梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記’08 終わってしまいました

2008年07月31日 | 芝居
本日、板橋区【板橋区立文化会館 大ホール】での2回公演をもちまして、平成20年度<公文協中央コース>の全行程が終了いたしました。

『神田祭』での<着付後見>が、筋書きに載る唯一の私の仕事でしたが、先日お伝えしましたように、全狂言での<花道揚幕>の開閉係や、『毛谷村』では子役さんが勤める弥三松の用事をする黒衣も勉強させて頂きました。が、今回一番嬉しかったのは、兄弟子の梅蔵さんがお勤めになった『毛谷村』の<杣 斧右衛門>の演技にかかわる“こだま”をさせて頂いたことでございます。
母を失った斧右衛門が、亡骸にむかって思わず「婆さま!」と呼びかける。するとどこからともなく同じような声が返ってくる。母が生き返ったのではないかと思うものの、それが山彦だったことを知り、再び悲しみにくれる…。
そんな場面におきまして、舞台裏で、梅蔵さんのセリフに呼応して、同じように声を出すという役目を、この度勉強させて頂きました。
大役を勤める兄弟子のお芝居を壊さぬよう、出来る限りの努力をいたしました。公演中も、梅蔵さんからダメ出しがあったり、「こういう風にしたい」とお言葉があり、そのご意向に添うように、日々工夫をしてまいりましたが、その成果は御覧になった皆々様のご意見に従うのみでございますが、一門同士で、短いながらも一つの<見せ場>を担当できましたこと、とても有難く、得難い経験をさせて頂きました。本日の千穐楽の舞台を終えてから、梅蔵さんから「(ひと月)どうも有り難う』とおしゃって頂いた時は、本当に本当に嬉しゅうございました。

『神田祭』の後見も、無事勤め上げることができましたが、これとても、今月某日、梅蔵さんが教えてくれたひとことのおかげなんです。舞台上のことに限らず、色々教えて下さる(ときにはお叱りも)先輩がいるということの有難さを、けして忘れてはいけないと、切に思ったひと月でございました。

今回の「旅日記」は、ほとんどお芝居の話をいたしませんでしたが、私の心の中で、日々場所を移す、その“土地”でのお話をさせて頂きたいという思いが強かったせいですが、月日が過ぎてから読み返したときに、(ああ、こんなことがあった)と懐かしく思えるような日記にはなったかと思っております。
次回の旅日記がどのようになるかは私自身にもまったくわかりませんが、仕事で全国を巡ることができるという有難い職業。1日1日を大切に、普段はできない体験を楽しみつつ、自身の糧にできたらと思っております。

ほぼ丸ひと月の“紙上巡業”にお付き合い下しまして、誠に有り難うございました。


梅之旅日記’08 再び東京近郊へ

2008年07月30日 | 芝居
28、29の両日は<移動日><休演日>ということで、お休みでした。
実家や自宅でフツーに過ごしておりましたので、とくに記すこともなし。

というわけで、本日は埼玉県越谷市【サンシティ越谷市民ホール】での1回公演。2連休明けが1回公演!? ああ、罪悪感…。
加賀屋(魁春)さんの襲名披露以来、2度目の劇場。今回はほんの数時間でおさらばでしたから、思い出が生まれることもなく…。会館まで、自宅から電車1本で行ける(しかも短時間)ことがわかったのが、発見といえば発見でしょうか。

なんの面白みもない文章ですみません。
お詫びに『神田祭』で後半の立廻りを大いに盛り上げているお獅子を御覧下さい。


梅之旅日記’08 頭の足下

2008年07月27日 | 芝居
鹿児島市【鹿児島県文化センター宝山ホール】での2回公演でした。
1回公演や移動日ばかりだったここ数日。久しぶりに1日働いた~という感覚。それでもずいぶん楽をさせて頂いておりますが…。
それにしても鹿児島の暑さはこたえました。まさに<炎天下>。日差しの強さが東京とは違いますね! おかげさまで洗濯物はよく乾きましたが…。

