梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

2008年を振り返って…

2008年12月31日 | 芝居
2008年もあとわずかですね。
私のこの1年を、振り返ってみます。

 1月 歌舞伎座  『猩々』裃後見/『助六』揚巻付き振袖新造
 2月 歌舞伎座  『忠臣蔵七段目』仲居/『鏡獅子』裃後見
 3月 歌舞伎座  『春の寿』「萬歳」着付後見/『吉田屋』仲居
    三津緒の会 『海士』着付後見
 4月 御園座   『源太勘当』腰元/『大川の隠居』長谷川家の女中/
          『閻魔と政頼』裃後見/『浮名横櫛』貝拾いの女
 5月 歌舞伎座  『青砥稿花紅彩画』「初瀬寺」腰元
 6月 博多座   『娘道成寺』所化/『髪結新三』通行の女
 7月 公文協巡業 『神田祭』着付後見
 8月 囃子の会  『鶴亀』着付後見
   《音の会》  『弁慶上使』義経の室卿の君
   《合同公演》 『勢獅子』芸者おひろ
 9月 公文協巡業 『勧進帳』裃後見
10月 国立劇場  『大老』井伊家上屋敷の侍女/下屋敷の侍女
11月 歌舞伎座  『吉田屋』仲居
    勘次の会  『山姥』後見
12月 歌舞伎座  『高時』侍女露芝/『籠釣瓶』九重付き振袖新造

<腰元率><仲居率>が高かったかな(吉田屋は2度も!)。こういうお役は女形の基本ともいっていいようなものですから、女形2年目の年に続けて勉強できたのは有難いことでしたが、基本なだけに難しかった~。とある先輩のお言葉「あるときは芝居して、あるときは背景に」の言葉の重み…。修行の道のりは遠く長いです!

『七段目』での<見立て初体験>、3月、11月の『吉田屋』での計50回の<病鉢巻き外し>も、深く心に残りました。お役ではありませんが、2月『青柳硯』で、蛙の仕掛けを一から考えたことも、苦労もありましたがよい思い出です。

後見も数多く勉強させて頂きました。
毎度申し上げることながら、やるたびに難しくなってくる、その怖さがわかってくる仕事です。先輩方のような、その場の空気、曲の流れと一体になっているような、そんな存在(いや、存在すら気がつかれないのが本物なんでしょうが…)に早くなりたいと思いますが、まずはもっともっと場数を踏んで、技術を磨いて度胸をつけて!
『勧進帳』富樫の後見が100回を越えたのが、今さらながら(そんなになるんだ…)と感慨がありました。

子役さんのお化粧を担当させて頂くことも多うございました。1月『助六』禿、5月『渡海屋』安徳帝、6月『髪結新三』『弁天小僧』の丁稚、9月『葛の葉』安倍の童子…。
その役<らしく>見えるように、眉、目張り、唇、顔の色みを、それぞれ変えてゆかねばなりませんのが、本当に勉強になります。可愛いお子さんたちから元気なエネルギーをもらえたのもウレしかったなァ。

…ともあれ今年も12ヶ月休まず舞台に立てた! 有難いことでございます。
ここには書かなかった数多くの反省点を忘れずに、来年はもっと高いところへ自分を持って行けるよう努力します。
あ、青汁はちゃんと続けてますからね。

それでは皆様、よいお年をお迎え下さい!

年端月稽古場便り・肆

2008年12月30日 | 芝居
『鏡獅子』の<初日通り舞台稽古>で、本年の仕事納め!
気持ちよく終わりたいものですが…。

昨日も舞台でお稽古でしたので、とまどうとか手こずるということはなかったのですが、二畳台の押し出しと移動におきまして、所定の位置に、<素早く><ズレずに>据えなければならないのがプレッシャーです。我ながら、位置感覚とか距離感がどうも鈍い! 素早い対応ができない! 
もっと冷静に広い視野で掴まないと…。とにかく新年第一の課題!!

