今日は『輝虎配膳』の「舞台稽古」、『盟三五大切』、『教草吉原雀』の「総ざらい」でした。
『輝虎配膳』。長尾輝虎(後の謙信)と武田信玄との争いを描いた「時代物」でございます。武田方についている名軍師、山本勘介を、我が陣へ引き入れたい輝虎が、勘介の母である越路を館へ招待し、輝虎自ら接待の食事を給仕して(これが『輝虎配膳』の外題の由来です)もてなし、交渉しますが、この計略を潔しとしない越路はそのお膳をひっくり返して拒絶。それに激昂した輝虎が刀を抜いたところに、越路に同行してきた勘介の妻お勝の、必死の命乞いによって助かることとなり、無事帰参することになる、というあらすじです。
このお芝居、歌舞伎座では三十三年ぶりの上演だそうでございますが、今回長尾輝虎役を、師匠梅玉が勤めます。今日はこの舞台を、舞台裏から御紹介いたしたいと存じます。
お膳をひっくり返されて、それまで慇懃に接してきた輝虎の堪忍袋の緒が切れて、頭に頂く金烏帽子をかなぐり捨て、怒りのセリフをいいながら、着ている衣裳を上から順々に一枚一枚脱いでゆき(肌脱ぎ、と申します)、最後は太刀を抜いての大見得となるのですが、この「順々に衣裳を脱ぐ」というころ、この場面のために、普通よりニ枚も多く重ね着をいたします。そして一番上に着る<狩衣>も、しっかり着付なければなりませんので、普段の着付ならニ本使用すれば済む腰紐(衣裳の着崩れを防ぐために結ぶ細紐)を、今回は五本使用します。
また「金烏帽子をかなぐり捨て」る場面、それまでカツラに固定していた烏帽子を、後ろに控える「黒衣」の後見が、直前になって仕掛けの栓を抜くことでカツラから外れるようにし、輝虎の芝居に合わせて取り去ることで、かなぐり捨てたように見せます。
またこの輝虎は、戦国武将の強さを表すために、「ヒゲ」を生やした化粧をいたします。といっても、ヒゲを顔に描くのではなく、床山さんが用意した<付けヒゲ>をつけるのですが、これには付けヒゲ専用の接着剤を使って固定いたします。剥がすときも同様に、専用の化粧品を使っています。
…それから、小道具の<太刀>も、同じ型のものを二つ用意し、場面によって使い分けるのですが…。どこでどう使い分けているのか、これは皆様、どうぞ舞台をご覧になって、御確認下さいませ。
『輝虎配膳』。長尾輝虎(後の謙信)と武田信玄との争いを描いた「時代物」でございます。武田方についている名軍師、山本勘介を、我が陣へ引き入れたい輝虎が、勘介の母である越路を館へ招待し、輝虎自ら接待の食事を給仕して(これが『輝虎配膳』の外題の由来です)もてなし、交渉しますが、この計略を潔しとしない越路はそのお膳をひっくり返して拒絶。それに激昂した輝虎が刀を抜いたところに、越路に同行してきた勘介の妻お勝の、必死の命乞いによって助かることとなり、無事帰参することになる、というあらすじです。
このお芝居、歌舞伎座では三十三年ぶりの上演だそうでございますが、今回長尾輝虎役を、師匠梅玉が勤めます。今日はこの舞台を、舞台裏から御紹介いたしたいと存じます。
お膳をひっくり返されて、それまで慇懃に接してきた輝虎の堪忍袋の緒が切れて、頭に頂く金烏帽子をかなぐり捨て、怒りのセリフをいいながら、着ている衣裳を上から順々に一枚一枚脱いでゆき(肌脱ぎ、と申します)、最後は太刀を抜いての大見得となるのですが、この「順々に衣裳を脱ぐ」というころ、この場面のために、普通よりニ枚も多く重ね着をいたします。そして一番上に着る<狩衣>も、しっかり着付なければなりませんので、普段の着付ならニ本使用すれば済む腰紐(衣裳の着崩れを防ぐために結ぶ細紐)を、今回は五本使用します。
また「金烏帽子をかなぐり捨て」る場面、それまでカツラに固定していた烏帽子を、後ろに控える「黒衣」の後見が、直前になって仕掛けの栓を抜くことでカツラから外れるようにし、輝虎の芝居に合わせて取り去ることで、かなぐり捨てたように見せます。
またこの輝虎は、戦国武将の強さを表すために、「ヒゲ」を生やした化粧をいたします。といっても、ヒゲを顔に描くのではなく、床山さんが用意した<付けヒゲ>をつけるのですが、これには付けヒゲ専用の接着剤を使って固定いたします。剥がすときも同様に、専用の化粧品を使っています。
…それから、小道具の<太刀>も、同じ型のものを二つ用意し、場面によって使い分けるのですが…。どこでどう使い分けているのか、これは皆様、どうぞ舞台をご覧になって、御確認下さいませ。