森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

2016-02-06 | 日記
 鱈が捕れなくなったのです。
 店に並んでいるのは、ノルウエーやアメリカのもの、同じ海でつながっているの
だから、どこで捕れてもいいのですが、ここは北海道だから、鮭、鱈は地のものが
食べたいと思っていました。しかし、たまに見つけてもビックリするほど高いので
す。
 
 この時期、鱈がないのは淋しいことです。
もともと北海道には、白身魚が少なく、昔からいくらでも捕れて安い鱈は庶民の味
方でした。サッパリしているから、調理次第で自分の味にできるし、なんといって
も寒い中に温かい鱈の湯豆腐は欠かせません。食べ終わって太い骨を眺めて「冬も
悪くないなぁ」と幸せな気持ちになるのです。

 諦め切れず、地元の鱈を求めて、三十キロ程離れた昔から鱈漁で有名な町を訪ね
ました。途中道の駅があって覗いたのですが、タラコはいっぱいあっても鱈はあり
ませんでした。そのタラコも全部ロシア産でした。

 ここでくじけてはいけないと、町中を歩き路面の小さな魚屋さんをみつけました。
おじさんは「ここでは もうかなり前から鱈なんか捕れないよ」と笑っていました。
 「でもこの町 昔も今も鱈やタラコで有名なんですよね」
 「あんた いつのこといってるの 相当古い人だね 今はロシアものを加工して
いるだけ それでもタラコの町には違いないのさ」

 鱈の来なくなった海は、もう元には戻れないのでしょうか。

 スーパーへ寄ると、こんがり狐色の「白身フライ」並んでいました。金曜日はフ
ライデーだから安くなっているとのこと、表示を見るとアフリカ産白身魚とだけ出
ていて、名前はありませんでした。店の人に尋ねたのですが「分かりませ~ん」で
した。  
 これはたぶん「シロミ」って名前なのだろうと、買って帰りました。
 
 これがなんと結構美味なのです。マックの白身バーガーに似た味で柔らかく食感
もいいのです。そうか、白身魚を食べたい時は「シロミ」を買えばいいのだ。どう
してオッチャンは名前や産地にこだわるのだろうと反省しました。もうそんな時代
ではないのです。

 この先、魚の名前も変化するのでしょうね。「シロミ」「アカミ」「ピンク」な
ど、分かりやすくていいかも知れない。もうすでに、子供たちは「さかな」で全部
ひとくくりですから。

 だけど少したった今、「あれは本当に魚だったのだろうか」と思うことがありま
す。
                              動(yurugi)