梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

御名残三月稽古場日記・3

2010年02月28日 | 芝居
『白浪五人男』『女暫』が<総ざらい>、『菅原伝授 筆法伝授』は<初日通り舞台稽古>でした。

『白浪五人男』、師匠の赤星十三郎、今日は拝見できました。
「勢揃い」の場は、世話狂言ながらとっても様式的ですし、鳴物も賑やか、もちろん5人のツラネも名台詞ときていますから、拝見していても心浮き立つものがございました。
…私にとって『白浪五人男』は、師匠が鳶頭をお勤めになったときくらいしか関係したことがございませんので、今回しっかりと勉強したいと思います。

『筆法伝授』師匠の源蔵の仕事は、まずまず無事にというところでしょうか。まだいまいち自分のなかでこのお芝居の流れを掴みかねているところがあったので、初日までにはきちんと整理したいと思います。
派手なところはない、“渋い”お芝居だとは思いますが、肚とか性根とか、そういうものでみせる一幕に携わることで、きっと得るものがあると思っております。


御名残三月稽古場日記・2

2010年02月27日 | 芝居
昼過ぎから『白浪五人男』『女暫』『菅原伝授 加茂堤』の<附立>、『菅原伝授 筆法伝授』は<総ざらい>でした。

稽古の前に、いつもお世話になっております整体の『銀座 マナ』に伺いまして、腰を中心に施術して頂きました。今月は正座の時間が長く、背中~腰にかけては負担が増すと思いましたので、その対策というカンジです。

…『加茂堤』、師匠の桜丸は一昨年の博多座以来です。前回は「牛の鳴き声」をどうするか、初日近辺まで手探りでしたが、その経験を活かしての今回は、稽古からバッチリ◎です。
3部に分けて『菅原伝授』を上演するという趣向とはいえ、第1部では『加茂堤』だけということで、こういうことはおそらく初めてなのではないでしょうか? 第2部『筆法伝授』での、菅原道真失脚の原因となった事件を描く“発端”的な幕ですが、おおらかな雰囲気、桜丸の立廻りや八重のまめまめしい働きぶりなど、どうかお楽しみ頂ければと存じます。

『白浪五人男』、今日の稽古は残念ながら他の用事をすまさねばならなかったので、ろくろく拝見できませんでした。師匠の赤星十三郎は研修生のときの公演見学以来(平成8年5月歌舞伎座)なので、早く拝見した~い!


御名残三月稽古場日記・1

2010年02月26日 | 芝居
気持ちをスッパリ切り替えて、早速『御名残三月大歌舞伎』のお稽古です。
『菅原伝授手習鑑 筆法伝授』『女暫』の<附立>でした。

『筆法伝授』の武部源蔵は、師匠にとっては初役でございます。私は「門外の場」で警護の侍をさせて頂いたことがございますが、そのときの記憶も薄ぼんやり(情けないですネ…)、改めて勉強するつもりでおります。

『女暫』では太刀下の<腰元>を勤めさせて頂きます。十八番の『暫』でも、同じ役をさせて頂きました。段取りは全く変わりませんので勝手は呑込んでおりますが、正座で痺れないように気をつけないといけません…。
ちなみに今回4人出る腰元役は、先月『ぢいさんばあさん』のるん付きの腰元と、全く同じ顔ぶれでございます。集団転職したのでしょうか?

…夜は国立劇場で、本年の『合同公演』の第1回目の会議でした。
参加希望者が出そろいましたので、演目案や公演形態についての、具体的な話し合いが早速始まったのでございます。
サァどうなりますやら!? 皆の力を合わせて頑張ります!

濃い時間でした

2010年02月25日 | 芝居
歌舞伎座さよなら公演『十七代目中村勘三郎追善 二月大歌舞伎』、無事に千秋楽を迎えることができました。

『ぢいさんばあさん』の、お褒め上を渡す腰元、『籠釣瓶』の八ッ橋付き振袖新造のシン、なんとか勤めおおせることができまして、ホッとしております。
腰元のほうは、日を追うごとに落ち着いて、丁寧にできるようになったかなと思います。「こんなんじゃだめだよなぁ」と思うこと多々の初日近辺でした。ダメなところは、自分の意思で変えなければ変わりません。でもその変えることに不安や緊張を抱いてしまいがちです。それを振り切る勇気(オーバーかな)、強い気持ちをもって取り組んでいかないと、なんのために25回のチャンスがあるかわかりません。そういう意味で、ひところより少し(ほんの少しですけど)度胸がついてきたかな、という気がしないでもありませんが、自分のことは自分ではわかりませんね…。