ともあれ無事にお稽古も終わり、銀座で買い物をしてから帰宅。
喪中ですので新年のお祝いはできませんが、せめて2日間のお休みをのんびり楽しめるように、料理を数品造り置き。
あとは洗濯と掃除と片付けと…。


年端月稽古場便り・参

2008年12月29日 | 芝居
『鏡獅子』の<総ざらい>と、『俊寛』『祝初春式三番叟』『対面』の<初日通り舞台稽古>でした。

『鏡獅子』は舞台にて。中村屋(勘三郎)さんはお稽古着ですが、胡蝶のお二人は衣裳と鬘を着けて、本番の感覚を…。
昨日まではお稽古用の衣裳でしたのが、今日から本番用になり、これまでもじゅうぶん綺麗だったのが、さらに美しい色柄となったことに喜んでいる姿が微笑ましかったです。気合いもますます入ってまいりまして、歌舞伎座の大舞台に負けない元気な舞姿が頼もしいです!
対して私の後見、緊張もいたしましたが、まずは無事にというところでしょうか。二畳台の移動と車輪外しをもっと綺麗にこなさなくては! とは申せ、本年2月の『鏡獅子』にも、別な仕事内容とはいえ後見として携わらせて頂いた経験が、どんなに役に立っているかわかりません。曲や舞台面、振りの流れが体に“ある”おかげで、少しは落ち着いて仕事をすることができました。

『三番叟』、昨日考えた段取りと、実際の舞台面(とか居所)をみてからのプランを合わせてまずは挑戦。ごたつくこともなく済んで良かったですが、やってみた上での改善点も見えてきましたので、それは1月3日の初日で実行…って、アララ4日も間が開いちゃうの!? 今日のカンを忘れないようにしなければ!

…今日で師匠はじめ多くの方は仕事納め。「良いお年を」の言葉があちこちで交わされる楽屋内。
私はもう1日、『鏡獅子』<初日通り舞台稽古>が終わるまでは!
あと一息、頑張ろう!

年端月稽古場便り・貳

2008年12月28日 | 芝居
『俊寛』『対面』『三番叟』の<総ざらい>と、『鏡獅子』2回目の<附立>。
平行して楽屋作りも…。

『三番叟』、進行は昨日の稽古でわかりましたが、後見の段取りをどうしようかは今も考え中。少ない動きで用事をこなしたいので、脳内シュミレーションの繰り返し…。構成がこれまでの<三番叟もの>とは違うので、お手本がないのがキビシい! でも、こういうときこそ、他の踊りの後見で得た経験を活かさなければなんの意味もありませんね。ない知恵を一晩絞って、まずは明日、とにかくトライ!

『鏡獅子』は、お稽古後に本舞台で胡蝶のお二人の<居所あわせ>を。お互いの間隔はもとより、所作舞台の感覚や<獅子の座>二畳台の乗り心地など、よくわかったのではないかしら。ご存じの通り、二畳台は車輪がついていてゴロゴロと押し出されてくるのですが、踊りが始まるとその車輪を取り外して動かないようにいたします。この仕組みはこちらをご覧頂くといたしまして、初めてこの作業をするワタクシ、胡蝶のお稽古に便乗(?)して、試してみることができてよかったです。
それにしても、二畳台って重たいですナ…。

寒さが厳しくなってきました。寒がりの私は、生きるエネルギーが低下してゆくのをひしひしと感じています。
せめて胡蝶のお二人の元気さを、ひとかけらくらいはもらいたいものですヨ…。

年端月稽古場便り・壱

2008年12月27日 | 芝居
今日から歌舞伎座1月興行<初春大歌舞伎>のお稽古です。

『俊寛』『対面』『祝初春式三番叟』『鏡獅子』の<附立>でした。
『俊寛』も『対面』も、昨年携わったばかりの演目ですので、丹左衛門、鬼王の勝手は呑込んでおりますが、さて『三番叟』と『鏡獅子』は、そうも参りません。

