必勝!合格請負人 宅建試験編

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23年宅建試験・重要問題と解説12

2012-02-15 | Weblog
【問37】 宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない
    買主B
との間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関する
    次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、
    誤っているものはどれか。

1 当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った
  場合、BはA社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金
  を放棄して契約の解除をすることができない


2 当該契約の締結に際し、A社がBから代金の額の10分の2の手付金を受領する
 場合には、当該手付金を受領するまでに、宅地建物取引業法第41条の2の規定に
 基づく保全措置を講じなければならない


3 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う
 損害賠償の額を予定し、違約金を定める場合、これらを合算した額について
 代金の額の10分の1とする旨の特約を定めることができる


4 当該契約において、Bが瑕疵担保責任に基づく請求をすることができる期間 
 として、Bが瑕疵を発見した時から2年間とする旨の特約を定めることができる



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【問 37】「自ら売主制限等」

正 解 1

1.誤 宅地建物取引業者でない買主が契約の履行に着手していても、宅地建物取引業者
   である売主が契約の履行に着手していなければ、買主は手付金を放棄して契約を
   解除することができる


2.正 完成物件の場合は、受領する手付金の額が10%又は1,000 万円をえるときは、
   当該手付金を受領するまでに保全措置を講じなければならない。

3.正 債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、違約金を
   定める場合、これらを合算した額について、代金の額の10 分の2以内の特約を
   することができる。

4.正 宅地建物取引業者でない買主Bが瑕疵担保責任に基づく請求をすることが
   できる期間として、Bが瑕疵を発見した時から2年間とする特約は、買主Bに
   有利な特約であり、有効である。



●合格のポイント●

1)手付の額・性質の制限
(1)宅建業者が自ら売主となる売買契約の締結に際して10分の2を超える額の手付を受領
  することはできない。
(2)10分の2を超えて受領した場合、超える部分について無効となる。
(3)宅建業者が自ら売主となる売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付は
解約手付
の効力を有する。
  →当事者の一方が履行に着手するまでは、買主は手付金を放棄して、
   売主は手付金の倍額を返して解除できる。
(4)(3)について買主に不利となる特約は無効である。


2)手付金等の保全措置

(1)手付金等とは、手付金、中間金、内金等の名目を問わず、売買代金として、
  売買契約締結の日から物件の引渡し前までに支払われるものをいう。
(2)原則
  宅建業者は、自ら売主となる売買契約においては、保全措置を講じた後でなければ、
 買主から手付金等を受領してはならない。
(3)例外
  次の(a)(b)のいずれかに該当する場合は保全措置を講じる必要はない。
(a)買主が、売買された物件の所有権の登記をしたとき
(b)すでに受領した分を加えて、受領しようとする手付金等の額が、
①未完成物件の場合は、代金の5%以下で、かつ、1,000万円以下であるとき
②完成物件の場合は、代金の10%以下で、かつ、1,000万円以下であるとき

3)損害賠償額の予定,違約金の額の制限
(1)宅建業者が自ら売主となる売買契約において、債務不履行を理由とする
  契約の解除に伴う損害賠償額の予定または違約金を定めるときは、合算して
  代金額の10分の2を超えてはならない
(2)(1)に違反する特約は、10分の2を超える部分について無効である。
必勝ゴロ


4)瑕疵担保責任についての特約の制限
 瑕疵担保責任について宅建業者は、
(1)原則として、民法の規定より買主に不利となる特約をしてはならない
(2)例外として、担保責任の期間を引渡しの日から2年以上とする特約は、
  してもよい(民法:買主が瑕疵を知った時から1年間)。
(3)(1)、(2)に違反する買主に不利な特約は、無効となり、民法にもどる。
 たとえば、「瑕疵担保責任を負う期間は目的物の引渡しの日から1年とする」特約は、無効であり、
 瑕疵担保責任を負う期間は民法の規定により、買主が瑕疵を知った時から1年間となる。
(4)民法の規定より買主に有利な特約は有効
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23年宅建試験・重要問題と解説11

2012-02-08 | Weblog
【問36】 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、
    宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事が
 完了するまでの間は、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可
 建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の処分があった
 でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する
 広告をすることはできない。