『籠釣瓶』の新造、まだまだ「縁切り」の場に出るのは早いよな~というのが正直な気持ちです。
こちらは先ほど申したことと真逆になるかもしれませんが、頭では処理できないこと、雰囲気とか風情とかが本当に大事なのだと痛切に思いました。もっともっといろんなお役を経験して、そういうものが体に染み込んだら、もう一度勉強させて頂きたいです!
とはいえ中村屋(勘三郎)さんの次郎左衛門と大和屋(玉三郎)さんの八ッ橋のお芝居を、間近で拝見できる、感じることができるという、役得以外の何ものでもないような有り難い毎日でした。本当に感謝!

…毎日毎日大勢様のご来場で、熱気あふれるひと月でございました。本日の『籠釣瓶』には、総ざらいの日に体調を崩され、ながらく休演されていた小山三さんがご復帰なされ、あたり役と申しても過言ではない女中お咲をお勤めになりました。1回だけの出演だけとなってしまいましたが、本当に良かったと思っておりますし、そのお舞台に立ち会えたこと、演技を拝見できましたことをありがたく思っております。

1日歌舞伎座におりましたけど、思ったより早くすぎて行った如月興行でした。
ひきつづき『御名残三月大歌舞伎』に出演いたしますが、さあ「去る三月」はいかがあいなりますでしょうか?

ご報告三つ

2010年02月23日 | 芝居
先々週から始まりました<伝統歌舞伎保存会>の「既成者研修」が今日で全4回のお稽古を終えました。
中村光江師、中村福賀師によります『角兵衛と女太夫』、もっともっとお稽古したい! 教わりたい! という気持ちですが、お忙しいなか歌舞伎座までお出まし下さり、色々なことを教えて下さいました。心より御礼申し上げます。
…女太夫(鳥追い)の、手ぬぐいを使ってのシヌキ(ソロパート)は、テンポの良い楽しい曲調ですが、3年前の勉強会で演じさせて頂いた『乗合船』の鳥追いは、このくだりを流用したものです。『乗合船』は藤間の御宗家のご指導でしたから、曲は同じでも振りは当然変わります。今回のお稽古では、その違いがわかったという意味でも、大変勉強になりました。

夜は歌舞伎座楽屋口から20歩(くらい?)のところに最近できました『cafe.ainsoph(カフェ アインソフ)』に初めてお邪魔しまして食事。
お肉、魚、乳製品を使わない、オーガニックフードのお店なのですが、全然物足りなさは感じません! むしろお野菜本来の味わい、優しい味付けを楽しめて、本当に美味しかったです~。「野菜スープ」「季節野菜のグリル」「玄米もちとジャガイモ、エリンギの甘辛」など頂きましたが、大満足でした。苺のソルベもおいしいです。
ランチもやっておりそうですから、今度またお邪魔します。

来月の稽古割りも届き、いよいよ歌舞伎座とのさよならが近づいて参りました。
3、4月は『御名残』と銘打たれた3部制興行。師匠は3月は第1部『加茂堤』で桜丸、第2部『筆法伝授』で武部源蔵と、『菅原伝授手習鑑』から2役をお勤めになり、『白浪五人男』では14年ぶりの赤星十三郎をお勤めになります。
4月は『熊谷陣屋』で源義経。です。

さしあたって来月の私は、第1部『女暫』の腰元を勤めさせて頂きます。
去年は『暫』でも同じ役をさせて頂きました。このところ正座するお役が続いておりますが、お陰様で体重は増加しておりませんので、来月もきっと乗り切ることができる“はず”です。

座り方

2010年02月22日 | 芝居
立役の諸役の、舞台上での“控え方”には、<立ち身><正座><蹲踞(そんきょ)><片ひざ><あぐら>などいろいろございますが、『俊寛』の供侍は<片ひざ>です。文字通り、つま先と、左右どちらかの膝を地面につけて体をささえます。
どちらの膝を地につけるかには、いちおうのルールがございます。
「目上の人に近い方の膝を地につける」のです。