この度の『三番叟』は、長唄の「式三番叟」を基調にして、後半をその他の三番叟ものからの抜き差しで構成するかたちになっております。今月の公演中にございましたお稽古には、出番の関係で伺えなかったものですから、段取りはお話で聞いただけという状態でのぞんだのですが、まずは全体の流れがわかってホッといたしました。大変な仕事はないですが、やはり祝儀ものの舞踊の中でも、三番叟といえば格式の高いものですので、舞台面にふさわしい後見になれるよう、気をつけたいと思います。

『鏡獅子』。今年2月の高麗屋(染五郎)さんのときも、裃後見を勉強させて頂きましたが、そのときも「まさか私がこの演目に携われるなんて…」という思いだったのですが、再びこうして、しかも胡蝶の後見として参加できますこと、本当に有難く思っております。
この演目のもつ、張りつめた、凛とした空気と、華やかな踊りが大好きです。この度は、この演目を大切になさってこられている中村屋(勘三郎)さんでの上演。おそばで拝見できますことがなにより嬉しいことでございます!

…お稽古は歌舞伎座ロビーにて行われましたが、正面玄関は正月公演用のディスプレイの真っ最中でした。一足早く新年が訪れているかのような場所でのお稽古も、なんとなく華やいだ雰囲気でした。

今年の舞台が終わりました

2008年12月26日 | 芝居
歌舞伎座師走興行<12月大歌舞伎>、無事千穐楽を迎えることができました。どうも有り難うございました。
お陰様で、風邪をひくこともなく『高時』の侍女と『籠釣瓶』の新造のふた役を勤めることができまして、ホッといたしております。

師匠が『高時』で見せた、天狗たちにひっくり返されたり放り上げられたり転がされたりの、これまでなさることがなかったような激しい動き。お怪我もなく終わってこれまた安堵の気持ちでいっぱい。
天狗役の皆様のお力のお陰です。天狗の演技は、なにしろ始終タックルジャンプみたいに飛び跳ねているのが大変なんだそうです。楽をしたら“烏天狗”じゃなくなってしまうんですって…。
立廻り、芝居、踊りと、様々な要素が詰まったこの天狗というお役、あらためて、とても重要な、大役であることを思いました。



…その『高時』で、安達の母渚をお勤めになっていた一門の大先輩、歌江さんが3日目から休演されるなど、残念なこともございましたが、平成20年最後の舞台がこれで終わりました。また後日、この場をお借りしまして今年を振り返りたいと思います。
明けて平成21年は、いよいよ『歌舞伎座さよなら公演』のスタートです。歌江さんも、『鏡獅子』の局吉野役でご復帰されるのが嬉しいです!
私は、昼の部『祝初春式三番叟』の<裃後見>と、『鏡獅子』胡蝶の<裃後見>を勤めさせて頂きます。『三番叟』は、チラシにも明記されております通り、加賀屋(松江)さんが師匠演じる三番叟の後見をお勤めになりますが、私はその補佐として働く“附け後見”です。また、『鏡獅子』では、松嶋屋(孝太郎)さんのご子息、千之助さんが胡蝶をお勤めになるのですが、お父上はじめ松嶋屋(仁左衛門)さんご一門はそろって大阪松竹座にご出演になるので、お手伝いをさせて頂くことになった次第です。

新年早々、勉強の機会をを頂戴したことに深く感謝しておりますが、だいぶ緊張もしております…。
休む間もなくお稽古がはじまります。本年最後の稽古場便りもどうぞよろしくお願いいたします。

「幕を切って落とす」の語源

2008年12月25日 | 芝居
『高時』の2場目、『佐倉義民伝』の4場目、そして『石切梶原』で行われる演出、幕の<振り落とし>。
舞台一面を覆う幕を、柝の音を合図にバラリと落として、その向こう側に用意されていた舞台装置や居並ぶ役々を一瞬でお客様に見せる手法です。

幕の上部に縄がついており、この縄を、<振り竹>と呼ばれる長い棹にある突起に引っ掛けておきまして、いざ落とす段には、<振り竹>についている綱を舞台上から引きますと、棹が半回転して突起から幕の縄が外れて落ちてゆくという仕組み。操作は大道具方が担当いたします。
1枚の幕で覆うこともあれば、2枚になっているものも。落ちた幕の撤収の仕方で、景色の見え方も変わってまいりますね。

