たろの日記ページ,gooブログ版

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音楽ビジネスの形態変化

2011-03-05 12:02:59 | 音楽・アート
先日マンガの将来について書いたのですが,そこで音楽がメディアの変化によって業態が変わりつつあるので,マンガもそうならざるを得ない…と思いました。マンガがどうなるべきか?はよくわからないのですが,ちょっと整理を兼ねて音楽の変化を書いてみます。音楽の歴史に詳しい人には,当たり前の話です(わたしの認識間違いがあるかもしれませんが)。

昔,音楽,特に作曲家は音楽を注文を受けて書いてました。顧客は権力者だったり教会だったり,あと演劇(オペラとか)の興行主だったり。初めてクラシックのコンサートをしたのはベートーベンだといわれてますが,それ以前は舞踏会で演奏したり,宮中だったり教会だったり,演劇だったりしたわけです。

で,コンサートという分野が出来てくると,演奏家が演奏をしてお金を取れるので,演奏する人,そして演奏する人に曲を提供する人が出てきます。初期の音楽出版とは楽譜を売ることで,楽譜を買った演奏家が曲を演奏するというビジネスだったそうです。ただ楽譜がいくらで売られていたかは知りませんが,演奏家が楽譜を買うので食べていけるほど作曲家にお金が入ってきたのかというとちょっと疑問です。

19世紀末期にラジオとレコードが発明されました。20世紀冒頭にビジネスとして発展したと思うのですが,どっちが先に広がったのかはよく知りません。レコードは演奏を記録したものが売られます。一旦買った人はお金を払わずにいつでも,繰り返し音楽を聴くことが出来ますが,売るほうは,一回の制作で何万枚も売ることが出来ます。生演奏や楽譜の販売に比べて,遥かに効率がいいビジネスだったのだと思います。一方ラジオは,繰り返しは聴けませんが,ラジオ局で演奏した演奏を同時に多くの人に聞かせることが出来ます。ラジオが受信料(広告料)を多くの人から取れれば,当然演奏家にも多くのギャラが出るでしょう。

ここで,レコード制作,出版,ラジオ放送というビジネスが産まれ,それは生演奏に比べ多くの人に同時に商品を買ってもらえるわけですから,ビジネスとして発展することが出来ます。ただ,一回の演奏が多くの人に聞かせることが出来るというのは,逆に言うと,人の曲を生演奏して収入を得ていた演奏家は食べていけなくなり,多くの演奏家が淘汰されたと思われます。日本には最近まで「流し」がいましたが,流しもカラオケの発達により消えていきました。

さて音楽ビジネスは放送とレコードになりましたが,そのうちテープレコーダが生まれ,カセットになると,一般の人にも爆発的に普及しました。まずはエアチェックという形で,音楽を記録することが広がりました。既にラジオは無料で放送されていたので,カセットをもっている人はレコードを買わずに安いカセットテープを買えば,好きな曲を手にし,何度も繰り返し聴くことが可能となりました。この時点では,好きな曲がラジオで必ずしもかかるとは限りませんでした。

一方既にこの時期に,自分のレコードをカセットに録音し,人にあげるという人がいましたが,総数的にはたいしたことなく,あまり問題にはなりませんでした。ところが貸しレコードが出てくると,お客は好きなレコードを貸しレコードで借りて録音し,レコードを返す…という人が爆発的に増えました。ですので,レコードを買う人は減りました。これはレコード会社に大打撃を与えたので,レコード会社はいろいろと政治的な活動も行い,結果的に貸しレコード屋にレンタル料から一部権利料を取ることに成功しました。これで貸しレコード屋は堂々とレコードを貸せるようになりましたが,レコード会社もそれなりに権利料が入ってくる,お客も安価に音楽を所有できるため,音楽を聴ける増えるという意味ではWin-Winだったのかもしれませんが,レコード会社の本音としては貸しレコード屋は目の上のたんこぶだったようです。

さてこの時点では,まだウォークマンもCDも無いため,音楽を外で聴くにはラジオしかあり得ませんでした。もしくはカーステのカセット。まずウォークマンによりカセットが野外で聴ける様になりました。そのため音楽を聴ける時間が増え,さらにLPをカセットにダビングできるオーディオも売れ,レコードの売り上げは更に増えたように思います。

次に出たのがCD。CDは爆発的に広がりアナログレコードを淘汰しました。これは当時,まずCDは音がいい…というのを売りにしてましたが,わたしの感覚では,それ以外に取り扱いが簡単,曲の頭だしが可能,そしてCDの発売後数年で野外で聴けるウォークマンが出たことが大きかったように思います。これでカセットがなくても,音楽を野外や車の中で聴けるようになりました。

次に出たのがMD。MDは録音が出来るディスクでカセットに取って代わられました。これも音がいい事よりも,ランダムアクセスが可能なこと,CDやカセットより機器が小さかったことが売れた理由だと思いますが,ちょっと高価だったため,カセットも合わせて残りました。

この頃がCDの売り上げとしては一番多かった時代だと思います。

…さてこの次に出てきたのが実は当時MP3と呼ばれたメモリープレーヤやハードディスクプレーヤです。出てきたのは2000年頃。ですが,これは当初すぐには広がりませんでした。理由はメモリの容量が小さくCD一枚を入れることできなかったこと。CDからデータを吸い出すソフトが不完全で扱いが面倒だったことでしょう。これについてはアップルがiTunesとiPodを出し解決し,そして爆発的にメモリプレーヤが広がることになります。またこれが広がったのは,CDがコンピュータにそのままでデータが取り出せ,ダビングがきわめて簡単になったこと,インターネットにコンピュータが繋がり,曲の情報などが簡単に扱えるようになったことなどが大きいです。

さて,ここに来て,音楽の販売数にブレーキがかかります。CDの音源があまりにも簡単にコンピュータに吸いだせること,それが複製可能なこと,そのデータが簡単にインターネットでやり取りできること,という環境が整ったため,CDのダビングと大量の配布が可能になってしまったのです。が,実はCDの売り上げが下がった原因は,それが主だったのかはよくわかってません。ゲームや携帯電話の普及で,若者がCDをコミュニケーションのツールにしなくなったことの方が大きいという説もあります。

ここに来て一回の録音をプレスするだけでお金が入ってくるというレコード会社市場は急激に小さくなっていくということになりました。CDを売ってもたいしてお金が稼げないとなると,他の手段でお金儲けをする必要が出てきて,一つは音楽配信をビジネスとして始めました。音楽の携帯プレーヤに規制をかけ,簡単にデータの吸出しやコピーが出来ないようにということも働きかけてます。ライブやライブ時のグッズ販売,メディアとのタイアップとか,いろんな手段で儲ける方法を生み出してますが,現状まだ試行錯誤の様な気がします。

…というのが音楽の話。これみてマンガはどうあるべきか?を書こうと思いましたが,長くなったので,今日はここまで。ただし漫画についてはわたしは意見は無いので,たいしたことはかけないと思います。

つづく。
コメント
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