自分から見て、右側にエラい人(主君ですとか上使ですとか)がいれば右膝を、左側にいたら左膝というわけです。
この決まりごとにのっとることで、居並ぶ人たちの形がバラバラになることもなく、見た目も綺麗になるのですね。
ただ、この姿勢は長時間続くとかなり足に負担がかかります。そういうときは、芝居進行の途中で逆足に組み替えることをいたしますが、これもキッカケを決めて全員一緒に行うのが約束。“絵面”を大事にするのは歌舞伎の原則ですね。
…やはり『俊寛』で、船から地面へ桟橋を渡す船頭が2人おりまして、丹左衛門や瀬尾たちの、何度かある船の乗り降りのさいには桟橋の両脇に片ひざで控えます。そのときも、船から降りるときと船へ乗るときとで足の組み方は変えているのですよ。


同じようなルールは、<あぐら>にもあります。桟橋係以外の船頭は、船の下手側にあぐらで控えておりますね。
基本的に「目上の人に近い方の足が前になるように組む」のです。

いちおうの約束とはなっておりますが、じゃあ自分の正面にエラい人がいたらどうするの? ということもあるわけで、時と場合によって変わることもございますが、いずれにしましても、皆が“揃える”ことで、舞台面の印象を整えることに変わりはございません。

…女方はほとんど<正座>ですね。立役に籍を置いていた頃は、蹲踞や片ひざが大の苦手、あぐらもお尻から下が全部痺れていた私ですが、その頃にくらべれば、今はずいぶんラクかもしれません(痛いときもあるけれど)…。


お引っ越し

2010年02月21日 | 芝居
パソコンを買い替えました。
『iBook G4』(上)から『MacBook Pro』(下)へ。10年前に初めてパソコンを手にして以来、3代目です。
SDカードを直接読み込めるのが便利ですね。黒いキーボードにはまだ慣れませんが…。

これからデータを移動します。
どれくらいかかりますかね?

あら有難や尊やの

2010年02月20日 | 芝居
夜の部の『壺坂霊験記』は久しぶりの上演ですが、幼い頃の疱瘡で目を患った沢市が、観音様の功徳で治癒するというまさに<霊験>譚でございます。加賀屋(松江)さんのご子息玉太郎さんが観世音菩薩をお勤めになっておりますが、そういえば芝居で神仏そのものがお出ましになる演目というのはどんなものがあるかしら…とつらつら思った次第。

最近では『雷神不動北山櫻』で成田屋(海老蔵)さんがお勤めになった<不動明王>でしょうか。お不動様は『法懸掛松成田利剣』でも出てきますね。
山城屋(坂田藤十郎)さんの七変化『慣ちょっと七化』の最後は<鍾馗>様です。カラミが赤鬼、青鬼というのがユーモラス(私も1度出させて頂きました)。
外見が似ている(?)<閻魔>様は『三世相錦繍文章』(お園六三郎)の「堕地獄の段」に。

舞踊『小鍛冶』は<稲荷明神>。
『時雨西行』は<普賢菩薩>ですが、外見上は遊女江口の君のままですからカウントしてよいのかしら…?
…そういえば今年の国立劇場初春公演では、<千手観音>が光臨なさったとか。お賽銭が投げ込まれた日もあったということですが、どうかご利益がありますように…!

とりとめのない文章、お許しのほどを。






『籠釣瓶』の灯り

2010年02月19日 | 芝居
4幕7場、2時間ちかい上演時間という、世話物の長編『籠釣瓶』には、いろんな“灯り”が出てきますので。ちょっとご紹介いたします。

まずは序幕「仲之町見染め」から。なんといっても八ッ橋の道中で目を引くのがこの<大箱提灯>です。


正面には花魁の名前、両脇には演じる役者の紋を描くのが通例です。
大きさが大きさだけに、なかなか重たいのです。

それにくらべると、道中の先導役、金棒引が持つ<台張提灯>はかわいらしく見えますね。


白木の枠に嵌っているのが特徴。「仲之町」の文字のまわりには、吉原つなぎという模様を描いています。
「大箱提灯」は自分の前に持ちますが、「台張提灯」は持ち手を腰にあてるようにしますから、後ろになります。
子役でも扱えるくらいの、適度な軽さです。

