時間
2016-06-22 | 日記
いつも歩いている湖畔道のカーブの辺りに、一か所だけ遠くからでもハッキリ分かる、何
か白い物を撒き散らしたような場所がありました。
何かな、と近づいてみると、それは投げ捨てられた多数のタバコの吸い殻でした。
どうしてこんな所に、と思いながら脇の茂みを見ると、一本の倒れそうに傾いた、しかも
樹皮が酷く削り取られた木があって、その根っこの部分にお線香、お花、缶コーヒーなどが
ギッシリ重なるように置かれているのです。
あっ、ここで何かがあったんだ、と直ぐに分かったのですが、どうもこの景色どこかで見
た記憶があるのです。
一週間ほど前に近くの町に住む若い人の車が、何らかの理由で車道を外れ、木に激突して
亡くなったとのニュースを思い出しました。
ああ、ここだったんだ、と分かった瞬間に周りの空気が変わって、景色も違って見えてき
ました。
先月のことですが、この無人駅の道を二キロ程行った所で、それはもう前後左右樹木だら
けの全く林の中なのですが、そこで若い親御さんが小四の子供をお仕置きのために、道端に
置き去りにしました。少しして戻ってみたがいないのです。そのまま夜になっても行方がわ
からなくなって、大規模な捜索が始まりました。
この小屋の上空にも連日ヘリコプターが飛ぶものだから、爆音で窓ガラスがビリビリ震え
まるで沖縄にでもいるようでした。お巡りさんも尋ねてきて物置などを調べていきました。
幸い男の子は無事に保護され、一件落着しましたが、日本中の人々が心配して生存を祈っ
た一週間でした。
「一瞬で変わる人生」よく聞くありふれた言葉だけど、その一瞬を明日誰かが自分に配達
に来るのかもしれない。もう何回目かの。
動(yurugi)