森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

「ナラ枯れ」が来た

2023-07-27 | 日記


昨日、この森で今夏初めて気温28℃に達しました。
暑かったです。何するにも汗だくでした。
そして今日も27℃あるのですが風があるので、体感的には
ずいぶんらくです。
これでも森は樹木がうっそうとしていて、直接日が当たら
ないぶん平地より2~3℃下がりますから、かなり助かります。
近くの町ではゆうに30℃を超えていて、地獄だそうです。
そしてさらに、向こう2日は30℃を超える予想がでています。
こりゃ~どうやら8月になっても続きそうで、町の人々に
とってはまさに命がけの生活です。
そんなことを思っていたら、なんと昨日帯広で36℃になった
とのことです。
地球はどうなっているのでしょう。

自分は、なんとか無い知恵を絞って生き延びなくては。



この森では一週間ほど前から、突然ドングリの木
(コナラ、ミズナラ)の葉が茶変し始めました。
そして今は、ほとんどのドングリの木の葉が枯れています。
自分は「あゝ とうとう来たのか」と小屋の回りを蔽っている、
ドングリの木を眺めては、ため息をついています。

というのも、3年前に山梨県でコナラ、ミズナラが枯れる
「ナラ枯れ」が発生して問題になりました。
「ナラ枯れ」の原因は「ナラ菌」の感染によるもので、特定の
虫が媒介して広まるということはその時知りました。
もともとその虫(カジノナガキクイムシ)は暖かい環境を好む
ため、西日本の暖地にしかいなかったそうですが、急激な温暖化
で、北上して来たとのことでした。
「いやまてよ そんならいずれ北海道にも来るかもしれない」
と思っていたものの、まさかこんなに速く来るとは驚きました。

さらにこの虫が大発生しているもう一つの原因が、森林の放棄
にあるそうです。
かつて、日本の家庭で炭がエネルギーだったころ、その材料
となるナラの木を多く植林しました。
しかし今は炭の需要はほとんどなく、ナラの木は不要ですから、
森林はほったらかしです。
森林は定期的に手を入れて間伐しないと、健康を保つことは
できません。
これらの放棄林は、暗く大径木を好むカジノナガキクイムシの
格好の棲み処となったようです。
そしてこの虫は菌を広めるだけではなく、木の幹に多数の穴
を開けるので倒木の被害もでているとのこと。
これは自分の生活にも脅威となります。

人間の都合でさまざまな変化が生じています。
ナラが枯れてドングリが不作だと、それを食料にしているクマや
森の動物たちはどうなるのでしょう。
しかし、そんなことをいちいち考えていたのでは、人は生きては
いけません。



急に暑くなって野の花たちは徐々に退場しています。
代わってキノコ類が元気に顔をだしてきました。
そしていよいよ数日前に、晩夏を告げるオオハンゴンソウが
現れました。
ちょっと淋しい森です。