【問 11】 賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、
誤っているものはどれか。
1 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に
借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。
2 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その
土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる
場合がある。
3 建物の所有を目的とする土地の適法な転借人は、自ら対抗力を備えていなくても、賃借人が対抗力のある
建物を所有しているときは、転貸人たる賃借人の賃借権を援用して転借権を第三者に対抗することができる。
4 仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し、借地権の存続期間が満了した場合には、
借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るように請求することができる。
【問 12】 A所有の居住用建物(床面積50平方メートル)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、
賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物
の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この間において「本件
普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問
において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及
び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の
特約は、有効である。
2 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない
場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求
することができる。
3 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該
特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って
賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
4 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務がある
のに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人
は期間の途中で解約を申し入れることができる。
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【問 11】「借地借家法・民法/借地」
正 解 4
1.正 借地権は、その登記がなくても、借地権者が借地上に自己名義で登記された建物を所有することに
より対抗力が認められる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/92/a1181ea00de9f5aefece7e57c4c4b717.jpg)
2.正 建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に
掲示するときは、借地権は、建物の滅失があった日から2年間は第三者に対抗することができる。
3.正 転借人は賃借人(転貸人)のこの対抗力を援用することにより転借権を第三者に対抗することができる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/79/1b0f4c22addbf842d598283aebc90cb4.jpg)
4.誤 一時使用は借地借家法の適用がないので、建物買取請求権は認められない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/92/a1181ea00de9f5aefece7e57c4c4b717.jpg)
【問 12】「借地借家法・民法/借家」
正 解 3
1.正 造作買取請求権は、普通建物賃貸借契約だけでなく、定期建物賃貸借においても、当事者間で
造作買取請求権を認めない旨の特約をすることができる。
2.正 普通建物賃貸借契約でも、定期建物賃貸借契約でも、賃料についての特約が定められていない
場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料
の増減を請求することができる。
3.誤 定期建物賃貸借は「更新しない旨」の書面を交付し、説明しなければならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/92/a1181ea00de9f5aefece7e57c4c4b717.jpg)
4.正 普通建物賃貸借契約では、「中途解約できる旨」が契約書に記載がない場合は、契約通り、
期間内に解約はできない。しかし、定期建物賃貸借契約では居住用建物で居住部分が200㎡未満
の場合に限り、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があるなどの一定の要件を満た
せば、建物の賃借人は、建物の賃貸借を途中で解約申入れをすることができる。
●合格のポイント●
<借地借家法(借家編)の適用範囲>
1 借地借家法は、「建物」の「賃貸借契約」に適用される法律である。
ただし、間借りや使用貸借には適用されない。
2 建物の賃貸借であっても、一時使用のために建物を賃借したことが明らかな場合には適用されない。
建物賃借権の対抗力
建物賃借権は、賃借人が建物の引渡し(たとえば,実際にその建物を使用すること)を受けていれば対抗力が認められる。
造作買取請求権
(1)賃貸人の同意を得て建物賃借人が付加した造作(畳・建具など)については、建物賃借人は、
賃貸借終了の時に賃貸人に対して、時価で買い取ることを請求することができる(造作買取請求権)。
(2)造作買取請求権を認めない旨の特約は有効である。
定期建物賃貸借(定期借家権)
①(公正証書などの)書面によって契約する必要がある。
②賃貸人は、賃借人に対して、あらかじめ書面を交付の上、賃貸借に更新がなく、期間の満了によって終了する
旨を説明しなければならない。
終了
1)賃貸人から(期間が1年以上の場合)
期間満了の1年前から6カ月前までに賃借人への通知をする必要がある。
2)賃借人から(床面積が200㎡未満の居住用建物である場合)
転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用
することが困難となったときは、賃貸借の解約の申入れをすることができ、当該申入れの日から1カ月後に契約が終了する。
借賃増減額請求
定期建物賃貸借においては、借賃増減額請求に関する規定は,借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
<借地借家法(借地編)の適用範囲>
借地借家法は、建物所有を目的とする「地上権または土地の賃借権」に適用される。
これらの権利を、借地権という。
借地権の対抗力
(1)借地権は、その登記がなくても、借地権者が借地上に自己名義で登記(表示登記も可)された建物を所有することにより
対抗力が認められる。
(2)借地権者が、土地の上に登記されている建物を所有する場合においては、建物の滅失があっても、
借地権者は、
①建物を特定するために必要な事項、
②滅失があった日、
③建物を新たに築造する旨、を土地の上の見やすい場所に掲示することにより借地権を対抗することができる。
建物買取請求権
借地契約の更新がない場合、借地権者は、借地権設定者に対して、建物を時価で買い取ることを請求
することができる(建物買取請求権)。