2 宅地建物取引業者が、複数の区画がある宅地の売買について、数回に
 分けて広告をするときは、最初に行う広告以外には取引態様の別を明示
 する必要はない。



3 宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、
 依頼者の依頼の有無にかかわらず報酬とは別に、当該広告の料金に相当
 する額を受領することができる


4 宅地建物取引業の免許を取り消された者は、免許の取消し前に建物の売買
 の広告をしていれば、当該建物の売買契約を締結する目的の範囲内においては、
 なお宅地建物取引業者とみなされる。


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【問 36】「広告の開始時期の制限」

正 解 1

1.正 未完成物件においては、その工事に関して必要とされる都市計画法第29条の
   許可(開発許可)、建築基準法第6条第1項の確認(建築確認)、その他、
   法令に基づく許可・確認等を受けた後でなければ、すべての取引態様について
   広告をすることができない。

2.誤 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をするときは、その
   つど、取引態様の別を明示しなければならない。

3.誤 依頼者の依頼があれば、報酬とは別に当該広告の料金に相当する額(実費)   
   を受領することができる。

4.誤 宅地建物取引業者とみなされることがあるのは、免許の取消し前に、契約を締結
   している場合であり、売買の広告をしているだけでは、宅地建物取引業者と
   みなされることはない。


●合格のポイント●

1)広告開始時期の制限
 宅建業者は、宅地の造成・建物の建築に関する工事の完了前では、当該工事に必要な許可
確認等が下りた後でなければ、すべての取引態様における広告をすることができない


2)取引態様の明示
(1)宅建業者は、広告をするときには、そのつど、取引態様の別を明示しなければならない。
(2)宅建業者は、注文を受けたときは遅滞なく、注文をした者に対し、取引態様の別を明示
  しなければならない(口頭でもよい)。

3)広告料金・調査費用等
 原則として、報酬とは別に必要経費を請求することは認められない。
 例外として、特別の広告費や遠隔地における現地調査の費用等は、依頼者の依頼があれば
報酬とは別に受領することができる。

4)免許の効力
 宅建業者の免許の効力が失われた場合でも、その者(破産・解散・廃業の場合)、または、
一般承継人(死亡・合併の場合)は、当該業者が締結した取引を結了する目的の範囲内では
宅建業者とみなされる。
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23年宅建試験・重要問題と解説10

2012-02-01 | Weblog
【問35】 宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主B    
    との間で締結した投資用マンションの売買契約について、Bが宅地建物取引
    業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の
    解除をする場合における次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
 
ア A社は、契約解除に伴う違約金の定めがある場合、クーリング・オフによる契約の
 解除が行われたときであっても、違約金の支払を請求することができる。 


イ A社は、クーリング・オフによる契約の解除が行われた場合、買受けの申込み又は
 売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭の倍額をBに償還しなければならない。


ウ Bは、投資用マンションに関する説明を受ける旨を申し出た上で、喫茶店で買受けの
 申込みをした場合、その5日後、A社の事務所で売買契約を締結したときであっても、
 クーリング・オフによる契約の解除をすることができる。


1 ア、イ


2 ア、


3 イ、


4 ア、イ、

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【問 35】「クーリング・オフ」(組合せ問題)

正 解 1

ア.誤 クーリング・オフによる解除は、無条件解除であり、違約金の支払を請求する
ことができない。

イ.誤 クーリング・オフによる解除が行われた場合、宅地建物取引業者は受領した
手付金その他の金銭を速やかに返還すればよく、その倍額を償還する必要はない。

ウ.正 事務所等以外の場所で買受けの申込みをした買主は、事務所で売買契約を締結した
   ときであっても、クーリング・オフによる契約の解除をすることができる

したがって、アとイが誤りであり、正解は1である。

●合格のポイント●

(1)宅建業者が自ら売主となる場合の8つの制限は、買主が宅建業者でない場合に適用される。

(2)買受けの申込みの場所と契約締結の場所が異なる場合には、申込みの場所を基準
  に判断する。

(3)クーリング・オフがなされた場合、宅建業者は、
  (a)受領した手付金その他の金銭を速やかに返還しなければならない。
  (b)撤回・解除に伴う損害賠償・違約金の支払いを請求できない。
    ※売主が手付金の倍額を償還するのは手付解除の場合である。

組合せ問題の裏技!!
「クーリング・オフは申込みの場所を基準」の知識から、ウが正しいことがわかります。
したがって、ウが除外されるので、1が正解の選択肢となります。
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