今日の写真は久しぶりにお芝居に関係するもの、『神田祭』で鳶頭が履く<麻裏草履>です。
麻裏草履は、その名の通り、裏側が麻を撚ったものになっているもの。白木綿の鼻緒はやや細めですっきりしており、今回のような鳶の者や遊び人などのお役がよく履きます。
この履物、鼻緒の位置が普通のものとは違っているのですがおわかりでしょうか?
これは<五分(ごぶ)下がり>と申しておりまして、常の場所から、(踵の方に向って)約五分(1.5センチ)下の位置に取り付けられているのです。
履いたときに、つま先から見える部分が長くなるわけですが、ここをクッと反らしておくのが、サッと突っ掛けて履いてゆくのにも具合よく、またなんともイキになりまして…。

明日の越谷、千穐楽の板橋にお出でのお客様には、ちょっとお気に留めて頂ければと存じます。


梅之旅日記’08 桜島探検

2008年07月26日 | 芝居
宇部から貸し切りバス、山陽新幹線、九州新幹線を乗り継いで、昼過ぎに鹿児島へ入りました。
これからは自由行動、さっそく先輩や衣裳方さんたちと「かごしま水族館」へ。ずいぶん前に大阪の「海遊館」で見て以来のジンベイザメさんに会えました! 水槽の真上から見学できるチャンスに遭遇したのですが、悠々と泳ぎ続けるお姿を、フラッシュ禁止のカメラで捉えるのが難しく、いい写真が撮れなかったのが残念…。というわけで、じっとしている皆さんのお姿をご紹介。クラゲさんは私が一番尊敬する生き物です。

「かごしま水族館」は、こじんまりとしているものの、なかなか楽しい水族館でした。イルカさんもラッコさんも可愛いけれど、ここでしかみられない、硫化水素を栄養分として生きている<ハオリムシ>を実見できて嬉しかった~。
あと、海辺の生き物に直接手を触れることが出来るコーナーでの坊ちゃん嬢ちゃん方! いくらもの言わぬ生き物でも、オモチャじゃないんだからね! ナマコさんを締め上げたり、ヒトデさんを投げて遊ぶとは何事ですか! みんな生きてるんだよ~!

続きましては水族館そばの港からフェリーに乗って桜島へ。衣裳さんの運転で、レンタカーでの島一周です。のっけから、湯之平展望台の眺めに圧倒され…。


そして海を眺めながら入る<古里温泉>の景色に感動…。浪の音を聞きながら入れるお湯、開放感は抜群!


過去の大噴火のすさまじさを伝える史跡もたどり(3メートル近くも火山灰が積もったのですね!)、夕暮れ間近の浜辺をブラブラしたりしているうちに、あっというまの3時間。しかし、どなたかは知りませんけど、なんでわざわざ“うし”なんて書く必要があったの?


日没とともに本土へ帰り、黒豚しゃぶしゃぶで「お疲れさま!」 あ~あ、また芋焼酎で酔っぱらっちゃった~。

梅之旅日記’08 由緒ある会館

2008年07月25日 | 芝居
前日たっぷり歩いた宇部での舞台。【宇部市渡辺翁記念会館】での1回公演でした。

会館名の“渡辺翁”とは、宇部の発展に多大な貢献をなさった、宇部興産の祖にして政治家でもあった渡辺祐策氏のことだそうで、1864年生まれ、1934年没ということですから、江戸~昭和の4世を生き抜いた方なのですね。
氏の功績をたたえて、市の公会堂的な施設としてこの会館が建てられたのは1937(昭和12)年で、重要文化財にも指定されているそうです。
そんな歴史ある会館ですが、さすがに近年のホールとは違うこじんまりとしたつくりで、久しぶりに<巡業らしい>劇場での仕事となりました。個室はないので、幹部俳優さんも全員一つのお部屋。いつもより賑やかな雰囲気がイイですね。
定式幕はなく、全狂言、クリーム色のレトロな“絞り緞帳”。あのスルスルとたくし上げられながら開くモノです。『神田祭』でほ、これが上がると再び一面の浅葱幕ですから、客席からの眺めはどんなものだったでしょうね。