一番ポピュラーなのが写真の<浅葱幕>。なんにもない空間、意味をもたせたくない状態を浅葱色で表した先人のセンスには脱帽です。
『高時』では、土塀に木立を描いた<道具幕>。塀だけだったら<網代幕>となります。他に夜の闇を表す<黒幕>や海辺の場面で使われる<浪幕>も使われます。

…いつぞやの『演劇界』の播磨屋(又五郎)さんの聞き書きで、「昔は<振り落とし>といったら、幕を完全に舞台上に落としてから取り去ったのが、今は落ちきる前に(幕の裏側にいる)大道具方が受け止めて引っ込めるようになった」という旨のお話が載っていました。
確かに、今の<振り落とし>には、常に数人の大道具方さんが幕の裏側で待機していらっしゃり、落ちてくる幕を見事に受け止め、スムースな撤収をしてくださっております。そして、<完全に落とす>というやり方は拝見したことがございません。

どういう経緯で、いつからそうなったのか?
『高時』第2場の開幕前、侍女として待機している私も、ついつい幕の裏側で考えてしまうのです…。

(2月に上演の『蘭平物狂』の奥庭の場では、鳴り物にあわせて<網代幕>を上手から徐々に落としてゆくやり方を見せます。これは大変古風な演目や演出でみられるやり方で、仕組みも通常の<振り落とし>とは違っております。ぜひ来春の舞台でお確かめを!)

お芝居ゆかりのお寺です

2008年12月24日 | 芝居
『高時』の舞台である、北条高時の館は、現在<宝戒寺>というお寺になっています。
鶴岡八幡宮三の鳥居の前の道を右に行った突き当たり。
新田義貞の鎌倉攻めによって北条家が滅ぼされてのち、一族の供養のため、建武2(1335)年、後醍醐天皇の命により建立されました。
というわけで、お寺の紋は北条家の<三つ鱗>なのです。

「鎌倉は我がふるさと」の私にとりまして、このお寺は一番大好きなお寺!
ご本尊“子育経読地蔵”の柔らかなご尊顔、春の梅・桜、秋の萩・曼珠沙華の美しさ…。
こじんまりした境内ですが、ゆったりのんびり過ごせます。

…そうかァ、ここで高時様は天狗に化かされたんだな…。

背後の小山にはかつて一門の菩提寺である東勝寺がありましたが、一族最期のときにあたり、郎党もろともこの寺に立て篭り、皆々自刃して果てたといわれており、その跡は<北条高時腹切りやぐら>として手厚く祀られております(怪奇スポットでもあるんだけどネ)。



大庭が差し向けたんでしょうね、きっと

2008年12月23日 | 芝居
クリスマスなのでデザインを変えてみました。
数日でまた変わりますけれど…。

さてお芝居の話。
今月は東西で『石切梶原』が上演されております。
歌舞伎座は天王寺屋(富十郎)さん、京都南座では播磨屋(吉右衛門)さんが、主人公梶原平三景時をお勤めになっていらっしゃいますが、演じる《型》が、15代目羽左衛門の橘屋型と、初代吉右衛門の播磨屋型、それぞれに異なっているので、もしかすると、今月双方を御覧になって、その違いを味わった方もいらっしゃるのかもしれませんね。

橘屋型に出てきて、播磨屋型に出てこないのが、幕切れに梶原にからむ<中間(ちゅうげん)>。
名剣を手に揚々と帰ろうとする梶原に忍び寄り、「その剣を!」と手にかけますが、見事に当て身を食らい、はてはトンボを返されてしまいます(これが“柝の頭”になります)。
梶原の強さを表すことと、見た目の派手さを出して幕切れを華やかにする意味とがございますが、梶原が中間に当て身を食らわすのは本舞台中央なんですけど、死に体になった中間を残してスタスタと花道七三へ行ってしまい、そこからトンボを返すというのが、シンとカラミの距離が離れているだけに、あるお客様が「梶原は念力で敵をやっつけられるのですか」って…。

