森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

凾館公園

2020-09-01 | 日記


 久ぶりに函館公園を訪れました。
 函館山の山麓の住宅街の中にあって、それほど広いとはいえない起伏のある園内に
 は動物園や子どもたちの遊べる施設もあります。
 嬉しいのは、大切に保存されているレトロで美しい洋館が、そこここに点在してい
 ていて函館の往時を偲ぶことができます。
 そのひとつが函館博物館です。



 今回来たのは、博物館企画展「津軽海峡北岸の縄文遺跡」を観るためでした。
 開館を待って入ったから、貴重な展示をゆっくりと堪能することができました。
 道南の大船や垣ノ島、鷲ノ木など、多数の遺跡からの出土品がかなりのボリュ
 ームで展示されています。
 特に注目したのは、道南には少ないといわれている土偶が多数出展されてい
 て、それらは小さいながらも楽しいデザインが施されていました。
 また、新潟糸魚川(姫川)産のヒスイ勾玉もいくつかあって、当時の集落間の
 交流を表しています。

 一方で「津軽海峡北岸」と限定しているとはいえ、青森側の遺跡、例えば三内
 丸山や是川のものもいくらかはあるのかな、と期待していました。
 しかし、残念ながらそちらはありませんでした。
 今は、博物館どうしの貸し借りや移動は大変難しいとききます。



 同時開催はこの博物館収蔵資料による「昭和・なつかし暮らし展」でした。
 こちらは古代とはガラリと変わって昭和の生活道具、家電、おもちゃ、レ
 トロ雑貨などがギッシリと並んでいました。
 手回し絞り器付きの電気洗濯機や、モノクロテレビ、木製のラジオなど、
 今でも自分の小屋で使っているものもありました。
 あの頃の道具から一気に当時の生活を想い出し、しばし古き懐かしき時代
 にひたることができました。

 観終わって出ようとした時、なぜか振り返ってしまいました。
 そこでハタと気が付いたのです「もしやこの空間で一番レトロなのは自分
 なのではないか」と。
 それなら自分は「博物館」化しているのだろうかと。



 外へ出ると、すでに公園も秋のけはいが漂っていました。
 いつきても、あの頃とかわらない函館風景に出会えるのは、もうここだけか
 もしれません。