舞台の間口もこの前の康楽館よりちょっと広いくらいで、ここしばらく広い舞台が続いておりましたので、「体が慣れないね」とは『神田祭』の立廻りに出ていらっしゃる方のお言葉。演じる方もその都度その都度臨機応変ですが、大道具さんはじめスタッフの方達のご苦労も如何ばかりかと存じます。事前に図面を確認なすっているとはいえ、現場に合わせて屋体を組んだり背景の書き割りの飾り方を変えたり、花道のないところには鳥屋から造るわけですからね。本当に大変だと思います。

…『毛谷村』でお園にからむ浪人直方源八をお勤めになっていらっしゃる萬屋(錦之助)さんのお弟子さんの蝶一郎さんが、ご当地宇部の出身で、『口上』で萬屋(錦之助)さんがご紹介なさっていらっしゃいました(蝶一郎さんご本人は出ませんが)。地元での舞台って、どんな気持ちでしょう?


梅之旅日記’08 町を歩いて

2008年07月24日 | 芝居
新大阪から<のぞみ>で新山口、貸し切りバスで宇部(最寄り駅としては宇部新川)に入りました。
今日は移動のみ、芝居はお休みでございます。

昼過ぎに着いたので、さあこれから何をしようかと考えましたが、あまり遠出もしたくなかったので(秋芳洞に行くテもあったんですが)、結局はホテル近辺をお散歩することに。
商店街がいくつかあったのですが、閉まっているお店が沢山で、ああこれが<シャッター通り>か…。と寂しい思いも。表通りは彫刻作品がいくつも展示されていてお洒落なんですけれどね。夕食をとるべく入った<活魚料理 わらじや>さんでそんな話をしましたら、女将さんも「夜は人通りがないから怖くて…」って…。
商店街の全部がそういう状態というわけではなく、地元の方たちの憩いの場みたいになっている賑やかなお店もございましたので、念のため。
全国的に広がっているという市街地の空洞化現象ですが、なんとかならないものでしょうか? 素敵な町なのに…。

宇部港にも行きました。穏やかな浪の音を聞きながら今月何度目かの「ボ~ッとタイム」。



梅之旅日記’08 皆様のイキに合わせて  

2008年07月23日 | 芝居
新大阪から地下鉄御堂筋線、南海電鉄を乗り継いで岸和田へ。
【岸和田市立浪切ホール】での2回公演でした。

朝のうちに南海のなんば駅で<551の蓬莱>の豚まんをいっぱい買って楽屋入り。お昼にみんなで食べてアァ美味しい! 
こちらの劇場は、桟敷席や本花道もありまして、歌舞伎の公演にとっては大変使いやすい劇場でございます。木の温もりあふれる内装もとても親しみやすく、昼夜公演ともに一杯のお客様で、ますます盛り上がったのでした。

各地の<文化ホール>とか<市民会館>とかは、いわゆる“本花道”がなく、舞台下手の壁際にくっつくように、2、3メートルの<退場路>があるだけのことが多いのですが。こちらのように本舞台と垂直に交わり、客席を縦断する長さ3間ほどのれっきとした花道がございますと、各狂言ともに本来の演出で上演できますし、お客様との親近感、臨場感は段違いでして、その効果は大変なものがございます。

実は私、今月は『橋弁慶』『毛谷村』での“花道揚幕”開閉係を担当しておりまして、弁慶、牛若丸、微塵弾正、後室お幸、弥三松、直方源八、お園、斧右衛門と、数多くのお役の登退場シーンに携わっております。
本来大劇場でしたら、専属の“揚幕係”がいらっしゃいますが、地方巡業ともなりますと、少ない人数で様々な仕事を分担せねばなりませず、揚幕の開け閉めも、役者が勤めるのでございます。
それぞれのお役を勤める俳優さんのイキに合わせて幕を開閉するのは神経もつかいますし、日によって花道の長さが変わったりするので開けるキッカケも変わり、まさに“臨機応変”です。劇場の機構によっては、本来右から左へと開ける幕を、逆の方向に開けることもあり、その時は、私から各俳優さんへあらかじめ「今日は逆に開けます」と申し伝えなくてはなりません。そうでないと、出の瞬間に「アレ!?」と思わせてしまい、お役へ集中できなくなってしまいますからね。
巡業ならではのお仕事ですが、花道にいる時間が多い分、よりお芝居を拝見できるので、今回は本当に勉強になっております。

