必勝!合格請負人 宅建試験編

資格講座の講師をしています。役立つ情報を提供します。

26年宅建試験・重要問題と解説05

2015-03-22 | Weblog
【問 7】 賃貸人Aから賃借人Bが借りたA所有の甲土地の上に、Bが乙建物を所有する場合における次の記述のうち、
     民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
      なお、Bは、自己名義で乙建物の保存登記をしているものとする。


1 BがAに無断で乙建物をCに月額10万円の賃料で貸した場合、Aは、借地の無断転貸を理由に、甲土地の賃貸借契約を
 解除することができる。

2 Cが甲土地を不法占拠してBの土地利用を妨害している場合、Bは、Aの有する甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権
 を代位行使してCの妨害の排除を求めることができるほか、自己の有する甲土地の賃借権に基づいてCの妨害の排除を求める
 ことができる。

3 BがAの承諾を得て甲土地を月額15万円の賃料でCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、
 AはCに解除を対抗することができない。

4 AB間で賃料の支払時期について特約がない場合、Bは、当月末日までに、翌月分の賃料を支払わなければならない。



--------------------------------------------------------------------------

【問 7】「民法/賃貸借」

 正 解 2

<登場人物の整理>
A:甲土地の賃貸人(地主)
B:甲土地の借主・乙建物の所有者
C:乙建物の賃借人

1 誤 賃借人は、賃貸人の承諾がなければ、転貸・賃借権の譲渡をしてはならない。
    しかし、借地上の建物を賃貸する場合には,土地の賃貸人の承諾は不要である。
    したがって、地主Aは借地契約を解除することはできない。

 第612条 1.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
     2.賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

2 正 借地権は、借地権者が借地上に自己名義で登記された建物を所有することにより対抗力が認められる。
    地主Aは所有権に基づき妨害排除請求権を行使できる。
    そして、「Aの有する妨害排除請求権」を賃借人Bが代わりに行使することもできる。*(判例)
    さらに、Bは甲土地の賃借権に基づき妨害排除請求権を行使できる。**(判例)

3 誤 AB間の借地契約が債務不履行を理由に解除となった場合、地主Aは転借人Cに甲土地の返還を請求することで
   BC間の転貸借契約は終了する。
    したがって、地主Aは転借人Cに解除を対抗することができる。


4 誤 原則、賃料は当月分を当月末日までに支払えばよい。
    ただし、特約において翌月分の賃料を当月末までに払うようにすることも有効である。
    実務的にはこの特約(前家賃など)が付されている場合が多い。
 第614条 賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。
     

●合格のポイント●

不動産賃借権に基づく妨害排除請求

1 妨害排除請求権
 物の所有者は、所有権の円満な状態が妨害されている場合に妨害者に対し、物の返還、妨害の排除及び妨害の予防を
請求することができる」(物権的請求権)。
 これは、原則として土地の所有者が行使することのできる権利であり、所有者から賃借して土地を占有しているにす
ぎない賃借人は行使することができない。
 債権は債務者に対し何らかの給付を請求できる権利であり、債権者は原則として債務者以外の第三者に対しては何ら
の請求をすることもできない。
 賃借権は債権であり、賃借権の効力としては第三者に対する物の返還等の請求権は原則として認められない。

2 対抗力を備えた不動産賃借権に基づく妨害排除請求
 賃借権は債権だが物の占有を要素とするものであり、その点で物権に近い性質のものといえる。
 そのため、判例においては、不動産の賃借権者が一定の場合に賃借権の目的物を不法占拠する第三者に対し不動産賃借権
に基づき妨害排除請求をできるとされている。
 最高裁昭和28年12月18日判決は、第三者に対抗できる賃借権を有する者は、その土地に建物を建てこれを使用する者に対し、
その収去、土地の明渡しを請求できると判断し、対抗力を備えた賃借権であることを要件として賃借権に基づく妨害排除請求
権を認めている。同判決がいう「第三者に対抗できる賃借権」としては、不動産賃借権のうち民法605条、借地借家法10条等の
第三者に対する対抗要件を具備した賃借権について妨害排除請求が認められることになる。

3 債権者代位による妨害排除請求
 第三者に対する対抗力のない賃借権の場合でも、賃借人が第三者に対して妨害排除請求をする方法がある。
 賃貸人の有する、所有権に基づく妨害排除請求を賃借人が債権者代位(民法423条)により行使することもできると考えられる。
 最高裁昭和29年9月24日判決は、建物の賃借人は賃貸人に代位して、建物の不法占拠者に対して直接自己に明け渡しをなすべき
ことを請求しうると判断し、賃借人に賃貸人の有する妨害排除請求権の代位行使を認めている。
 債権者代位権は、本来は債務者の無資力を要件とするものであり、金銭債権の保全のために行使することが予定されているが、
このように、賃借人が賃貸目的物を使用収益する権利を保全するための方法としても転用され、その場合には債務者である賃貸人
の無資力要件は不要とされています。

 なお、第三者による本件土地の占有が法的根拠に基づかないものであったとしても、第三者が本件土地に置いた物を勝手に撤去
するなどの行為は自力救済といい、法律上禁止されている。

賃貸借契約の終了と転貸借
(1)借地借家法の適用のある建物賃貸借契約が期間満了または解約申入れによって終了する場合は、賃貸人は、転借人に対し
  そのことを通知しないと、転借人に対抗できない。
   そして、賃貸人がその通知をしたときは、転貸借は,その通知後6カ月を経過すると終了する。

(2)建物の転貸借がされている場合において、賃借人の債務不履行を理由に解除されたときは、原則通り、転貸借契約も終了する。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 26年宅建試験・重要問題と解説04 | トップ | 宅建業法/監督処分 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事