森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

お盆のこと

2020-08-11 | 日記


 今年もお盆がやってきました。
 コロナのことで、帰省できない若者がたくさんいると、テレビでやっていました。
 せっかく、一年間帰省を楽しみに働いてきたのに、かわいそうです。

 お盆はもともと7月におこなわれていたのですが、農繁期と重なるために、多くの
 地方では新暦の8月にしました。ちなみに函館は7月です。
 
 一般的には、13日の夕刻に迎え火を焚いて供え物をして、故人の霊を招きます。
 3日間一緒に過ごして、16日に送り火を焚いてお帰りいただきます。
 京都の五山送りが有名ですよね。川などに精霊流しをする地方もあります。



 おもしろいのは、お供え物に加える「精霊馬」です。
 お盆の間、霊魂がこの世とあの世を行き来する乗り物として、キュウリやナスに折っ
 た割りばしを四本刺して、細いキュウリを馬に、太いナスを牛に見立ててお供えする
 ことです。
 
 来るときは馬に乗って早くきてほしい。
 帰るときは、いや帰らないでほしいが、せめて牛に乗ってゆっくりと帰ってください。
 との願いです。
 なんとも切ない想いが伝わります。



 そういえばその昔、まだメタボなんて言葉のないころ、「ひまんたい」のオジサンの
 ことを「お盆のナスのような人」などといいましたね。

 日本には縄文のころから、多くの招魂の祭礼が存在したといわれています。
 仏教が伝来してから火葬の弔いが広まったことで、霊魂に対する考え方はかなり変化
 したようですが、お盆にみるような古神道、仏教、道教が融合した祭礼は現代におい
 ても数多く継承されています。
 それは日本人が死者と向き合うときの、優しさや繊細さが失われていない証なので
 しょう。

 未だに太陽が顔をだしてくれません。どころか雨降りの日々です。
 またひとつ、何十年に一度の記録ができそうです。