そういう理屈を越えたところの演出なので、深く考えないように…。

これと似たような話で思い出しましたのが、ちょっと前の『落人』の幕切れで、花道の勘平が本舞台に並んだ花四天を返すというやり方を、「勘平が術でもつかっているようだから」といってなさらなかったことがありまして、その折聞いた話では、同じような演出がある『吉野山』の忠信は、実は源九郎狐なので(離れたところから敵をやっつけちゃうような)妖術も使えるわけだから構わないのだけれど、勘平はただの侍だから…。とのことでした。

といって、幕切れに花四天が返るやり方の『落人』が間違っている、というわけでは絶対なく、花四天の“総返り”が幕切れを大いに盛り上げることは皆様もよくご承知かと思います。常々申し上げておりますことですが、主演の方のご意向、その時そのときの公演の事情などで、様々な演じ方見せ方があるのが歌舞伎でございます。
なにとぞ鷹揚のご見物の程、お願い申し上げます。


…話が理に落ちてしまいましたね! 今月そのカラミの中間を演じているのは私の同期の市川段一郎さんです! とっても軽くて綺麗なトンボ! 是非ご注目下さいね(あと3日間ですけど)。


雑記

2008年12月21日 | 芝居
今日は冬至だったんですね。
楽屋風呂が<柚子湯>になっていたので知りました。
それにしては暖かい一日でしたが…。

お昼に高麗屋(幸四郎)さんの『勧進帳1000回』のドキュメンタリーが放送されたんですってね。
1000回達成目前の、公文協西コースの公演にも取材のカメラが入っていたので、いつかは放送されるんだろうなとは思っておりましたが…。

私は映り込んでいましたか? 

異界への入り口?

2008年12月20日 | 芝居
『高時』の後半は、8人の天狗が大活躍。
高時の館に忽然と姿を現す様を見せる演出として、<田楽(でんがく)>という仕掛けが使われます。
写真は屋体の中の襖ですが、この1枚1枚が、真ん中に仕込まれた軸を中心に、グルリと半回転いたしまして、裏側に控えていた天狗がパッと登場するというわけです。

田楽という名の由来は、お察し頂けるとは存じますが、お豆腐、蒟蒻などを串に刺して茹でた、料理の<田楽>にちなんでいます。
襖に描かれた木立は、槙の木なのだそうです(六代目菊五郎著『藝』による)が、ご覧頂いた方はお気づきかと存じますけれど、ひっくり返ったあとの絵の色合いが変わっているのです。



葉の色が、最初は青々としておりますが、後は薄くぼかしたようになっています。
妖しのモノが跋扈している舞台面、おどろおどろしい雰囲気にあわせ、色調も変化させるという工夫なのだそうです。

さんざん暴れ回ったあと、入道の登場とともに天狗が再びこの田楽から消え去ると、襖は元に返って色も最初に戻る。それによって、<現実>に引き戻されたことがハッキリと伝わる…。
うまくできていますね!


御覧頂けましたでしょうか?

2008年12月19日 | 芝居
部屋子の梅丸が、17、18、19日の3日間、大和屋(三津五郎)さんの『京鹿子娘道成寺』におきまして、<舞い尽くし>を勤めさせて頂きました。
歌舞伎座の大舞台、先輩方に囲まれてひとくさりの台詞を述べるお役目。大変貴重な勉強の機会を頂いたわけですが、周囲の心配をよそに(?)、無事つつがなく勤めおおせてくれました。

お稽古なしで、いきなり舞台上で喋る…。
これは大変なことなのです。
まして台本らしい台本がない、勤める人の裁量に任される部分が多いものですから、当人の心中はいかばかりでしたでしょう。
うまくいって良かったヨカッタ。