…夜中に「東北地方で強い地震」の速報が。この巡業でお邪魔した土地々々が震度5だったり4だったり。被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復旧をお祈りお申し上げます。

(7月24日 記)

梅之旅日記’08 大阪で見る江戸世話物 

2008年07月22日 | 芝居
2回に分け、5日間も滞在した名古屋とも別れを告げ、近鉄線で桑名へ。【桑名市民会館】での1回公演でした。
前に来たハズなのですが、どうも記憶にありません。会館そのものが立て直され、とても綺麗になったからかもしれませんが、周りの風景や駅前の景色も、初めて見る感じがして…。
<脳力>の衰えなのでしょうか。

それにしましても、1回公演は慌ただしいものです。正午に劇場に入って荷明け、2時に本番が始まり5時には帰りの電車に乗っている…。風のように町を通り過ぎていったようなものです。
以前も申し上げたかもしれませんが、荷造りの手際はずいぶん鍛えられました。冗談とはいえ「おいてくぞ~」なんて言われながらボテをしめるんですからね。旅の一行全員での団体行動にご迷惑をかけないよう、普段はマイペースの私も頑張って…。
朝劇場入りするためのタクシーや貸し切りバスにしても、決められた発車時間を厳守すること。当たり前のことなんですが、慣れないうちだと、寝坊だとかチェックアウトに手間取ったとかで、皆さんを待たせてしまうこともあったりするのです。「子供じゃないんだから」なんて怒られるのも情けないじゃないですか。
一人ひとりの責任感が大切ですね!

さて、桑名からいったん名古屋へ戻り、新幹線で新大阪へ。大阪での2連泊です。
ホテルにチェックインしてからすぐに電車に飛び乗りなんば駅へ。松竹座での<7月大歌舞伎>を、途中からでしたが拝見させて頂きました。
音羽屋(菊五郎)さんの『黒手組助六』の後半と、『羽衣』『団子売』の上下。『黒手組』の大詰めの立廻りは、先年歌舞伎座での上演とはガラリと趣きを変え、曲輪の屋根上から浅草寺二天門の普請場(原作は六角堂)に。浴衣に喧嘩冠りの若い者が傘を得物に華やかな立廻りを見せていました(途中にご当地ならではの趣向も入っていました)。大阪のお客様もヤンヤの歓声。
久々に大阪にご出演なさっている、加賀屋(魁春)さんにも楽屋で御挨拶できました。

そのまま松竹座メンバーと夕食。大いに食べ大いに飲み大いに喋ってご機嫌でホテルへ帰りバタンキュー。
久しぶりに歩いた道頓堀は、ずいぶん様変わりしておりました。なんだかどんどんケバケバしくなっている気がするナ…。

(7月24日 記)


梅之旅日記’08 ここが噂の… 

2008年07月21日 | 芝居
岐阜県可児市【可児市文化創造センター】での1回公演でした。

この地へは初めてお邪魔しましたが、昨日、当地のウナギ屋さんから160匹30万円相当のウナギちゃんが生きたまま盗まれたという事件が起きたばっかり。ある意味タイムリー(?)な訪問。
そして数年前には、某狂言師がダブルブッキングのため、報道陣が群がるこの会館からタクシーとヘリコプターを駆使して東京へ舞い戻ったという珍事があった、ある意味話題(?)の現場。
のどかな風景の中にドンとそびえる、そこだけ現代的な建物。巡業ではこういう風景をよく見ます。

近くのうどん屋<味良>で、コシのある美味しい“ころうどん”を頂いたぐらいで、数時間の滞在で終わってしまったのは残念でした。冷たい麺に、すでにかけ汁がかかって出てくる状態のことを“ころ”というのは、愛知近辺だけなのですか?



梅之旅日記’08 アァ、暑い!

