【問 7】 物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡し
の前に差し押さえるものとする。
1 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、
Aは当該賃料債権に物上代位することができない。
2 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Aが当該建物に抵当権を実行していても、
当該抵当権が消滅するまでは、Aは当該賃料債権に物上代位することができる。
3 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合、Aは、当該建物に掛けられた
火災保険契約に基づく損害保険金請求権に物上代位することができる。
4 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、
Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
【問 8】 債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、
誤っているものはどれか。
1 AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報を
Bに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を
負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
2 AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったこと
によりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年5分の利率により算出する。
3 AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、
AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
4 AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で
予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期間が経過してしまった場合、
Bは債務不履行に陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。
--------------------------------------------------------------------------
【問 7】「民法/物上代位」
正 解 1
1.誤 これでは抵当権の意味がありません。
一般債権者の差し押さえと抵当権設定登記の先後によって決まる。
2.正 抵当権の効力は原則として、建物賃料には及ばない。
しかし、債務不履行になった場合は建物賃料にも効力が及び、抵当権が消滅するまでは、
賃料債権に物上代位することができる。これぞまさに抵当権。
3.正 物上代位をするには保険金が払い渡される前に差押えをする必要がある。
4.正 Bが借金を返さないので、BのCに対する賃料債権を物上代位することはできるが、
Cの賃料不払いなどがなければ、借金をしていないCのDに対する転貸賃料債権について
物上代位はできない。
【問 8】「民法/債務不履行」
正 解 4
1.正 債務不履行は「約束違反」なので、情報を提供しなかったのは「約束違反」ではない。
2.正 利率に関する定めがない場合は、その遅延損害金の利率は、法定利率の年5%となる。
3.正 二重に譲渡した場合、Cが所有権移転登記を備えているので、Aは、登記がなければ、
Cに対して自らが所有者であることを主張することができない。
したがって、Bは約束通りAに土地を引渡すことができない。
つまり、Bは履行不能(債務不履行)であり、Aは損害賠償請求ができる。
4.誤 金銭債務の場合は例外として、不可抗力によって生じた場合や、債務者が無過失である場合でも
損害賠償責任が発生する。
●合格のポイント●
債務者が抵当権によって担保された債権(借金など)を弁済しないときには、抵当権者は、
抵当権に基づいて抵当目的物を競売にかけ、お金に換えることができる。
そして、抵当権者は、他の債権者に優先して、そのお金を自己の債権の返済にあてることができる。
このような権利を抵当権という。
物上代位
抵当権者は、目的物の滅失等に伴って、抵当権設定者が受け取るべき金銭に、物上代位をすることができる。
たとえば、保険金請求権・損害賠償請求権・賃料・売買代金等が物上代位の対象となる。
ただし、物上代位をするためには、金銭が抵当権設定者に支払われる前に、抵当権者が差押えをしなければならない。
<抵当権の効力の及ぶ範囲>
1 抵当権の効力は、その目的である不動産に付加して一体をなしている物に及ぶ。
2 抵当権の効力は、原則として抵当権設定当時に存在した抵当不動産の従物にも及ぶ。
3 抵当権の効力は、その担保する債権について不履行があった場合、その後に生じた抵当不動産の果実*に及ぶ。
4 土地に対する抵当権の効力は、建物には及ばない。
*果実(賃料など)
債務不履行の要件
債務者は、履行期に遅れたこと、または、履行が不可能になったことについて、債務者の責めに帰すべき事由
(故意または過失)がある場合に、履行遅滞による、あるいは、履行不能による債務不履行責任を負う。
債務者の責めに帰すべき事由がない場合には、債務者は、債務不履行責任を負わない。
金銭債務の特則
金銭債務においては、不可抗力をもって抗弁(こうべん)とすることはできない。
また、損害を受けた人は、その損害を証明しなくても賠償の請求をすることができる。
(利率に関する定めがない場合は、その遅延損害金の利率は、法定利率の年5%)
なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡し
の前に差し押さえるものとする。
1 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、
Aは当該賃料債権に物上代位することができない。
2 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Aが当該建物に抵当権を実行していても、
当該抵当権が消滅するまでは、Aは当該賃料債権に物上代位することができる。
3 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合、Aは、当該建物に掛けられた
火災保険契約に基づく損害保険金請求権に物上代位することができる。
4 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、
Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
【問 8】 債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、
誤っているものはどれか。
1 AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報を
Bに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を
負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
2 AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったこと
によりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年5分の利率により算出する。
3 AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、
AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
4 AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で
予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期間が経過してしまった場合、
Bは債務不履行に陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。
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【問 7】「民法/物上代位」
正 解 1
1.誤 これでは抵当権の意味がありません。
一般債権者の差し押さえと抵当権設定登記の先後によって決まる。
2.正 抵当権の効力は原則として、建物賃料には及ばない。
しかし、債務不履行になった場合は建物賃料にも効力が及び、抵当権が消滅するまでは、
賃料債権に物上代位することができる。これぞまさに抵当権。
3.正 物上代位をするには保険金が払い渡される前に差押えをする必要がある。
4.正 Bが借金を返さないので、BのCに対する賃料債権を物上代位することはできるが、
Cの賃料不払いなどがなければ、借金をしていないCのDに対する転貸賃料債権について
物上代位はできない。
【問 8】「民法/債務不履行」
正 解 4
1.正 債務不履行は「約束違反」なので、情報を提供しなかったのは「約束違反」ではない。
2.正 利率に関する定めがない場合は、その遅延損害金の利率は、法定利率の年5%となる。
3.正 二重に譲渡した場合、Cが所有権移転登記を備えているので、Aは、登記がなければ、
Cに対して自らが所有者であることを主張することができない。
したがって、Bは約束通りAに土地を引渡すことができない。
つまり、Bは履行不能(債務不履行)であり、Aは損害賠償請求ができる。
4.誤 金銭債務の場合は例外として、不可抗力によって生じた場合や、債務者が無過失である場合でも
損害賠償責任が発生する。
●合格のポイント●
債務者が抵当権によって担保された債権(借金など)を弁済しないときには、抵当権者は、
抵当権に基づいて抵当目的物を競売にかけ、お金に換えることができる。
そして、抵当権者は、他の債権者に優先して、そのお金を自己の債権の返済にあてることができる。
このような権利を抵当権という。
物上代位
抵当権者は、目的物の滅失等に伴って、抵当権設定者が受け取るべき金銭に、物上代位をすることができる。
たとえば、保険金請求権・損害賠償請求権・賃料・売買代金等が物上代位の対象となる。
ただし、物上代位をするためには、金銭が抵当権設定者に支払われる前に、抵当権者が差押えをしなければならない。
<抵当権の効力の及ぶ範囲>
1 抵当権の効力は、その目的である不動産に付加して一体をなしている物に及ぶ。
2 抵当権の効力は、原則として抵当権設定当時に存在した抵当不動産の従物にも及ぶ。
3 抵当権の効力は、その担保する債権について不履行があった場合、その後に生じた抵当不動産の果実*に及ぶ。
4 土地に対する抵当権の効力は、建物には及ばない。
*果実(賃料など)
債務不履行の要件
債務者は、履行期に遅れたこと、または、履行が不可能になったことについて、債務者の責めに帰すべき事由
(故意または過失)がある場合に、履行遅滞による、あるいは、履行不能による債務不履行責任を負う。
債務者の責めに帰すべき事由がない場合には、債務者は、債務不履行責任を負わない。
金銭債務の特則
金銭債務においては、不可抗力をもって抗弁(こうべん)とすることはできない。
また、損害を受けた人は、その損害を証明しなくても賠償の請求をすることができる。
(利率に関する定めがない場合は、その遅延損害金の利率は、法定利率の年5%)