昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
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旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

北海道旅行No.12 「春国岱」に広がる不思議な風景

2011年07月19日 | 北海道の旅
北海道旅行3日目 6/5(日)「春国岱[しゅんくにたい]」散策の続きです。



オホーツク海に接する第1砂州から左折、第2砂州へ渡る橋の風景です。

干潮の岸辺は、平らな岩場が広がっています。



橋のたもとに掲示されていた公園の案内地図の写真に補足説明を加えたものです。

図下の「P」駐車場から「橋」まで約500m、そのまま直進すると「展望塔」、更に進むと「休憩舎」の建物があるようです。

しかし、直進方向には木道が整備されておらず、「展望塔」も使用禁止とされていることから橋を渡り、赤い矢印付近の道を歩き、引き返しました。



橋を渡った辺りの風景です。

干潮で現れた広い、平らな岩場に細い川のような溝が見られます。

長い年月に幾度となく続いた干満で、岩が削られて出来た溝のように思われますが初めて見るものです。



岩場を過ぎ、草むらに変わる辺りに「タンチョウ生息地」の文字と、丹頂鶴が飛ぶ絵が描かれた案内板がありました。(板に描かれた丹頂鶴の絵を切り抜いて貼りつけた案内板)

丹頂鶴に害を及ぼすため、ゴミ・空缶・リングプル(空缶のフタ)を捨てないで持ち帰る注意書です。

残念ながら丹頂鶴には出会えませんでした。



草むらから展望塔方向をズームで撮った風景です。

倒れた白骨樹は、アカエゾマツでしょうか。

木が育っていた昔は、塩分のある湿地ではなかったと思われますが、次第に土地の条件が変わっているのでしょうか。

春国岱の砂州に広がるアカエゾマツ林は、世界でも極めて稀とされていますが、次第に枯れているようです。



第2砂州にさしかかると、木道が二手に分かれ、コースの案内板がありました。

右手は、第2砂州に沿ったコースで、「キタキツネの巣がある」と書かれています。

左手は、アカエゾマツ林が見える第3砂州へ向かうコースで、こちらへ進んで行きました。



林の入口付近に根っ子に黒い土を付けたままの倒木がたくさん並ぶ不思議な風景です。

倒木の根はどれも円盤状で、砂州の表層部分に根を張っていたようです。

汽水湖に囲まれた砂州の地下には塩分があると思われ、アカエゾマツの根が地下に達すると枯れてしまうのかも知れません。

林の外周から木が枯れているようで、風圧を強く受ける場所でもあり、倒れたのでしょうか。



倒木の間にミズバショウが咲いていました。

開花の季節は過ぎたようですが、チラホラと白い花が見られました。



アカエゾマツ林の風景です。

下段は林の入口付近で、枯れ木が多く見られます。

上段は林の中の風景で、緑の葉が茂る元気な木が並んでいます。

不思議な風景の続く春国岱の散策を終えて引き返しましたが、とても心が安らぐものでした。



2010年(昨年)7月19日に訪れた野付半島ネイチャーセンターに北海道新聞の切り抜きが掲示されていました。

野付半島は、春国岱から海岸を北へ約30~40Kmkの場所にあり、砂州が伸びて海老の形になった半島です。(前回の記事に掲載した地図でも見られます)

新聞によると、野付半島は地盤沈下で120年後には消滅してしまうとあります。

不思議な白骨樹林が見られるスポットで、期待して訪れましたが、あいにく霧と小雨であまり見られませんでした。

地理的に近い春国岱でも同じように地盤沈下があり、林が枯れているのかも知れません。



上段は、「野付半島ネイチャーセンター」の前にあった野付半島の案内地図です。

下段の二つの風景写真は、観光案内パンフレットにあったものです。

案内地図の「トドワラ」近くにある建物が「野付半島ネイチャーセンター」です。

観光案内パンフレットによると「トドワラ」は、トドマツの林が白骨樹化し、「ナラワラ」はミズナラの林が白骨化したものだそうで、海水に侵食されて枯れたようです。



道路から見た野付半島の「ナラワラ」の風景です。

枯れ木の向こうは、ドングリの木「ミズナラ」の林のようです。

擦文時代の住居跡も見られる野付半島には、かつてミズナラ以外にも様々な種類の樹木が生い茂っていたようです。

自然は、木が生い茂る砂州を造り、その砂州を地盤沈下で消滅させているようです。