2008年07月20日 | 芝居
愛知県西尾市【西尾市文化会館 大ホール】での2回公演。
初めてうかがう会館でしたが、なんでもここでの歌舞伎公演は実に25年ぶり、2回目なんだそうです。久しぶりにやってきた歌舞伎ということでしょうか、昼夜ともお客様の入りがよくて嬉しくなりました。

しかしまあ、今日の暑さは凄かった! うだるような、とはまさにこのこと。
空調の関係で、楽屋廊下に外気がどんどん入ってくるので、舞台に行く前に汗をかいちゃう…。
ケータリングでは、冷たい飲み物、差し入れで頂いたスイカがどんどんなくなってゆきました。

澤瀉屋(亀治郎)さん率いる<公文協東コース>の皆さんも、本日は春日井市で公演があって、泊まりが同じホテル。ということで、同期の市川段一郎さんと久しぶりに食事。お互いの旅の話で盛り上がりましたよ~。
なんでも春日井の会館では、あまりの暑さに楽屋と客席の冷房がフル稼働した結果、2度も楽屋で停電したのだとか。
おそるべし、愛知の夏!

梅之旅日記’08 身延探訪

2008年07月19日 | 芝居
今日中に甲府から名古屋へ移動すればよいという<移動日>でしたので、身延山久遠寺に詣でることにいたしました。
朝5時半に起きてホテルを発ち、6時27分甲府発の<ワイドビューふじかわ>に乗って50分で身延駅着。駅前からバスで10数分で身延山駅、ここから徒歩で参詣です。
立派な三門をくぐると、杉木立の中の参道に入りますが、まだ7時過ぎということで、人もほとんど通らず、鳥の声のほかは風が枝葉を過ぎ行く音くらいの静かな世界。うっすら湿り気をおびた朝の空気を思い切り吸い込んで、樹々や岩肌の気を感じながら歩いてゆくうちに、徐々に心が研ぎすまされてまいります。日の光や水の流れ、目や耳で味わう自然の美しさ。



菩提梯(ぼだいてい)は、本堂へ至る最短通路ですが、おそらく現代の建築基準法なら絶対認可されないような超急勾配と段高の石段(287段)で、さすがに汗がにじみました。振り返ると怖くなっちゃうくらいですが、木立の中の石段を上りきると、朝日に照り映える白砂がまばゆい境内が一気に目の前に飛び込んで参ります。日蓮宗の総本山としての偉容を誇る本堂は黒を基調とした造りで、その対比がなんとも美しく…。


参拝の後は本堂裏手にある<久遠寺駅>からロープーウェイで身延山山頂へ参ります。歩いたら2時間半かかるそうですが、この時期蜂もマムシも熊も恐いですからね。眼下の景色を眺めながら7分で楽々行けちゃうのがお手軽。途中カモシカに遭遇しましたよ。


山頂からの眺めの素晴らしさはちょっとこの写真では伝えきれませんが、南、北それぞれにある展望台から望む山々と大空。うわ~、心がノビノビ解き放たれる~。
しばし時を忘れてボーッと、といきたかったのですが、怖い怖いハチさんが飛び回っていたので、短時間で切り上げざるを得なかったのが残念! でもホントに気持ちよかった~。

日蓮様が安房の国の両親を慕って日々登ったという事跡をしのんで建てられた<奥之院 思親閣>に参拝してから、<山の食堂>で山菜そばで朝食をとり(ここまで空腹で挑んでました)下山。次に向うのは日蓮様のご廟所と草庵跡です。三門脇の道を入ってゆくと身延川沿いにございますが、青葉もみじの鮮やかな緑が美しい参道を辿りますと、ポッカリ開けたところに、静かに、厳かに、立派な石塔がまつられております。今日この地を訪れることができた<ご縁>に感謝し、巡業の無事もお願いいたしました。(畏れ多いので写真はナシ)

鞍馬山をめぐった時も感じましたが、信仰の地をゆっくり自分のペースで歩いておりますと、なんだか周りのあらゆるものからエネルギーというのでしょうか、パワーみたいなものをもらったり、逆に自分の中のイヤなものがスーッと消えてゆくような感覚をおぼえます。



ここまでまわって時間はまだ午前11時。いや~早起きっていいもんですね。日差しも強くなる前にめぐり終えることができました。ふたたび<ワイドビューふじかわ>で静岡、それから<ひかり>で名古屋入り。本日梅雨明けだとか。

