梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

2011年もあと3日ですが

2011年12月28日 | 芝居
今年もあとわずかとなりました。
改めて振り返るまでもなく、3月11日発生の東日本大震災のことは、過去の出来事ではなく、今も続いている問題・課題であります。
本格的な冬がはじまっている被災地の皆様のことを思いますと胸がいたみます。このところあまり報道されなくなってしまった原発問題のことも大変気がかりです。

日々の興行がいつも通りに行われることの有難さ、毎日舞台に立てる幸せを、改めて思った1年でした。公演中止や休演が相次いだ3月でしたが、4月以降はほとんど通常通りの公演が、各地で行われ、多くの方々が足をお運び下さいましたことに、心より御礼申し上げます。

恒例となりました、私の2011年です。

 1月 新橋演舞場 『妹背山婦女庭訓 三笠山御殿』 官女(二)
          『寿曽我対面』 十郎の裃後見
          『寿式三番叟』 翁の裃後見
          (公演途中、インフルエンザで休演の後輩の代役で『浮世柄比翼稲妻』振袖新造を数日間勤めました)

 2月 御園座   『勧進帳』 富樫の裃後見
          『義経千本桜 鮓屋』 鮓買いの町人(女)
          (公演途中、食あたりになりましたが、休まず頑張りました!)

 3月 新橋演舞場 『伽羅先代萩』 八汐付き腰元
          『吉原雀』 鳥売りの男の着付後見
          (11日の楽屋の光景は、一生忘れられないと思います)

 4月 金丸座   『河内山』 腰元(四)
          『鯉つかみ』 腰元

 5月 新橋演舞場 『敵討天下茶屋聚』 女田楽師
          『籠釣瓶花街酔醒』 八ッ橋付き振袖新造八重菊

 6月 博多座   『仮名手本忠臣蔵 七段目』 仲居

 7月 新橋演舞場 『勧進帳』 義経の裃後見
          『江戸の夕映』 女中

 8月 国立小劇場 <音の会> 『車引』 松王丸の黒衣後見(松王丸・梅蔵さん)
          <合同公演>『寿曽我対面』 小林妹舞鶴
                『一條大蔵譚』 大蔵卿の黒衣後見

 9月 新橋演舞場 『勢獅子』 手古舞
          (7日夜の東京オペラシティコンサートホールでのチャリティー公演<話芸・和芸>では、梅丸の『雨の五郎』の着付後見をさせて頂きました。

10月 御園座   『一條大蔵譚』 腰元
          『助六由縁江戸櫻』 揚巻付き振袖新造(三)/香炉台の新造
          (途中、のど風邪のため声が出にくくなりました。改めて体調管理の大事さを思い知らされました)

11月 国立劇場  『日本振袖始』侍女あかざ
          『曾根崎心中』参詣の女

12月 国立劇場  『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』奥女中(一)


それぞれの舞台に、思い出があり、反省があり…。<普通に演じる>ことが、かえって難しい。意識をせずに、その世界にすっと入ってゆくこと…。
これからも、先輩方に教わりながら、一歩一歩、あせらずのんびりと進んでまいりたいと思います。

明くる2012年は、新橋演舞場と平成中村座との掛け持ちとなりました。2劇場に出演するのは初めてですので、勝手がよくわかりません。
不安もありますが、とにかく健康には気をつけてまいりたいと思います。

有難いことに、平成中村座での<試演会>(1月11日開催)に参加させて頂くこととなりました。稽古着による『寿曽我対面』(衣裳、鬘、化粧は無しです)で、大磯の虎を勉強させて頂きます。中村屋(勘三郎)さん、成駒屋(橋之助)さんはじめ、本興行の『対面』にご出演の皆様がご指導して下さるとのことで、新年早々の勉強会に、今からワクワクしております!

なにとぞ、来年も、歌舞伎をますますご愛顧下さいますよう、心よりお願い申し上げます。

今年1年、本当に有難うございました。





国立劇場12月公演は真山青果『元禄忠臣蔵』です

2011年12月04日 | 芝居
11月に引き続きまして、国立劇場に出演いたします。
当月は、真山青果作『元禄忠臣蔵』より、「江戸城の刃傷」「御浜御殿綱豊卿」「大石最後の一日」の3作を上演いたします。5年前の国立劇場公演では、3ヶ月をかけて全幕を上演いたしましたが、今回はその中から、とりわけての名場面をお届けいたします。

師匠梅玉は、「江戸城の刃傷」の浅野内匠頭と、初役となる「御浜御殿」の新井勘解由(白石)の2役をお勤めになります。内匠頭は、5年前も、そしてさよなら公演の歌舞伎座でも演じられておりますが、その度ごとに演出、段取りもかわっております。今回もまた、新たな演出となっておりますので、ご注目下さいませ。

私は、「御浜御殿」の奥女中(一)を勤めさせて頂きます。綱引きはございませんが、お浜遊びの楽しい一日の雰囲気が少しでも出ればと思っております。
いよいよ年の瀬となりました。インフルエンザはまだ流行してはいないようですが、皆様お体にはくれぐれもお気をつけられ、奮ってご見物下さいますようお願い申し上げます。