梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

東北関東大震災

2011年03月29日 | 芝居
3月11日に発生いたしました<東北関東大震災>では、2週間以上たった今も、刻々と新たな被害が報告されております。
福島第1原子力発電所での事故も、片時も目が離せない深刻な状況でございます。

人の命、土地、資源、産業…。一瞬のうちに失われたもののあまりの多さに、言葉を失います。
復興を祈ることは簡単なこと。ではどうしたら、復興に携わることができるか? 遠い場所から力になるためにできることとは?
本当に難しいです。

          ◯

地震発生時は新橋演舞場の楽屋。当日の公演は中止、交通機関がマヒしているとのことで、自宅まで徒歩。1時間半かけて歩いた町々にあふれる人、人、人。
携帯はつながらず、家内や実家の両親への安否の連絡はメールのみ。時間差がもどかしい。
自宅マンションはエレベーターが停止。エントランスの一部壁面が崩落。我が家は資料部屋の本棚と、リビングの飾り棚が倒壊。散々な有様だったが、それだけで済んだことが不思議。

たびたびおこる余震とともに夜を明かし、翌12日の公演も休演。11日晩には、帰宅できなくなった俳優、スタッフが多数演舞場に泊まったとのこと。
片付けに明け暮れ。

13日から16日まで通常通り公演。当然ながら観客は極端に少ない。こういう状況で芝居を上演することに、いろいろ意見があったとのこと。けれども、大変な中でも足を運んで下さる方がいらっしゃったことには、ただただ感謝するのみ! 
電力不足の報道を受け、名題下楽屋では、自主的に、極力電気をつけないで過ごす。普段舞台モニターを映すテレビで、1日中ニュースを見る。たびたびの余震はかわらず。原発の事故深刻化。

計画停電に伴う鉄道ダイヤの混乱で、劇場に、定時に来られない俳優、スタッフが何人か。
近所のコンビニから、食料品がほとんどなくなる。
<緊急地震速報>の警告音に、たびたびゾッとする。

15日夜の静岡の震度6をはじめ、関東近辺での大きい余震が相次いだことを受け、劇場内設備の再点検が必要となり、17日、18日も休演に。
17日夕刻、「大規模停電のおそれあり」とて、再びダイヤ乱れ。余震も度々。

19日より26日千穐楽まで、通常通り公演。お客様は次第に増えてくる。客席やロビーでも節電始まる。我々もあいかわらず暗い楽屋(さすがに夜は点けましたが)。
原発問題がますます深刻となる報が相次ぐ。水の買い占め騒動にはほとほと情けなくなる。

          ◯

募金ですとか、物資の寄付とか、被災地のために今ここからできることは全てやるつもりです。
そして電力、資源の節約も!
これは国民全員の問題です。被災された方々に、心よりお見舞い申し上げますとともに、復興のために“自ら動く”ことを誓わせて頂きます。