煩悩ばかりの私ですが、こうしてときには身を清めておりマス。


梅之旅日記’08 嬉しい出来事

2008年07月18日 | 芝居
【山梨県立県民文化ホール】での2回公演でした。
巡業よりも、国立劇場の<歌舞伎鑑賞教室>の移動公演でよくお邪魔する会館です。広くて使いやすい楽屋、立派な舞台機構です。

今日の公演で、『毛谷村』の<弥三松>役のお子さんが交代。今日東京からやってきた後半担当の子は、初日以来勤めてきた子が最後に勤める昼の部の舞台を見て勘を取り戻し、段取りを確認してから夜の部に出演。舞台稽古はやったとはいえ、それは18日も前のことで、それがよくまあいきなり完璧に演じることができるものだと、大人の役者は感心しきり。普通コワくてできませんよ…。

とっても嬉しいことがありました。今日18日は私の、そして明日19日は兄弟子の梅蔵さんの誕生日なんですが、昼の部終演後のあき時間に、みんなでお祝いをしてくれたんです。「うめぞうさん&うめこ(←私のあだ名ね)さんおめでとう」のプレート付きのバースデイケーキまでご用意して下さって…。こっちは全然知らなかったものですから、梅蔵さんと二人で照れくさいやら恥ずかしいやらでしたが、皆様のお心遣いに、有難い気持ちでいっぱいでした!
夜は高砂屋の弟子3人で駅前の居酒屋で再び小宴。梅秋も先日誕生日でしたから、偶然とはいえ弟子全員が7月生まれ…と書きかけて、そうだ部屋子の梅丸は9月だった。
師匠は8月、一門のバースデイは夏から秋にかけて集中しているのです。

28歳となりますが、まだまだアマちゃんなので、早く大人になれるよう精進いたします。

…朝、近所のコインランドリーで洗濯ものが回っている間に、武田神社に行ってきました。思ったよりこじんまりとした神社でした。御手洗処も武田にちなんでこのように…。

梅之旅日記’08 甲斐路へ…

2008年07月17日 | 芝居
一昨日に名古屋入り、そして昨日は岐阜長柄での公演。こちらはまた追記ということにさせて頂きまして…。

本日は甲府への<移動日>。名古屋から<しなの>で塩尻、そして<スーパーあずさ>で甲府へ。昼過ぎに到着し、あとは自由行動ですので、ホテルにチェックインしてから再び電車に乗って、勝沼のワイナリーに行ってきました。
本当だったら何軒もあるワイナリーを巡れば楽しかったのでしょうが、営業時間の関係もあり、<蒼龍葡萄酒株式会社>に絞りました。この地のワインメーカーとしては草分けてきな工場なのだそうです。
施設の見学も可能でして、飛び込みでお願いしましたのにもかかわらず、醸造部スタッフの鈴木さんが懇切丁寧に各セクションの解説をして下さり、とっても面白かったです!

ワインはただ飲むだけでなんの知識も持っていない私ですが、こちらの質問にも詳しく易しくお答え下さり、明後日から本年度の仕込み開始というお忙しい時期でしたのに、たっぷり時間をかけて教えて下さり、大変恐縮いたしましたが、お話のそこここに、ご自身のワインへの愛情、仕事に対する誇りがうかがわれ、ひとつのものにとことん体を張って取り組んでいらっしゃるお姿はすごくカッコよかった! 製品が出来上がるまでにかかる手間暇、よりよい味わいに仕上げるための気のつかわれ方を、こうして改めて知りますと、今までずいぶん気軽にワインを楽しんじゃってたな~なんて考えたりもいたしましたが、まさに職人さんの手で造られた甲州ワイン、これからはどんどん味わうことにいたします。
各商品の試飲もバッチリさせて頂き、お土産に白とスパークリングを買いました。このスパークリングは、今日説明してくださった鈴木さんが仕込んだもの。この工場で初めて造るスパークリングとのこと。さていつ栓を開けましょう?