…提灯の次は行灯とまいりましょう。
こちらは栄之丞が八ッ橋に、身請けを断るように迫る「廻し部屋」に置かれている<朱塗りの瓜型行灯>。


廓には、やはり色気のある朱色が似合います。
続く「縁切り」では、四角くなった<朱塗りの遠州行灯>に。


これが黒塗りになったものが、「浪宅」の場、栄之丞の住まいで使われております。

…八ッ橋殺しの「立花屋二階」で、妖刀籠釣瓶を照らす<真鍮の燭台>も、芝居を盛り上げる大事な小道具。ゆらめく炎も芝居をしているようです。やっぱりここは“本火”でなくちゃあいけませんね。消防法にのっとったうえで使用するのはこの場だけ、「縁切り」で飾っているのは、赤く塗った綿で火を表現した拵えものです。

『ぢいさんばあさん』

2010年02月17日 | 芝居
3日間のご無沙汰でした(玉置宏さんも鬼籍に入られましたが)。先輩、仲間と食事をご一緒することが続きまして、更新が滞ってしまいました。
今朝は近所の税務署に確定申告の提出をしてまいりました(e-taxは未経験)。いつも記入に漏れがないかドキドキしながらチェックを受けるのですが、無事にすんでひと安心です…。

さて、本日は『ぢいさんばあさん』のことを書いてみたいと思います。

松嶋屋(仁左衛門さん)の伊織、大和屋(玉三郎)さんのるんというお顔合わせは、記録を見ますと当月で4演めとのことですが、その第1回め、平成6年3月歌舞伎座の上演が、私が初めてこの演目を拝見したときなのでございます。
もう16年前なのですね。中学校1年生でした。
なにしろ後半、老いた二人の再会には本当に感動いたしましたが、最初に伊織が戻って参りまして、「わしの家…わしの桜…!」と、ひとり喜ぶくだりには、思わず知らず泣いてしまいました。私はそのころ3階席か4階一幕見で拝見するのがもっぱらで、その月も歌舞伎座の真上から双眼鏡で観ていたわけですが、その双眼鏡の覗き口に、涙が溜まってきまして…。
周りの人に、泣いてるのがバレたらやだな~なんて思うのですが、なかなか感情は抑制できませんでね…。

二人が抱き合って桜がはらはらと散る中、静かに緞帳が降り、やがて客席が明るくなりました。
そのとき、隣に座っていらした見ず知らずの女性の方が、私の方を向いて、
『本当に、よいお芝居でしたね』って…。
その言葉に、またまたジンときてしまったのでした。

そんな思い出もあるこの演目に、今自分が出させて頂いているということ。
先月の『娘道成寺』と同じく、この仕事を続けてきて本当によかった! と思うのです。
そして、もっともっと腰元役をしっかりせねば! という気持ち!

逃げる二月も二分の一に

2010年02月13日 | 芝居
本日<中日>。
1月に引き続き、当月も毎日があっという間に過ぎているように感じております。気がつけば折り返し地点ですが、おかげさまで『ぢいさんばあさん』『籠釣瓶』での自分のお役も、だんだんと体に馴染んで参りました。

…『ぢいさんばあさん』の腰元は、初日近辺などはコメント欄にもお便りを頂きましたように、緊張のせいでまばたきばかりしてしまいましたが、さすがに今はそういうことはなくなっておりますのでご安心くださいませ。腰元という職業(?)は、主人の用事をするのが<当たり前>なわけですから、こんなことをいってはなんですが、お褒め状を渡すことくらいはきっとなんでもないハズなのです。それを演じる私自身が緊張してしまい、しかもモロにあらわれてしてしまったというのが情けないことでして、役になりきりていないということに反省しきりでございます。大和屋(玉三郎)さん演じる<るん>とは、常から一緒に働いていたのだから、ごく自然に、なんでもない日常のお勤めのひとつ(もちろん立ち居振る舞いには行儀、品というものは絶対になくてはなりませんが)としてこなせるようになることを、千龝楽までの課題として、今後も努力して参りますが、努力が努力と見えてはいけないというのも、大きなハードルでございますネ。

このお役が終わりますと、次の出番『籠釣瓶』の化粧を開始するまで1時間45分の空き時間がございます。外出した日もございましたが、最近は寒い日が続いておりますので、うっかり風邪を引いてしまうのもいやですので、楽屋で過ごしております。
化粧用の紅や墨を作ったり、着肉をチクチク縫ったり、仲間としゃべったりしていると、案外すぐに時間が経ちますね。
歌舞伎座解体にあたっての荷物整理もしなくてはいけません。せっかくのフリータイム、有意義に過ごしたいものです!

