森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

二上山

2016-06-04 | 日記
 「え~っ!北海道にも二上山はあるんですかぁ~?」
 南大阪や奈良の人はびっくりするでしょう。
 なんと、それがあるんです。

 飛鳥の歴史の、数々の舞台となった二上山、それによく似てしかも遥かにスケールの大き
な山がすぐ近くにあります。正確には千メートル程の山が二つくっついて「駒ケ岳佐原岳」
と立派な名前があるのです。しかし一番いいこの角度から見ると、どうにも一つの山に見え
るのです。しかも長い呼び名は言いにくいので、勝手に「二上山」にしてしまいました。
 ど~も、すみません。

 この山景からして、古い時代の神話民話が、ぎっしり詰まっていることに違いないのです
が、なにしろ文字がなかったので、今となっては何も残っていません。



 ここには姫川もあります。もちろんその昔はアイヌ名だったのでしょう。和人が来たとき
その意味を継承して名をつけたと思うのですが、本当のことは分かりません。



 近くに縄文の大船遺跡があります。国宝の中空土偶で有名になった所です。
 ここから、古事記にも登場する伝説の姫川(新潟県糸魚川市)産のヒスイの勾玉が出土し
ています。
 最近は科学的な成分分析が進んで、鉱物の産地が特定できるようになりました。それによ
ると、日本中の縄文弥生遺跡で出土するヒスイ勾玉のほとんどが、この姫川のものだと分か
ったのです。
 実際に姫川を挟んだ新潟、富山からは加工工房跡がいくつか発掘されていて、特別な技を
持った職人集団がいたようです。



 日本のヒスイの産地は他にも何か所かありました。北海道では日高でいいものが採れてい
ます。
 それなのに、なぜ姫川のものじゃなければならなかったのでしょう。そしてだれがどんな
方法で日本中の縄文村に届けたのでしょう。



 ちょっと寂しそうなお顔を眺めていると、姫川からこの地へ命がけで運んでは来たものの、
年老いて戻れなくなった人が、この川辺で故郷を偲んでいるようにも思うのです。
 古いことは分からないことばかりです。ただ、縄文人も飛鳥人も現代人も同じ景色を見て
同じ感慨を抱いていることには違いありません。

 想像、こじつけ、勝手な話作りはこの先も続きそうです。
                                  動(yurugi)