所化一同の中で、一人だけ“肩上げ”をしている小坊主ですが、大勢の大人の中で大役を演じられたこと、きっと喜んでいると思います。

よう喋りました

2008年12月18日 | 芝居
ちょっと早いかもしれませんが、新橋演舞場の近くにございます、博多もつ鍋のお店<銀座ほんじん>で忘年会でした。
今月の名題下部屋は珍しい顔ぶれでして、私にとりましては相当久しぶりにご一緒する方ばかりでした。そこで今回は、普段なかなかお話しできない先輩を交えましてのメンバーで開催いたしましたのですが、相当刺激的、かなり面白い一夜となりました!
こういうときでしかできないようなお芝居の話で大盛り上がり。今まで聞けなかったこと、言えなかったこと、正直に、突っ込んで、本音で喋ることができました。そのことがとても嬉しかったですし、皆さんのお考えがわかって大変勉強になりました。
あんまり面白いんで2軒目3軒目と梯子になり、まさに<夜もすがら>の宴となりまして、翌日の舞台に、相当の気合いと根性を要したことは、正直にご報告させていただきます…。

(12月20日 記)

さよなら歌舞伎座

2008年12月17日 | 芝居
来年から、歌舞伎座の興行には『歌舞伎座さよなら公演』のサブタイトルがつきます。
2010年春の取り壊しまで、選りすぐりの演目で歌舞伎座の大舞台を彩るわけですが…。
正月、2月公演の詳細が発表になりましたので、ご紹介させて頂きます。


寿初春大歌舞伎(1月3日~27日)

昼の部 『祝初春式三番叟』
    『俊寛』
    『十六夜清心』
    『鷺娘』

夜の部 『寿曽我対面』
    『鏡獅子』
    『鰯賣戀曵網』


二月大歌舞伎(2月1日~25日)

昼の部 『菅原伝授手習鑑 加茂堤・賀の祝』
    『京鹿子娘二人道成寺』
    『人情噺文七元結』

夜の部 『蘭平物狂』
    『勧進帳』
    『三人吉三 大川端』


師匠は、1月は『式三番叟』の三番叟、『俊寛』の丹左衛門、『対面』の鬼王新左衛門を、2月は『勧進帳』の義経をお勤めになります。

お客様におかれましても<さよなら>ですが、私たち俳優にとりましても、やはりさよならです。来年1年、どれだけ歌舞伎座の舞台で勉強ができますでしょうか。
このブログでも、おりにふれて楽屋内や舞台裏のあちこちを写真でご紹介してまいりましたが、来年は、<これでお別れ>の気持ちをこめて、もっといろんな場所を記録として残してゆきたいですし、先輩方からうかがったエピソードなど、お伝えできたらと考えております。

そこだけ違う世界なのですよ、確実に。

2008年12月16日 | 芝居
浅草演芸ホールに最近行っていないので、月末どんな興行をやっているのか、ホームページを見てみたのですが…。
12月28日《年忘れ爆笑演芸祭り》はスゴいですよ。

漫談だけでも、<法律漫談><ふろしき漫談><吹奏楽漫談><リズム漫談><筋肉漫談><相撲漫談><動く漫談><音まね漫談>…。
ふろしき漫談ってなんですか? 風呂敷について語ってくれるのですか。
リズム漫談ってなんですか? 三拍子でしゃべるんですか。
筋肉漫談ってなんですか? 上腕二頭筋で笑わせてくれるんですか。
動く漫談ってあなた、わざわざ謳う必要もないんじゃないの。一人コントっていうことですか。

そして<ファンタジック舞踊>。なにが起きるというのでしょう。
<指揮者形態模写>。は~、フルトベングラーや朝比奈隆が出てくるのですか。それともチョン・ミュンフンですか(派手だからネ)。

ウクレレ漫談の牧伸二師匠と、曲独楽の三増紋也師匠しか知っている方が出ていませんでした。
我が身の不勉強を恥じるとともに、なお一層の寄席通いへと燃え立たせるプログラムです。
あ~行きたい! だけど稽古が…。

※以上の文章は、私の寄席への限りない愛情と尊敬によって書かれた文章です。誤解のなきようお願い致します。