有り難い限りです

2010年02月12日 | 芝居
今日から「伝統歌舞伎保存会」主催の<既成者研修>が始まりました。
隔日で4回。この度の教科は舞踊。中村流の中村光江師、中村福賀師に『角兵衛と女太夫』をご教授いただきます。
先月当月と、自分の出番の都合で藤間の御宗家のお稽古には伺えずにおりまして、悔しい思いをしておりましたが、久々に体を動かすことができて本当に嬉しい! 自分にとっての“お稽古初め”は本日でございました…。

20名を超す参加者で稽古場は熱気ムンムンです! 立役と女形でペアになってお稽古ですが、私は松嶋屋(我當)さんご一門の片岡千次郎さんと一緒です。
普段の公演はさておいて、「上方歌舞伎会」メンバーとは、なかなか一緒に踊ったり芝居したりできませんから、今回はとっても新鮮な気持ち。みんながどんなふうに踊ったり芝居するのかわかるというのも、既成者研修の有り難いところです。

千次郎さんと私とは1歳違い。
同世代で頑張ります!

昨日の記事へのコメントについて

2010年02月12日 | 芝居
昨日更新の記事へのコメントで、ご自身が関係しているとおぼしき演劇公演を宣伝するような投稿ををなさった方がいらっしゃいました。

私も、これまでこの場をお借りして、いくつかの舞台公演の情報をご案内してまいりましたが、私自身が出演しているか、私と直接面識のある人たちがお出になる・企画する公演のみに限っておりました。また、今後もその方針でゆこうと考えております。

このブログはご覧いただく皆様のお陰で成り立っているわけですし、広く大勢の方々のために開かれた場所でありたいと願っておりますが、私が全く存じない方による宣伝ということ、また、メール等での事前の問い合わせ、承諾の申請もなかったということに対しましては、私としては納得しかねるものでございました。また、今後同様な投稿が続きますと、収拾がつかなくなる可能性も考えられました。投稿者には誠に申し訳ございませんが、コメントは削除させて頂きました。
公演内容そのものを否定するものでは全くありません。あくまで『梅之芝居日記』のあり方を考えた上での処置でございます。ご了承いただきたいと存じます。

…今後このような投稿があった場合も、同様の処置をとらせて頂きます。
なにとぞご理解いただきたく存じます。

当ブログに関するお問い合わせ、ご意見は

takasagoumeyuki@hotmail.co.jp

までお願いいたします。


寄せては返す人の波

2010年02月11日 | 芝居
歌舞伎座の<名題下部屋>は、30余畳のスペースがございますが、ここで過ごす人数は、公演ごとの座組によりまして変動いたします。
2010年最初の初春興行では35人だったんですが、当月は67人! ほぼ倍です。
よくまあ収まっているものだと思いますが、今月は、いちばん人を使う演目が『籠釣瓶』、しかも序幕の「道中」しかないので助かっているのです。

私が楽屋入りをしますのが、昼の部序幕『爪王』開幕30分前。この頃はまだ10人くらいしかおりません。
それが、次の『俊寛』が開く少し前になると20人くらいになり(船頭役で多数出演しますので)、幹部俳優さんが大勢お出になる『口上』を前になるともう少し増えてくる。
それが『ぢいさんばあさん』が始まる頃になると再び少なくなり、夜の部序幕『壺阪霊験記』でグッと減ってしまいます(なにせ主演者以外お役がない演目ですからね)。
それが『高坏』の頃になるといよいよ『籠釣瓶』の準備がはじまり、とたんに混みだします!
振袖新造詰袖新造、太鼓持に若い者、それぞれが化粧をし、衣装を着、鬘をかぶり…。
役者のみならず、衣装さん床山さんも加わりますから楽屋の熱気も最高潮です。
サァ『籠釣瓶』が開きますと、「道中」がすんでしまえば、師匠が出ているお弟子さんが残るばかり、私が勤めを終える「縁切り」が幕になる頃には再び10人くらいの静かな楽屋となっております。

静かなほうが落ち着けるのか。
賑やかなほうが楽しめるのか。

楽屋はあくまで“職場”ですが、1日の大部分を過ごしますからね、気持ちよく生活したいものです!