで世界の子どもたちが一緒に遊んだり交流する活動に取り組むNPO法人パンゲアが、母語の違う各国のボランティアスタッフ間が交流できるよう開発した、ネット掲示板「パンゲアミュニティサイト」などの報告があった。

  さらに、仮想空間「セカンドライフ」上で生じている言語障壁をなくすため、母語が違う利用者同士がチャットで会話できるよう開発した「言語バリアフリールーム」の報告(和歌山大)もあった。これは、機械翻訳と京都観光用辞書を組み合わせたもので、とても機械翻訳だけではできない、京都の名所旧跡の精度高い翻訳を実現している。

  NICT言語グリッドプロジェクトリーダの石田亨氏(京大教授)は「4年間かけて開発してきた言語グリッドができあがり、これを用いた国際交流や多文化共生の活動がいよいよスタートした。いまや世界に普及したインターネットも、最初は非営利活動で始まった。言語グリッドと非営利活動の協働で、新しいインターネット文化が生まれる可能性がある」と語ったが、日本発の言語グリッドが世界の言語障壁をなくすのに貢献できれば、ネットの大変革が起こるかもしれない。今後の活動のゆくえが注目される。(科学、3月28日号1面)

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