<勝沼ぶどう郷>駅でしばらく帰りの電車の待合わせ。静かな静かな夕暮れの町でぼんやりしていると、何にもしない時間がすごく幸せに思え、最近の自分の生活を振り返ったりも…。


甲府に戻ってからは衣裳さん達と駅前のホウトウ屋<ちよだ>さんで楽しく食事。釜揚げみたいに頂く"湯盛り"なんてのもあるんですね。私はごくオーソドックスなものを。赤味噌ベースの甘辛い汁が美味しいこと! 一品ものでお酒も呑み、みんなそれぞれ一人前ずつホウトウも頂いたのに、ふと厨房から漂ってきた匂いに惹かれて"評判のカレー"まで頼んでしまった一行の平均年齢は25.5歳(くらい)でまだまだ食べ盛り? 最後はボーリングで盛り上がってるんですから、遊び盛りは間違いないようで…。
今日はお休みなんで、いいですよ、ね?

梅之旅日記’08 綺麗で驚いた!

2008年07月14日 | 芝居
新潟のホテルから貸し切りバスで3時間かけて山形県酒田市【酒田市民会館 希望ホール】へ。
6時からの1回公演でした。

酒田市民会館と申しますと、私の記憶では“超”狭い劇場というイメージばかりで、1階しかない楽屋は幹部俳優さんが皆様相部屋だったり、私ども名題下は、部屋というより通路の一角という思い出(それがいかにも旅らしい雰囲気だったのですが)がありました。
ところが本日訪れてみますと、個室は沢山、2階も使えるようになり、シャワー室もできて内装もとってもお洒落、使いやすくて居心地の良い楽屋に生まれ変わっておりました。
舞台もロビーもすっかり近代的な雰囲気に。聞けば4年ほど前にすっかり建て替えたのだそうでして、まさに<生まれ変わった>という感じ。ケータリングサービスの差し入れも、美味しいお漬け物や和菓子、果物がてんこもりで、ここで1回公演とはもったいないという声があちこちで。
劇場もだんだん変わってゆくものですね。そういう移り変わりを楽しめるのも巡業の面白いところです。

今日はこのまま酒田泊。終演後は衣裳さんたちとホテル近くの味噌ラーメン<らーめん 哲>へ。久しぶりにラーメンを食べましたが、タクシーの運転手さんが勧めてくれただけあって、なかなかおいしくてボリュームもたっぷり。長唄さんや清元さん、大道具さん小道具さんもあとからあとから来店して、気がつけば国立劇場の楽屋食堂のような景色…。

今日は<中日>でございました。やっと折り返し地点。残り半分も元気に乗り切りたいものです!

梅之旅日記’08 ぽっぽ ぽっぽ…

2008年07月13日 | 芝居
直江津で感動の魚尽くしを味わった翌日、12日は【上越文化会館】での2回公演。
ずいぶん巡業に出た私ですが、この会館は初めて。先輩方も同様でしたから、この地での歌舞伎公演はそれほど多くはないのかもしれませんね。楽屋も舞台もとても使いやすい劇場。あの「魚苑 にんじん」に再びお邪魔するためにも、これからはどんどん直江津公演を増やして欲しい…というのはまさに本末転倒でして…。

終演後は貸し切りバスで約2時間かけて新潟入り。
明けて本日は【新潟県民会館】での2回公演。こちらは度々お邪魔しているところです。
今日はたまたま、会館すぐ隣の白山神社のご祭礼日で、出店が並び大勢の人手。本日の昼食が、屋台の焼きそばやお好み焼きだったという人は結構いらっしゃいました。
私も昼公演がおわってから足を運び、本殿に参拝してから出店をひやかしお好み焼きで昼ご飯。初めて目にした<ぽっぽ焼き>なる焼き菓子を楽屋のお土産に帰りましたが、黒糖の味がどこか懐かしい、もちもちの焼き菓子でございまして、ひと袋30本(これで1,000円)をケータリングサービスのところに置いておいたら、あっというまになくなりました。
なんで「ぽっぽ」っていうのでしょう? ご存知の方はお教え願います。

…境内の池の蓮がちょうど開花時期のようでした。朝見に行ったら綺麗に咲いたのを見られるのでしょうが…。

今日も新潟泊。明日は3時間半のバス移動で山形へ入りますが、体力がもつでしょうか。