ただし、借地権者の債務不履行に基づく解除によって借地権が消滅した場合は、建物買取請求権は認められない。
誤っているものはどれか。
1 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に
借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。
2 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その
土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる
場合がある。
3 建物の所有を目的とする土地の適法な転借人は、自ら対抗力を備えていなくても、賃借人が対抗力のある
建物を所有しているときは、転貸人たる賃借人の賃借権を援用して転借権を第三者に対抗することができる。
4 仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し、借地権の存続期間が満了した場合には、
借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るように請求することができる。
【問 12】 A所有の居住用建物(床面積50平方メートル)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、
賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物
の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この間において「本件
普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問
において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及
び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の
特約は、有効である。
2 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない
場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求
することができる。
3 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該
特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って
賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
4 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務がある
のに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人
は期間の途中で解約を申し入れることができる。
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【問 11】「借地借家法・民法/借地」
正 解 4
1.正 借地権は、その登記がなくても、借地権者が借地上に自己名義で登記された建物を所有することに
より対抗力が認められる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/92/a1181ea00de9f5aefece7e57c4c4b717.jpg)
2.正 建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に
掲示するときは、借地権は、建物の滅失があった日から2年間は第三者に対抗することができる。
3.正 転借人は賃借人(転貸人)のこの対抗力を援用することにより転借権を第三者に対抗することができる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/79/1b0f4c22addbf842d598283aebc90cb4.jpg)
4.誤 一時使用は借地借家法の適用がないので、建物買取請求権は認められない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/92/a1181ea00de9f5aefece7e57c4c4b717.jpg)
【問 12】「借地借家法・民法/借家」
正 解 3
1.正 造作買取請求権は、普通建物賃貸借契約だけでなく、定期建物賃貸借においても、当事者間で
造作買取請求権を認めない旨の特約をすることができる。
2.正 普通建物賃貸借契約でも、定期建物賃貸借契約でも、賃料についての特約が定められていない
場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料
の増減を請求することができる。
3.誤 定期建物賃貸借は「更新しない旨」の書面を交付し、説明しなければならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/92/a1181ea00de9f5aefece7e57c4c4b717.jpg)
4.正 普通建物賃貸借契約では、「中途解約できる旨」が契約書に記載がない場合は、契約通り、
期間内に解約はできない。しかし、定期建物賃貸借契約では居住用建物で居住部分が200㎡未満
の場合に限り、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があるなどの一定の要件を満た
せば、建物の賃借人は、建物の賃貸借を途中で解約申入れをすることができる。
●合格のポイント●
<借地借家法(借家編)の適用範囲>
1 借地借家法は、「建物」の「賃貸借契約」に適用される法律である。
ただし、間借りや使用貸借には適用されない。
2 建物の賃貸借であっても、一時使用のために建物を賃借したことが明らかな場合には適用されない。
建物賃借権の対抗力
建物賃借権は、賃借人が建物の引渡し(たとえば,実際にその建物を使用すること)を受けていれば対抗力が認められる。
造作買取請求権
(1)賃貸人の同意を得て建物賃借人が付加した造作(畳・建具など)については、建物賃借人は、
賃貸借終了の時に賃貸人に対して、時価で買い取ることを請求することができる(造作買取請求権)。
(2)造作買取請求権を認めない旨の特約は有効である。
定期建物賃貸借(定期借家権)
①(公正証書などの)書面によって契約する必要がある。
②賃貸人は、賃借人に対して、あらかじめ書面を交付の上、賃貸借に更新がなく、期間の満了によって終了する
旨を説明しなければならない。
終了
1)賃貸人から(期間が1年以上の場合)
期間満了の1年前から6カ月前までに賃借人への通知をする必要がある。
2)賃借人から(床面積が200㎡未満の居住用建物である場合)
転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用
することが困難となったときは、賃貸借の解約の申入れをすることができ、当該申入れの日から1カ月後に契約が終了する。
借賃増減額請求
定期建物賃貸借においては、借賃増減額請求に関する規定は,借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
<借地借家法(借地編)の適用範囲>
借地借家法は、建物所有を目的とする「地上権または土地の賃借権」に適用される。
これらの権利を、借地権という。
借地権の対抗力
(1)借地権は、その登記がなくても、借地権者が借地上に自己名義で登記(表示登記も可)された建物を所有することにより
対抗力が認められる。
(2)借地権者が、土地の上に登記されている建物を所有する場合においては、建物の滅失があっても、
借地権者は、
①建物を特定するために必要な事項、
②滅失があった日、
③建物を新たに築造する旨、を土地の上の見やすい場所に掲示することにより借地権を対抗することができる。
建物買取請求権
借地契約の更新がない場合、借地権者は、借地権設定者に対して、建物を時価で買い取ることを請求
することができる(建物買取請求権)。
ただし、借地権者の債務不履行に基づく解除によって借地権が消滅した場合は、建物買取請求権は認められない。